美大の推薦選抜解説|学校推薦型と総合型【多摩美武蔵美造形女子美】

推薦選抜って!?

推薦選抜って、一口に言っても大学や学科によって選抜方法がバラバラで、書類が必要なところもあれば面接やプレゼンがメインのところもあったり……初めてだと「何をいつ準備すればいいの?」って混乱しますよね。
推薦選抜に興味はあるけど準備のやり方が分からない受験生向けに、これから段階を追ってわかりやすくお伝えしていきます。そこで今回は、まずは全体像をつかむために、代表的な美大 — 多摩美術大学、武蔵野美術大学、東京造形大学、女子美術大学 — がどんな推薦選抜を行っているのかをざっくり確認していきましょう!

美大の推薦選抜はどんな入試?

まず美大の推薦選抜は一般選抜入試と比べてどんな違いがあるのでしょうか。

一般選抜

一般選抜は、絵を描く実技試験と英語・国語等の学科試験とが課され、その合計点で合否が判定される試験です。絵だけが得意でも、また学科だけが得意でもダメで、相対的にバランスよく実技力と学科力が必要です。

推薦選抜

推薦選抜は、一般選抜の試験方式では発見できなかった個性や才能を見出すための入試方式です。そのため、「志望理由書」や「面接」、これまで描き溜めてきた「作品資料:ポートフォリオ」の提出など、様々な選考科目が課されます。それらを通して受験生の資質を測ります。

どんな人に向いてる?

「ムサビで学びたい学科が決まっている」「定められた時間内に作品を作るような従来の入試が苦手」「でも、ものづくりに対する熱意は誰にも負けない!そういった受験生におすすめしている選抜方式です。


武蔵野美術大学2023年度入学試験ガイドより

総合型選抜入試に対する武蔵野美術大学の公式アナウンスですが、どの大学でも、推薦選抜で評価する人物像に変わりありません。
その大学・学科専攻にどうしても入りたい強い意志と理由、将来のビジョンがある人で、それをしっかり自己アピールできる人が向いています。高校で美術部に入っていない、あるいは美術系高校に通っていなくても特に問題ありません。
英語・国語が苦手だから・・・、推薦入試で早く入りたい・・・、なんて下心だけではダメですよ!しっかり必要なことを理解して準備していきましょう!

学校推薦型選抜と総合型選抜

「学校推薦型選抜」と「総合型選抜」の一番の大きな違いは、在籍しているまたは在籍していた高等学校課程の学校長の推薦が必要か否かです。「学校推薦型選抜」は学校推薦型と銘打っているだけあって、学校長の推薦が必要です。一方「総合型選抜」は必要ありません。また「学校推薦型選抜」は大学によって、公募制(推薦書を書いてもらえれば出願できる)と、指定校制(決まった枠(人数)があり、高校が推薦してくれない限り受験できない)と採用している方式が違います。いずれにしても「学校推薦型選抜」を受験したいと考えている人は、学校生活を模範的に送っておきましょう。

推薦選抜コース

では、多摩美術大学、武蔵野美術大学、東京造形大学、女子美術大学の4校を例に、どの選抜方式を採用しているのかをまとめてみます

多摩美術大学の推薦入試

多摩美術大学は「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」を実施しています。学科専攻によって採用している方式が違います。多摩美の「学校推薦型選抜」は公募制です。

総合型選抜

・絵画学科日本画専攻
・絵画学科版画専攻
・彫刻学科
・工芸学科
・生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻
・情報デザイン学科メディア芸術コース
・情報デザイン学科情報デザインコース
・演劇舞踊デザイン学科演劇舞踊コース
・演劇舞踊デザイン学科劇場美術デザインコース

学校推薦型選抜

・絵画学科油画専攻
・グラフィックデザイン学科
・生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻
・環境デザイン学科
・統合デザイン学科
・芸術学科

多摩美の日程/スケジュール

出願試験合格発表

出願期間は11月上旬で、試験は11月の下旬に行われます。ちなみに2026年度入試の募集要項には、出願期間:11月1日〜11月7日、試験日(選抜日程)は11月22日~11月23日となっており、合格発表は12月1日です。


武蔵野美術大学の推薦入試

2023年度入試より、ほとんどの学科専攻が総合型選抜になりました。武蔵美の総合型選抜には前期後期の二つの2日程が設定されている点と、前期日程には第1次選考(書類審査)があることがポイントです。また学校推薦型選抜は一部の学科専攻で行われており指定校方式を採用しています。

総合型選抜:前期日程

・日本画学科(一般方式)
・油絵学科(油絵専攻)(一般方式)
・油絵学科(グラフィックアーツ専攻)(一般方式)
・彫刻学科(一般方式)
・工芸工業デザイン学科(一般方式)
・工芸工業デザイン学科(ワークショップ方式)
・空間演出デザイン学科(一般方式)
・建築学科(一般方式)
・基礎デザイン学科(一般方式)
・デザイン情報学科(一般方式)
・クリエイティブイノベーション学科(構想力重視方式)
・クリエイティブイノベーション学科(探究力重視方式)
・映像学科(クリエイション資質重視方式)

