一般選抜の配点と試験内容

(2022年2月更新)

知っておきたい美大入試の基礎知識をお届けする「美大入試の基本」Blog。
今回のテーマは「一般選抜の配点と試験内容」です。

一般選抜とは?

一般選抜とは、大学入学共通テスト(略して共通テスト)以降、1月の後半ごろから行われる入試の総称です。年間を通じて行われる入試には、総合型選抜、学校推薦型選抜に加え、受験者数も募集定員数も多いこの一般選抜があります。一般選抜を理解するうえで、押さえておきたい基本的な3つのポイント、”実技と学科の合計点で合否判定”、”実技はデッサンと専攻別課題”、”二つの学科試験で可能性が2倍!”についてお話ししていこうと思います。

※総合型選抜、学校推薦型選抜を行っていない大学・専攻もあります。

point1「実技と学科の合計点で合否判定!」

大学ごとに様々な配点のケースがありますが、ここでは美大入試で比較的よくあるケースとして「多摩美術大学の一般選抜」を例に挙げてお話しします。
美術大学の受験ですので、デッサンを描いたり油絵を描いたり、絵を描く試験があります。これを「実技試験」と呼びます。また、美大なのに残念ながら実技試験だけでは済まず、多くの大学・専攻で学力診断試験(代表的なのは英語と国語の2科目)も合わせて行われます。実技試験2科目300点学科試験2科目200点合計500点満点で評価されるのが一番多いケースです。

なかには学科試験を行わない、実技試験を行わないなど配点が異なる大学・専攻もありますが、ここではまず、美大といえども実技だけでは合格できず、学科との合計点で合否を判定されるんだなと覚えておきましょう。

point2「実技はデッサンと専攻別課題」

次に実技試験について少し深く見ていきます。実技試験の配点は300点。この300点の内訳は、デッサン150点専攻別実技150点の2科目の試験となります。デッサンは鉛筆や木炭と呼ばれる画材を使って、黒のみで描く絵です。ここで例として挙げているのは鉛筆で描いた手のデッサンです。一方、専攻別課題というのはデザイン科だったら絵具を使った色彩構成、油画科だったら油絵といったように、その専攻特有の課題です。

※例外的に、実技試験が1科目の大学・専攻もあれば、東京藝術大学の様に、3科目の実技試験を設けているところもあります。

・デッサン

デッサンについてもう少し見ていきましょう。
手をモチーフにしたデッサン、石膏像がモチーフの石膏デッサン、静物デッサンや人物デッサンなどさまざまな課題が出題されています。専攻によって若干採点のポイントが異なりますが、デッサンではまず「基本的な描写力」があるかどうか、そこが評価のポイントとなります。

・専攻別実技課題

次に、専攻別実技課題についてです。
例として挙げているのは、デザイン科で出題される「色彩構成」と「立体構成」、油画科の「油彩」つまり油絵です。全体的には、絵具を使う出題が多く、立体課題はそれほど多くはありません。絵具の課題の場合は「絵具の基本的な扱いができるか」「色彩感覚に優れているか」「絵具で描写できるか」などの基本的な項目の他に、「個性」「発想力」「感性」などが評価のポイントとなります。

デッサン、専攻別課題のいずれも、大学や専攻により出題傾向が大きく異なります。進みたい専攻が見えてきたら、大学が発表している資料を活用して、どんな絵が描けるようになる必要があるのか、しっかり確認しておきましょう。

point3「二つの学科試験で可能性が2倍!」

一般選抜には、「一般方式」と「共通テスト方式」の2つの試験方式があります。この2つの方式の違いは、学力を判定する学科試験に、各大学が作成した独自の学力試験を利用するのか、共通テストを利用するのかの違いです。

一般選抜の仕組み

2回、学科テストを受けるチャンスがあるということですね。一般方式、共通テスト方式ともに、受験するにはそれぞれ出願が必要です。一般方式だけを受験する、または共通テスト方式だけ、また、一般方式・共通テスト方式両方とも受験する、という3パターンあります。ハマ美では8割ぐらいの生徒が、両方とも出願して受験しています。
また、一般方式の試験科目は、英語と国語でそれぞれ100点満点で合計200点です。共通テスト方式の試験科目は、選択制の2教科を採用している大学・専攻が多く、こちらもそれぞれ100点満点で合計200点です。
両方出願したら学科テストを受けるチャンスは2回ありますが、実技試験は1回きりです。

一般選抜の仕組み

また、一般方式は500点満点で採点されます。内訳は実技2科目合計の300点に、学科試験の200点が加わって500点。一方共通テスト方式は、実技2科目合計の200点に、共通テストの200点が加わって400点になります。
少々ややこしいですが、1回きりの実技試験の評価が、一般方式では300点に、共通テスト方式では200点に換算されます。一般方式に比べ、共通テスト方式では学科のウエイトがやや高くなる配点となるうえ、募集定員も一般方式に比べて少ない専攻が多く、競争率が高くなる傾向があります。

共通テストの英語のリスニング

英語のリスニングを、リーディングと合わせて英語の評価とするのか、しないのか、大学・専攻によって違いがあります。主要大学の2022年度の募集要項を見てみると、リーディングのみとしているのは、武蔵野美術大学と東京造形大学。リスニングも含むとしているのは、多摩美術大学と女子美術大学、東京藝術大学でした。女子美術大学は、リーディングとリスニングで合計200点。もう一つの選択科目と加え合計300点が学科の配点になっています。
多摩美術大学も独特な配点方法を採用していて、

①【リーディング】50点満点に換算+【リスニング】50点満点に換算
②【リーディング】100点満点のうち、高い方の得点を評価します。

2022年度 多摩美術大学 美術学部 学生募集要項より

となっています。リスニングをどの様に評価に組み込むのか、それぞれ特徴があらわれていますね。今後もリスニングを採用する大学・専攻が増えてくるのではないでしょうか。

まとめ

さて、おさらいです。
一般選抜は、実技試験と学科試験の合計点で合否が判定される試験です。一般方式と共通テスト方式があって、両方出願すれば学科の試験を受けるチャンスが2回あります。一般方式の科目は英語と国語が一般的、それに対して共通テスト方式は選択制を取っているところが多い。でも実技試験は1回で、デッサンと専攻別実技の2科目が一般的。その点数が一般方式と共通テスト方式で別々に換算されます・・・。
さあ、駆け足で一般選抜の配点と試験内容についてお話ししてきましたが、1番のポイントは

絵の対策も、学科の対策も、両方ともしっかり取り組む!ということが何より重要です!
頑張って!
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