デザイン専攻を5つのカテゴリーに分類
知っておきたい美大入試の基礎知識をお届けする「美大入試の基本」Blog。今回のテーマは「いっぱいある!美術大学のデザイン専攻の種類」です。
〇〇デザイン学科や▲▲デザイン専攻などなど、様々な名称や専攻が多くデザイン科ってわかりづらいですよね。今回は、多摩美術大学と武蔵野美術大学、東京造形大学、女子美術大学、東京芸術大学を比較しながら、細かく分かれたデザイン系専攻の種類を5つのカテゴリー、平面系デザイン、空間系デザイン、立体系、情報系、統合系に分けてご紹介します。
平面系デザイン
まず1つ目、平面系のデザイン。
”平面”の名前の通り、広告やポスター、雑誌の編集、イラストレーションなど、平面媒体を主にデザインするのが平面系のデザインです。”デザイン”というと、この平面系のデザインがイメージされるのではないでしょうか?受験生にも一番人気で、受験倍率も高くなる傾向です。
では、多摩美術大学、武蔵野美術大学、、東京造形大学、女子美術大学、東京芸術大学ではどの学科専攻で学べるのでしょう?
多摩美術大学・・・・
武蔵野美術大学・・・・
東京造形大学・・・・
女子美術大学・・・・
東京芸術大学・・・・
多摩美では「グラフィックデザイン学科」、武蔵美では「視覚伝達デザイン学科」、東京造形大学では「デザイン学科グラフィックデザイン専攻領域」、女子美術大学では「デザイン・工芸学科ヴィジュアルデザイン専攻」、芸大は「デザイン科」がその専門領域を担う専攻になります。
空間系デザイン
次に空間系デザインです。こちらも名前の通りで”空間”を扱うデザインです。ディスプレイやインテリアなど建物の内部空間や、公園・都市計画などの外部空間のデザインを行います。
空間系のデザインは、各大学ではどの学科専攻で学べるのでしょう?
多摩美術大学・・・・
武蔵野美術大学・・・・
東京造形大学・・・・
女子美術大学・・・・
東京芸術大学・・・・
多摩美では「環境デザイン学科」「劇場美術デザインコース」、武蔵美では「空間演出デザイン学科」「建築学科」、東京造形大学では「デザイン学科室内建築専攻領域」、女子美術大学では「デザイン・工芸学科環境デザイン専攻」、芸大は「デザイン科」がその専門領域を担う専攻になります。
多摩美と武蔵美には空間系デザインを学べる専攻が2つあります。同じ空間系のデザインに属していながら専門領域が違うからです。劇場美術デザインコースはその名の通り、舞台美術を専門的に研究する専攻です。映像美術、照明、衣装デザインなども専門領域です。多摩美の環境デザイン学科は2年次から「インテリア」「建築」「ランドスケープ」の3コースに分かれより専門的な研究を行います。
一方武蔵野美術大学は、建築学科と空間演出デザイン学科です。建築学科はその名の通り建築を学びます。空間演出デザイン学科には3年次から分かれる4つのコースがあります。「セノグラフィ(舞台美術)」「インテリアデザイン」「環境計画」「ファッションデザイン」です。
こうして見ると、多摩美の劇場美術デザインコースと武蔵美の空間演出デザイン学科のセノグラフィーコース、多摩美の環境デザイン学科インテリアデザインコースと武蔵美の空間演出デザイン学科インテリアデザインコース、建築デザインと建築、ランドスケープデザインと環境計画、舞台美術の衣装デザインとファッションデザインというように、似た専門分野を多摩美でも武蔵美でも学べることがわかります。
立体系デザイン
次に立体系のデザイン。こちらは立体物をデザインするカテゴリーです。車や家電をはじめ、文具や雑貨など生活にまつわる立体物のデザイン全てが専門領域です。
多摩美術大学、武蔵野美術大学、、東京造形大学、女子美術大学、東京芸術大学で立体系のデザインをは学べる学科専攻はどこでしょう?
