推薦入試って!?STEP8「志望理由書」

2021年9月更新

STEP8「美大の推薦入試>志望理由書のポイント」

美大の推薦入試にチャレンジしたい受験生を応援するこの推薦入試BLOG。STEP8の今回は「志望理由書」についてです。出願の際にみんなが一番悩むのがこの志望理由書。どうやって攻略していけばいいでしょう?

自分を知る[自己分析:考察]

ポートフォリオ制作などでもそうですが、いきなり志望理由書を書き始めるわけではありません。推薦入試は、「書類審査」「面接」「提出資料」などの試験科目を通して、一般選抜では確認することができなかった新たな可能性のある人材を、”直接”見て判断する選考方法です。そのためには自分自身をアピールするポイントを明快にしておく必要があります。明らかになったそのポイントを、「志望理由書」や「面接」での質疑内容、「提出資料」などで具体的に示していく訳です。
自己アピールポイントを明快にするために、自分がこれまで何に興味を持って過ごしてきたのかを捉え直す、自己を分析する作業を行います。志望理由書に手をつけるその前に、推薦入試対策の事前準備としてこの自己分析作業をしっかりと行っておきましょう。
詳しくはこちらの記事に記載してありますので、まず「推薦入試って!?必読やっておくべき事前準備をご覧ください。

相手をよく知る

学校推薦型選抜も総合型選抜もどちらも基本的には専願です。どうしてもこの大学専攻に入りたいという人が受ける受験方式ですので、学校のことをよく知っておくことが大前提です。
大学・専攻の特徴、カリキュラムの内容、教授(教授個人のお仕事内容)、専攻が実施しているイベント&情報発信などなど、オープンキャンパスに行ったり、OB・OGに話を聞いたりするのも情報収集には良いですね。しっかり調べてみてください。

これで準備はできましたのでいよいよ作成に入りましょう。

志望理由書作成のポイント

志望理由書には、あなたがどんなことに興味を持っているのか、どうしてこの大学専攻を選んだのか、ここで何を学びたいのか、将来はどうなりたいのか、この4点に関する記述をを必ず入れます。

Point1:どんな?:興味の対象

あなたはどんな興味を持っているのか?どんな物をつくっているのか?「推薦入試って!?必読やっておくべき事前準備」を通して、自分が物事に対してどんな興味・眼差しを向けているのか、どんなことをやりたいのかを明らかにし、その内容を記載します。


Point2:どうして?:動機

なぜこの大学専攻を選んだのか、志望する動機を具体的にしましょう。なぜここじゃないとダメなのか?というように逆に考えてみるのも有効です。選んだ大学専攻の特徴や特質が現れてくるかもしれません。


Point3:何を?:学習ビジョン

その大学専攻で何を学びたいのか?どんな力をつけたいのか?どの授業、カリキュラムに興味があるのか?どのコースに進みたいのか(専攻の中に複数のコースがある場合)?授業以外にはどんな活動がをしてみたいのか?などについて具体的に記述します。


Point4:将来のビジョン

4年間の研究の結果、どうなっていたいのかを具体的に記述します。

  • 映像作家になりたい
  • パッケージデザイナーになりたい
  • 海外で働きたい
  • 素材が持っている物質感の魅力を生かした作品を作りたい
  • ミュージックビデオを作りたい
  • 自分のブランドを立ち上げたい
  • ピクトグラムについてもっと知りたい
  • 知育玩具を作りみたい
  • 手描きの柔らかい印象の線の表現方法を研究したい
  • 舞台美術をやりたい

などなど。


以上が志望理由書で記述すべき内容です。Point1〜4までを具体的に記述していきましょう。

Point5:自分の言葉&言語化するトレーニング

最後の重要なポイントは、Point1〜4までを”自分の言葉”で記述することです。例えば、
「デザインとは新た価値を提案するもので・・・」や
「表現とは、個人の体験や経験に基づく行為総体を指し・・・」のように、内容は間違っていなかったとしても、一般論を語ってはいけません。推薦入試は”あなた”を見たいのです。また、「表現」「芸術」「デザイン」「空間」のような言葉は多元的で、多用すると何を伝えたいのか逆にわかりづらくなってしまいがちです。文脈を意識して、噛み砕いて自分の言葉で置き換えられないか検討してみてください。

