美大の入試ってどんな試験?一般選抜の配点と試験内容解説

美術大学の入試って、どんな試験をするの?

そう聞かれても、すぐに答えられる人は意外と多くありません。
「絵がとても上手じゃないと無理?」「普通の大学とは何が違うの?」「学科試験はあるの?」——
美大受験には、知らないからこその不安や疑問がたくさんあります。

絵を描くことは好きだけど、
美大の入試って、何をどうすればいいですか?
色々教えてください!

実は、美術大学の入試は“特別”ではありますが、
特別な才能を持った人だけの世界というわけではありません。
試験の内容や見られているポイントを正しく知り、順序立てて準備すれば、美大受験は誰でもスタートできるものです。

この記事では、美大入試をこれから知る方に向けて、

  • 主な美術大学はどんなところがある?
  • 美術大学ではどんな試験が行われるの?
  • 実技試験って何をするの?
  • 学科試験は大事?
  • いつ頃から準備を始めればいい?
  • よくある質問Q&A

といった基本的な疑問を、
できるだけ分かりやすく解説していきます。

美大に少し興味がある
子どもが美術大学を考え始めた
そんな方の最初の一歩として、ぜひ参考にしてみてください。

Contents

. 主な美術大学

美術大学と一口に言っても、国公立大学私立大学があり、それぞれに特徴があります。
ここでは、受験生がよく志望校として検討する主な美術大学を紹介します。

国公立の美術大学

国公立の美術大学は数が限られており、
全国から多くの受験生が集まるため、難関校が多いのが特徴です。
学費が比較的抑えられる点も魅力の一つです。また、大学入学共通テストの受験が必須です。

主な国公立美術大学

  • 東京藝術大学(東京都台東区)
  • 金沢美術工芸大学(石川県金沢市)
  • 愛知県立芸術大学(愛知県長久手市)
  • 京都市立芸術大学(京都市下京区)
  • 長岡造形大学(新潟県長岡市)
  • 沖縄県立芸術大学(沖縄県那覇市)
美術大学の所在地
主な国公立美術大学の所在地

私立の美術大学

私立の美術大学は大学数・学科/専攻数が多く、
自分の興味や将来像に合わせて、進路を選びやすいのが特徴です。
入試方式も多様で、大学ごとに特色があります。

首都圏の主な私立美術大学

  • 多摩美術大学
    (八王子キャンパス:東京都八王子市)
    (上野毛キャンパス:東京都世田谷区)
  • 武蔵野美術大学(東京都小平市)
  • 東京造形大学(東京都八王子市)
  • 女子美術大学
    (相模原キャンパス:神奈川県相模原市)
    (杉並キャンパス:東京都杉並区)
  • 東京工芸大学(東京都中野区)
  • 日本大学芸術学部(東京都練馬区)
  • 横浜美術大学(神奈川県横浜市)
美大の所在地画像
首都圏の美術大学所在地

大切なのは「大学名」よりも「学びの内容」

美術大学選びで大切なのは、
偏差値や大学名だけで判断することではありません。
どのような分野を学びたいのか、
どんな制作環境で学びたいのかを考えることが重要です。

まずは、
「美術大学にはどんな選択肢があるのか」を知り、
そこから少しずつ、自分に合った進路を探していきましょう。

毎年夏ぐらいに多くの大学がオープンキャンパスを開催しています。
学生の作品や公開授業などがみれたり、先生に直接お話を聞けたりするので、ぜひ行ってみると良いですよ。おすすめです!
それは楽しみ!
自分の目でしっかり見てきます!

. 美大は「表現系」「デザイン系」「教育系」の3つのタイプに分類できる!?