総合型選抜:後期日程

・油絵学科(グラフィックアーツ専攻)(一般方式)
・彫刻学科(一般方式)
・映像学科(ディレクション資質重視方式)

油絵学科グラフィックアーツ専攻や彫刻学科やクリエイティブイノベーション学科、映像学科は、前期にも後期にも実施してます。試験科目や提出書類などが細かな部分が違いますが、ここでは武蔵美の総合型選抜には前期と後期があるんだなということを抑えておきましょう。

武蔵美の日程/スケジュール:前期日程

前期日程
出願第1次選考(書類審査)→第1次選考発表第2次選考合格発表

前期日程の出願期間は9月の中旬で、出願時の書類審査による第1次選考の発表が10月の中旬。第2次選考が11月の上旬に行われます。
2026年度入試の募集要項には、出願期間は9月11日〜9月19日、第1次選考の発表日が10月14日、第2次選考の試験日が11月1〜2日、そして合格発表は11月11日となっています。

武蔵美の日程/スケジュール:後期日程

後期日程
出願試験合格発表

後期日程の出願期間は11月の中旬で、12月の上旬に試験があります。そして合格発表は12月の下旬です。
2026年度入試の募集要項には、出願期間は11月11日〜11月19日、第1次選考の発表日が12月1日、第2次選考の試験日が12月13,14日と21日、そして合格発表は12月25日となっています。
※少々ややこしいのですが、前期後期の違いは第1次選考があるかないかと説明しましたが、後期日程の一部の学科専攻(映像学科(ディレクション資質重視方式))で第1次選考を行っています。また12月13,14日の第2次選考の試験は映像学科が行い、21日は第1次選考を行なっていない油絵学科グラフィックアーツ専攻と彫刻学科の試験日です。

※必ず募集要項を確認しましょう!


東京造形大学の推薦入試

東京造形大学は、「総合型選抜(自己アピール)入試」と「学校推薦型選抜(指定校制)入試」を実施しています。

総合型選抜(自己アピール)入試

・グラフィックデザイン専攻領域
・写真専攻領域
・映画・映像専攻領域
・アニメーション専攻領域
・メディアデザイン専攻領域
・インダストリアル専攻領域
・テキスタイル専攻領域
・絵画専攻領域
・彫刻専攻領域

造形大の日程/スケジュール

出願第1次選考(書類審査)→第1次選考発表第2次選考合格発表

出願期間は9月の上旬です。武蔵美の総合型選抜(前期日程)と同じように書類審査があり、発表は10月の上旬です。書類審査が通ると2次選考にあたるプレゼンテーション選考が10月の下旬に行われます。合格発表は11月の上旬がスケジュールです。
2026年度入試の募集要項には、出願期間は9月1日〜9月5日、書類審査の発表日が10月7日、プレゼンテーション選考の試験日が10月25日、そして合格発表は11月4日となっています。


女子美術大学の推薦入試

総合型選抜、学校推薦型選抜(公募制)、学校推薦型選抜(指定校制)の3つが実施されています。総合型選抜も学校推薦型選抜(公募制)も、すべて同じ学科専攻で実施されています。
総合型選抜は武蔵美の前期日程、東京造形大学と同じように、1次審査がありそれを通過した人のみが2次審査を受けられます。

総合型選抜 & 学校推薦型選抜(公募制)

美術学科洋画専攻
 洋画専攻
 日本画専攻
 立体アート専攻
 美術教育専攻
 国際芸術文化専攻
デザイン・工芸学科
 ヴィジュアルデザイン専攻
 プロダクトデザイン専攻
 環境デザイン専攻
 工芸専攻
アート・デザイン表現学科
 メディア表現領域
 ヒーリング表現領域
 ファッションテ表現領域
 スペース表現領域
 クリエイティブ・プロデュース表現領域
共創デザイン学科

女子美総合型選抜の日程/スケジュール

出願1次審査(書類審査)→1次審査発表2次審査合格発表

出願期間は9月の上旬です。武蔵美や造形大学と同じように1次審査があり、発表は10月の上旬です。1次審査が通ると2次審査が10月の中旬に行われます。合格発表は11月の上旬がスケジュールです。
2026年度入試の募集要項には、出願期間は9月8日〜9月16日、書類審査の発表日が10月2日、プレゼンテーション選考の試験日が10月19日、そして合格発表は11月1日となっています。

女子美学校推薦型選抜の日程/スケジュール

出願試験合格発表

出願期間は11月の上旬で、試験が11月の下旬に行われます。合格発表は12月の上旬がスケジュールです。
2026年度入試の募集要項には、出願期間は11月1日〜11月10日、試験日が11月23日、そして合格発表は12月1日となっています。

まとめ

推薦入試は、一般選抜入試では測ることのできない、さまざまな能力を評価するための入学試験です。この入試では、志願者本人の提出資料や面接などにより適性が判断され選考が行われます。
「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」の二つの選抜方式があり、学校推薦型選抜が「公募制」なのか「指定校制」なのか大学によって違いがあります。
推薦入試について少し理解が深まってきましたか?さらに詳しい情報は推薦入試BLOGを是非ご覧ください!

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