私たち美大受験を志す人たちは、絵を通してコミュニケーションを図っています。絵で表現することは毎日のようにトレーニングを積んでいますが、言葉で表現するトレーニングは行っていません。ですので、いきなり「志望理由書」のように言葉で伝えなさいと言われると戸惑ってしまします。そりゃそうです、ある意味当然ですよね。
「推薦入試って!?必読やっておくべき事前準備」の自己分析作業をはじめとする考察は、推薦入試に向けての準備作業であると同時に、言語化するトレーニングでもあります。大変でしょうが、何度も何度も書き直したりしながら、自分の考えを言葉で伝えることにチャレンジしてみてください。面接の質疑応答にもとても役に立つと思います。


志望理由書の画像

志望理由書 Sample

最後に志望理由書のサンプルを載せておきます。導入の部分ですが、評価も加えてあるのでそちらも参考にしてみてください。

Sample1

「コピーライターの父の仕事を幼少の頃からなんとなく見ていました。入れ替わり立ち代わり家に人が出入りし話し合いをしている姿に戸惑いを感じていましたが、大の大人が真剣に関わるその仕事に対して、高校生になる頃には父の仕事やデザインに興味が湧き、調べてみたり考えて見たりするようになりました。」


あなたの家庭環境から、自然にデザインに関心を持った経緯のリアリティが感じられます。さらに、どんなデザインに興味があるのか、例えば目指すデザイナーやデザイン商品など、具体的な記述を増やしていくと良いでしょう。

Sample2

「小さい頃から絵を描くことや物を作ることが大好きで、美術や図工は常に得意な科目でした。中学から高校までの6年間美術部に所属し、油絵や立体作品の制作活動を続けています。将来は夢のある美術やデザインの仕事がしたいと思い貴校を志望します。」

×
もともと絵を描くことが好きで、将来は美術やデザインに関わる事がしたいと考えている人が美大を志すものですから、改めて記述する必要はありません。6年間美術部で制作していることはアピールポイントとしてです。

Sample3

「近年、デザインの役割は大きく変化しており、より包括的な視点で捉えることが必要であると感じています。貴校で学ぶことで、多様な社会に新しい提案をできるような優れたデザイナーになりたいと思っています。」

×
一般論的かつ抽象的すぎで、個人の眼差しが感じられません。また、内容が難しすぎて本当に高校3年生が考えて記述しているのか疑問視されてしまうでしょう。

Sample4

「高校1年生の時、通学途中の駅で見た清涼飲料水のポスターに目が止まりました。高校受験を終えた後、漠然と今後の進学進路に不安を感じていた私にとって、とても勇気を与えてくれ釘付けになりました。誰がこんなすごいものを作っているんだろう。デザインに興味を持った最初のきっかけでした。」


デザインが持つ本来の役割であるポジティブな提案を、等身大の視点で体感している、また、それを自覚している視点に好感が持てます。あなたにとって、勇気を与えてくれると思う造形的な要素を考察して、記述すると良いでしょう。

Sample5

「私は中学の頃からバンドをやっていて音楽に携わってきました。投稿サイトでプロのミュージシャンのMV(ミュージックビデオ)を時間を忘れるほど没頭して見ています。これまで見たMVは数え切れないほどで300をゆうに超えています。最初はベースを演奏することに興味があって見ていましたが、徐々にMV自体に引き込まれるようになりました。高2の時に友達の付き添いで訪れた御校のオープンキャンパスで見た学生の方が作られた映像作品に驚愕し、美大ではこんな凄いことが学べるのかと衝撃を受け、その時絶対美大に行こうと決めました。」


志望理由書としては少々稚拙なところがあるので修正が必要ですが、モチベーションを感じとても良い印象です。MVに限らず、映像表現に対しての関心や興味の深さ、可能性なども具体的に記述できるといいでしょう。