石膏デッサンの描き進め方
こんにちは!基礎科です。
今回は、石膏デッサンの制作プロセスを紹介します。
今回の石膏像は青年マルス。首像タイプの石膏像ですね。
マルスはローマ神話に登場する神様で、理想の青年像ともいわれています。この首像は、胸像・全身像のマルスとは別の彫像ですが、モデルとなっている神様は同じです。
石膏デッサンならではの描写ポイントも確認しながら、制作の過程を追っていきましょう!
①線画は「ほどほど」に
まずは柔らかい線で形を探りながら、石膏像の大きさの印象を損なわないように構図を決めます。この「線でアタリをつける」作業は「ほどほど」にとどめることが大切です。
というのも、この段階で形を決め込み、強い線で描き込みすぎると、のちのち修正が難しくなってしまうデメリットがあります。いつでも直せるような柔らかな線で、要所を押さえるように形を探っていきましょう。
②良い光をイメージする
陰影が見えてきました。真っ白な石膏像は、陰影の印象を似せることが、石膏像そのものに似せることにつながります。そのため、「良い光」が石膏像に当たっているかどうかが、絵の印象を大きく左右します。とはいえ、必ずしも現物の石膏像に良い光が当たっているとは限らないので、絵のなかで、美しい陰影が生まれる光を設定する必要があることが多いです。
③人物である前に「石の塊」として捉える
ここで、擦りを加えるなどしながら、空間を表現していきます。石膏像の裏側までガバッと捕まえるような、大きな空間作りを意識しましょう。今回の石膏像は人物像であるため、目鼻立ちや表情に注目しがちになります。もちろん最終的には顔を似せにいくことも必要ですが、まずは人物である前に「石の塊」であることを念頭におき、ゴロリとした塊感、それに纏う大きな空間をつかむことが重要です。髪の毛なども複雑で手間がかかりますが、石の塊がゴロリゴロリと並んでいるイメージを持つと良いですね。
④石膏の質感は、細かなところに潜んでいる
やはり質感も、石の塊であることを表現しなければいけません。石膏の質感は、小さな欠けや傷などの経年による表情や、製造時の型取りの跡にも現れます。よく観察して、硬い鉛筆の先を使ってカリカリと細部まで描きあげ、完成です!
石膏デッサンは、形を合わせることや、複雑な陰影を表現することなど、実はデッサンの基礎を極める最適なトレーニングの一つです。志望専攻によっては石膏を描く必要がない人もいると思いますが、自分の実力を試す良い機会だと思ってぜひ挑戦してみてくださいね。