学科/専攻を内容の違いで分類

美術大学の学科/専攻は種類が多く、
初めて調べる人にとっては、違いが分かりにくく感じられるかもしれません。
そこで一つの考え方として、
学びの内容や目的の違いから、
「表現系」「デザイン系」「教育系」
の3つのタイプに分けて整理することができます。


これは公式な分類ではありませんが、
美術大学で「何を学ぶのか」を理解するための、
ひとつの目安として役立ちます。

なんとなく全部ひと塊りだと思ってたけど、
色々あるんですね。

表現系|自分の表現を深める学科/専攻

表現系の学科/専攻では、
絵画や彫刻などの制作を通して、
自分なりの表現を追求することを中心に学びます。
日本画油画版画彫刻などの学科が代表的で、
作品そのものの完成度や表現の強さが重視される傾向があります。

デザイン系|"伝える" "使うため"の表現を学ぶ学科/専攻

デザイン系の学科/専攻では、
誰かに伝えること、社会で使われることを意識した表現を学びます。
グラフィックデザインプロダクトデザイン空間デザインテキスタイルデザイン映像情報デザインなどがあります。
各大学で、発想力や構成力、課題への取り組み方が重視されます。

教育系|美術を「教える」視点で学ぶ学科/専攻

教育系の学科/専攻では、
美術そのものだけでなく、
美術をどのように伝え、教えていくかを学びます。
美術館学芸員や美術科教員養成を目的とした芸術学科などがこれにあたり、
美術の研究とあわせて、教育や指導についても学ぶのが特徴です。

大学専攻図

大切なのは「今の興味」で考えること

進路を考える段階では、
「将来これに決めなければならない」と
固く考える必要はありません。
まずは、
自分がどのタイプに少し興味を持っているかを知ることで、
学科/専攻や大学を調べるヒントになります。

. 美術大学で学べること

美術大学では、
絵を描いたり、作品をつくったりする技術だけを学ぶわけではありません。
「表現すること」を軸にしながら、考える力や、ものを見る力を深めていく場所です。

1|専門分野の表現・技法を学ぶ

学科/専攻ごとに専門的な表現や技法を学んでいきます。

  • 絵画系学科:日本画・油画などの絵画表現
  • 彫刻・立体系学科:塑像や素材を使った立体表現
  • デザイン系学科:グラフィック、プロダクト、映像など
  • 工芸系学科:素材や技法を生かした制作

自分の興味や適性に合わせて、
表現の幅を少しずつ広げていきます。

自分が所属する学科/専攻以外の表現の研究もできたり、自由度が高いのも美大の特徴です。

2|”つくる”だけでなく、「考え、伝える」力を養う

美術大学では、作品をつくる過程そのものが重視されます。
なぜこの表現を選んだのか、
何を伝えたいのかを言葉で説明する機会も多くあります。

制作と講評を繰り返す中で、
自分の考えを整理し、他者に伝える力が自然と身についていきます。

制作過程で先生と密に相談したり、作品を発表(プレゼンテーション)したりする機会がたくさんあります。

3|自分なりの表現を見つけていく

在学中は、正解をなぞるのではなく、
試行錯誤しながら、自分なりの表現を探していきます。

先生や仲間とのやりとりを通して、
視野を広げ、考え方を深めていくことも、
美術大学ならではの学びと言えるでしょう。

美大に通っている時期は人生における研究期間です。
同じ志を持った仲間や、その道のプロの先生方の存在は、それはそれは大きな刺激になります。

4|将来につながる力を育てる

美術大学で身につく、
観察力発想力構成力表現力といった力は、
デザイン、映像、教育、ものづくりなど、
さまざまな分野で生かされていきます。

卒業する4年後には、プロのデザイナーやクリエイターになる人がたくさんいます!

美大は「好き」を学びに変える場所

美術大学は、
「好きだからやってみたい」という気持ちを、
学びとして深めていく場所です。

まだ進路がはっきり決まっていなくても、
学びながら考えていくことができます。
美大での学びを通して、
自分の可能性を少しずつ広げていきましょう。

”好きなこと”を将来に繋げたい!!

. 美大入試の基本構成|実技試験と学科試験

さて次は、実際の入試のお話です。
美術大学の入試と聞くと、絵を描く「実技試験だけ」というイメージを持たれがちですが、多くの美術大学では 学科試験と実技試験の両方が課されます。

学科試験

学科試験は、英語や国語など一般的な大学入試と共通する内容が中心です。
学力を判定するために、国公立は共通テストを利用し、私立大学は各大学が用意する独自の学科試験を利用する方式と共通テストを利用する方式があります。
また、大学や学科/専攻によっては、学科試験の配点を抑え実技を重視する方式や、またその逆に学科を重視する方式などもあります。