多摩美術大学・・・・
武蔵野美術大学・・・・
東京造形大学・・・・
女子美術大学・・・・
東京芸術大学・・・・
多摩美では「生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻」、「生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻」、「工芸学科」、武蔵美では「工芸工業デザイン学科」、東京造形大学では「デザイン学科インダストリアルデザイン専攻領域」、女子美術大学では「デザイン・工芸学科プロダクトデザイン専攻」と「デザイン・工芸学工芸専攻」、芸大は「デザイン科」がその専門領域を担う専攻になります。
多摩美には立体を学べる専攻が3つもあります。しかも工芸学科は、陶芸が学べる「陶プログラム」、金属工芸が学べる「金属プログラム」、ガラス工芸が学べる「ガラスプログラム」というように3つのプログラム制でより専門的な工芸が学べる仕組みになっています。一方武蔵美で立体系デザインを学べる専攻は工芸工業エザイン学科だけです。ですが、2年次に3つのコース「インダストリアルデザインコース」「インテリアデザインコース」「クラフトコース」に分かれより専門的に学べるシステムになっています。「クラフトコース」ではさらに、金工、木工、陶器、ガラス、テキスタイルの5つの専門分野に分かれるので、実はかなり多様な専攻なのです。
立体デザインを学べる専攻が、多摩美には3つもあって武蔵美には1つしかない、ように見えますが、中身を見るとかなり共通した専門分野が設けられている、というのが特徴です。
情報系デザイン
次に情報系デザイン。少々馴染みのない名称かもしれませんが、主にデジタルコンテンツを媒体とするデザインと考えておいてください。コンピューターグラフィックスやゲーム、ホームページのデザインでしょうか。U.I(ユーザーインターフェイス)デザインといって、ウェブやアプリを使いやすくデザインするのも、情報系デザインの役割です。多摩美術大学、武蔵野美術大学、、東京造形大学、女子美術大学、東京芸術大学でこの情報系のデザインをは学べる学科専攻はどこでになるでしょうか。
多摩美術大学・・・・
武蔵野美術大学・・・・
東京造形大学・・・・
女子美術大学・・・・
東京芸術大学・・・・
多摩美では「情報デザイン学科情報デザインコース」、武蔵美では「デザイン情報学科」、東京造形大学では「デザイン学科メディアデザイン専攻領域」、女子美術大学では「アート・デザイン表現学科メディア表現領域」、芸大は「デザイン科」がその専門領域を担う専攻になります。
統合系デザイン
最後に統合系デザイン。
おそらくこの専門領域をカテゴリー枠しているのはハマ美だけだと思います。平面系・立体系というように細かく専門性の高い分野に特化したデザインというわけではなく、社会の様々な問題をデザインを通して提案していくというような”企画”や”ディレクション”をするのが専門領域と捉えておいてください。2014年に開設された多摩美術大学の統合デザイン学科にちなんで「統合系デザイン」としています。
多摩美術大学・・・・
武蔵野美術大学・・・・
東京芸術大学・・・・
多摩美では「統合デザイン学科」、武蔵美では「基礎デザイ報学科」、芸大は「デザイン科」がその専門領域を担う専攻になります。幅広い領域でデザインを研究していく学科専攻は、この3つになるかと思います。2023年に開設される女子美術大学の共創デザイン学科も近いコンセプトかと思います。受験する段階で「そこまで自分の興味を絞りきれない」という受験生は実は少なくないと思います。大学でいろいろ研究をしながら絞っていきたいという人にとっては、適した学びの環境です。今後人気のデザイン専攻になっていくと思います。
最後に東京芸大のデザイン科についてです。芸大のデザイン科は私大のような細かな専門分野に初めから分かれているわけではなく、1,2年次は広くデザインについて学び、3年から「グラフィックデザイン」、「情報デザイン」、「プロダクトデザイン」、「空間デザイン」などを専門分野とする、合計10の研究室にわかれるのが特徴です。工芸科も、1,2年次は基礎課題を行い、「金工(鍛金)(鋳金)(彫金)」「漆芸」「陶芸」「染織」の6つの専門分野に別れ研究します。
専攻選びに迷ったら?
専攻選びに迷ったらカテゴリーから入っていくのがポイントです。自分は将来どんな分野のデザインをやっていたいんだろう?平面系かな?立体系かな?と言うように。「将来はポスターのデザインをやってみたい」だとすると平面系デザインが専門領域になるので、カテゴリーは平面系のデザイン。じゃあ平面系のデザインが学べるのは多摩美ではグラフィックデザイン学科で、武蔵美では視覚伝達デザイン学科だ!といった具合に。そうしたら次はそれぞれの専攻を調べてみる。そいうやって徐々に徐々に深くより詳しい情報を得ていくといいでしょう!
自分の興味は?
立体系かな・・・・?
多摩美はグラフィックデザイン学科
武蔵美は視覚伝達デザイン学科
多摩美はプロダクト
武蔵美は工芸工業
造形大はインダストリアル
しっかり情報収集して、多様なデザイン専攻のそれぞれの研究領域を確認しよう!