何がどう違うの!? 一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜

一般・総合型・学校推薦型:3つの入試を知ろう!

知っておきたい美大入試の基礎知識をお届けする「美大入試の基本」Blog。今回のテーマは「3つの入試を把握し、自分にとって最適な入試を選ぼう!」です。3つの入試というのは、一般選抜総合型選抜、そして学校推薦型選抜です。

一般選抜:実技+学科

一般選抜は、デッサンを描いたり油絵を描いたり絵を描く試験「実技試験」と、学科力を判定する「学力診断試験」の合計点で合否判定する選抜方式です。募集定員が他の選抜試験より多いので、たくさんの受験生が受験します。
実技試験は、各大学専攻によって科目や内容は様々ですが、デッサンと専攻別実技の2科目が課せられることが多いです。学力診断試験は、各大学が作成した独自の学科試験で判定する一般方式と、共通テストの成績を利用する共通テスト方式があります。一般方式は、英語と国語の2科目が多く、共通テストは2科目の選択制です。1科目100点で合計200点で学力が判定されます。
一般方式も共通テスト方式もそれぞれ別の選抜試験ですので、両方受験する場合は両方の出願が必要です。少々ややこしいのですが、両方受験したとしても実技試験は1回です。※下図参照

一般選抜の仕組み

つまり、一般方式と共通テスト方式の両方を受験すると、学科試験のチャンスが2回あるということです。ただし、共通テスト方式の方が募集定員が少ないことが多く、難易度が高くなる傾向があります。
整理すると、

  • 絵を描く実技試験と、学力を判定する学力診断試験の合計で合否が判定される。
  • 募集定員が一番多い選抜試験。
  • 実技試験は、デッサンと専攻別実技試験の2科目が一般的。
  • 学力診断試験には、一般方式と共通テスト方式がある。
  • 一般方式は英語と国語、共通テスト方式は2科目を選択する。
  • 学力の判定は一般方式と共通テスト方式の2つあるが、実技試験は1回だけ。

以上をおさえておきましょう。多摩美術大学、武蔵野美術大学のほとんどの専攻はこの選抜方法です。

さらに詳しくは↓

総合型選抜/学校推薦型選抜:適性をみる

次に総合型選抜と学校推薦型選抜、いわゆる推薦入試についてです。
推薦入試は、一般選抜試験方式では発見できなかった個性や才能を見出すための選抜方式です。そのため、「志望理由書」や「面接」、これまで描き溜めてきた「作品資料:ポートフォリオ」の提出など、様々な選考科目が課されます。それらを通して受験生の資質を測り合否判定します。
一般方式では学科試験がありますが、学科試験は課せられません。その代わり内申書の提出が必要で、成績や出席状況などが見られる場合があるようです。また、小論文が課せられる学科専攻もあります。
受験者数は年々増加傾向にありますが、募集定員が一般選抜に比べ極端に少ないことも特徴です。
武蔵野美術大学の2023年度入学試験ガイドには、総合型選抜に対して以下のように説明されています。

「ムサビで学びたい学科が決まっている」「定められた時間内に作品を作るような従来の入試が苦手」「でも、ものづくりに対する熱意は誰にも負けない!そういった受験生におすすめしている選抜方式です。

総合型選抜

これまで「自己推薦入試」と呼ばれていた選抜方式で、その名前が示す通り、自己をアピールをする入試です。大学専攻によって多種多様な選抜科目がありますが、すべて「受験生の適性や資質を測る」ために行われます。ですので、その大学・学科専攻にどうしても入りたい強い意志と理由、将来のビジョンがあり、それをしっかり主張できる人が向いています。当然専願になります。
また多くの大学専攻が採用している選抜方式です。

学校推薦型選抜(公募制・指定校制)

学校推薦型選抜には、公募制と指定校制があります。公募制を行っている首都圏の主な美術大学は、多摩美術大学のいくつかの学科専攻と、女子美術大学です。指定校制を行っている首都圏の主な美術大学は、東京造形大学、女子美術大学、武蔵野美術大学のクリエイティブイノベーション学科です。公募制、指定校制とも、在籍しているまたはしていた学校からの推薦がないと受験できません。

※指定校制は公開されていませんのでここでは割愛します。

ですが推薦書を書いてもらえたので大丈夫ということは全くなく、総合型選抜と同じような「受験生の適性や資質を測る」科目が課されますので、しっかりとした受験対策が必要です。

整理すると、

  • 総合型選抜と学校推薦型選抜は、一般選抜のような試験方式では発見できなかった個性や才能を見出すための選抜試験。
  • 学校推薦型選抜は学校長の推薦が必要で、総合型選抜は必要ない。
  • 大学専攻によって多種多様な選抜科目がある。
  • 募集定員が少ない。
  • 専願である。

試験の時期

総合型選抜や学校推薦型選抜は9月から12月の間に行われ、一般選抜は1月から3月にかけて行われます。年内に試験が行われる推薦入試と年明けに試験が行われる一般選抜では、試験を受ける時期に最大で半年ほどの差が出てきます。受験生にとって半年は非常に大きな違いになってきます。自分が受験しようとしている試験までどのぐらい時間があるのか、しっかり把握しておく事が重要ですね。

まとめ


推薦入試は、希望する学科への強い熱意がある人に向いています。面接や志望理由書の作成などやることは多いですが、自分の興味やその深さをアピールするために対策をするので、ある意味楽しんで考察を深めることができます。学科が苦手だから、早く決めたいから、という理由ではなかなか難しいかもしれません。
一方の一般選抜は、推薦入試よりも半年ほど遅れて実施されるので、学力も実技力もギリギリまで伸ばす事ができます。単純に画力が上がるということはこの上ない財産です。また複数の学科専攻で迷っている場合は、同時に併願をすることが可能です。
どちらの選抜方式で受験しても、大学に入ってから「やりたいことが違った!」となると大変ですので、本当にその大学で学びたいのか、しっかり考えた上で志望校と選抜方式を決めましょう!