実技試験

一方実技試験では、実際に絵を描く試験を通して「よく観察しているか」「形や空間を理解しているか」「課題にどう向き合っているか」といった、美術を学ぶ上での基礎的な力が見られます。
実技試験というと、「感性」や「才能」といった、少し漠然としたものが求められていると考えがちですが、
ここでいう“美術を学ぶ上での基礎的な力”は、実技試験の評価基準として明確に求められている「絵を描く力」の一部なのです。

大切なのは、
実技が得意な人だけが受ける試験」や「学科ができなければ受からない
と決めつけてしまわないことです。
なぜなら、

美大の入試のほとんどは、
学科+実技合計点で判定される試験です。なので、学科も実技もバランスよく勉強することがとても大切です!

まずは、
美術大学の入試は"「学科」と「実技」という2つの柱で成り立っている"ということを知ることが、美大受験を理解する最初の一歩になります。

5. 実技試験とは?美大入試で一番重視される試験

美大入試の大きな特徴が、実技試験の存在です。
多くの人が一番気になるのがこの試験ではないでしょうか。
「どんな絵を描かされるの?」「上手に描けないとダメ?」と、不安に感じる方も少なくありません。

実技試験の内容は大学や学科/専攻によってさまざまですが、
多くの美術大学で行われているのは、限られた時間の中で課題に取り組む試験です。
あらかじめ決められたテーマやモチーフが与えられ、それをどのように理解し、表現するかが見られます。
例えば、

・目の前に置かれたモチーフを鉛筆で描く

鉛筆デッサン[3時間]
問題|机上のモチーフをデッサンしなさい。

武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科入試問題

武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科静物デッサン 2024年度入試合格再現作品
合格作品
・いくつかの条件をもとに画面を構成する

視覚表現[5時間]
問題|「放出(ほうしゅつ)」をテーマに任意の幾何学体を用いて視覚表現しなさい。

多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース入試問題

多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース 2025年度入試合格再現作品
合格作品
・与えられたテーマについて考えを形にする

構成表現[5時間]
問題|「100」をテーマに構成表現しなさい。
どのように「100」を解釈したのかが分かるように、タイトルを別紙に表しなさい(10文字以内)。

多摩美術大学統合デザイン学科入試問題

多摩美術大学統合デザイン学科 2024年度入試合格再現作品
合格作品
作品タイトル「まだ先は長い・・・」

といった課題が出されます。

1枚の作品に3時間や5時間をかける試験時間が多いです。
5時間も描き続けるなんてびっくりです!!

ここで大切なのは、大学や学科/専攻によって大まかな傾向はあるものの、
「これが正解」という絵があらかじめ決まっているわけではないということです。

実技試験は、作品の完成度だけを競う場ではありません。
課題の意図をどのように理解し、それをどんなイメージとして捉え、
そのイメージを表現するために、どのように考え、取り組んできたのか——
そうした姿勢も、評価の対象になります。

つまり実技試験とは、
「絵がどれだけ上手か」を一方的に測る試験ではなく、
美術を学ぶ準備がどれだけできているかを確認する試験だと考えると、少しイメージしやすくなるかもしれません。

そうか、、、
みんないろんなことを考えて絵を描くんだ、、、
そうですね!美大入試は、
将来クリエイターになるための準備の一環でもあるんです。

6. 多くの学科/専攻で行われる「鉛筆デッサン」とは

美術大学の実技試験の中で、最も多くの学科/専攻で行われているのが鉛筆デッサンです。
美大入試と聞いて、最初にこの試験を思い浮かべる方も多いかもしれません。
どんな課題が出され、どんな力が評価されているのかを見ていきましょう。

デッサンっていうと、
なんか大きな像を描くイメージ、、、

鉛筆デッサンの試験では、
石膏像や静物、幾何形体など、実際に目の前に置かれたモチーフを見て描く課題が出されることが多くあります。

また学科/専攻によっては、モチーフが実際に置かれず、
与えられた言葉や条件をもとに、イメージを組み立てて描く課題が出される場合もあります。

さまざまなデッサン課題例
ガッタメラータのデッサンその3
問題 | 台上に置かれた石膏像を与えられた画用ボードに鉛筆デッサンしなさい。
東京藝術大学デザイン学科
多摩美術大学統合デザイン学科 2025年度入試合格再現作品
問題 | 「はじめての手」を描きなさい。
作品のタイトルを別紙に表しなさい(10字以内)。
多摩美術大学統合デザイン学科
多摩美術大学建築・環境デザイン学科 2025年度入試合格再現作品
問題 | 床にモチーフが置かれています。
このモチーフを6個以上使い、立体構成した状態を想定し、鉛筆デッサンしてください。
多摩美術大学建築・環境デザイン学科

ここで見られているのは、
「写真のようにそっくり描けているか」だけではありません。
モチーフをどれだけ丁寧に観察し、形や空間を理解しながら描いているか
また、光と影の関係をどのように捉え、画面に表現しているかといった点が評価されます。

たとえ線が少し不安定でも、
観察した内容がきちんと絵に反映されていれば、評価につながることもあります。
逆に、見た目がきれいでも、よく見ずに描かれたデッサンは高く評価されにくい場合があります。

鉛筆デッサンは、
単に「絵がうまいかどうか」だけを競う試験ではなく、
美術を学ぶための基礎的な力が、どの程度身についているかを見極める試験です。

いろんなタイプのデッサンがあるんですね。
どんなデッサンの課題でも、
細かく観察して丁寧に描こうとする姿勢がとても大事です。

ただし、大学や学科/専攻によって評価の傾向には違いがあります。
たとえば東京藝術大学のように、
一枚のデッサンとしての完成度や、絵としての強さが、
より厳しく問われる大学もあります。

それでも、その「絵の強さ」は、
観察力や形の理解、空間の捉え方といった基礎的な力の積み重ねの上に成り立っています。
だからこそ鉛筆デッサンは、
初めて美大受験を考える人にとっても、
まず向き合うことになる大切な実技試験と言えるでしょう。

7. 大学・学科/専攻によって違う、実技試験の内容

美術大学の入試では、「実技試験がある」という点は共通していますが、
その内容は、学科/専攻によって大きく異なります。
どのような実技が課されるかは、目指す学科/専攻によって変わるため、事前に知っておくことがとても重要です。
ここでは、分野ごとの特徴を整理しながら、実技試験の違いを紹介します。

日本画・油画など表現系の学科/専攻

日本画学科、油画学科などの表現系の学科/専攻では、
鉛筆デッサンに加えて、
日本画学科では着彩、油画学科では油絵など、
学科/専攻の特徴を反映した課題が出されることも多く、表現力が評価されます。

学科の特徴を反映した課題
東京芸術大学絵画科油画専攻
油画学科の油絵
女子美術大学美術学科日本画専攻 合格者作品
日本画学科の人物着彩
日本画専攻静物着彩
日本画学科の静物着彩

グラフィックデザイン・プロダクトデザインなどデザイン系の学科/専攻

グラフィックデザイン学科、プロダクトデザイン学科などのデザイン系の学科/専攻では、
デッサンに加えて、色彩構成の課題が出されることが多くあります。

ここでは、正確に描く力だけでなく、
与えられた条件やテーマを理解し、それをどのように画面や形にまとめるかといった、
構成力や思考力も重視されます。

学科の特徴を反映した課題
多摩美術大学グラフィックデザイン学科 2025年度入試合格再現作品
多摩美術大学グラフィックデザイン学科の色彩構成
多摩美術大学プロダクトデザイン専攻 2024年度入試合格再現作品
多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻の色彩構成
多摩美術大学情報デザイン学科 2023年度入試合格再現作品
多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコースのの色彩構成

このように、美術大学の実技試験は一つの型に当てはまるものではありません。
同じ大学であっても、学科/専攻が違えば試験内容や評価のポイントは大きく変わります。
だからこそ、
美大に行きたい」ではなく、「どの学科/専攻で何を学びたいか」を考えることが、入試対策のスタートラインになります。

「美大」と言っても実はかなり細かく分類されているんです。
色々ありすぎて、、、
どうやって調べていったら良いですか?
各大学のホームページを見てみると良いですよ。
あとやっぱりおすすめは、オープンキャンパスですね!

8.一般選抜の配点と試験内容|実技と学科はどちらが大事?

学科と実技はどのくらい重視されるの?

美術大学の入試について調べ始めると、
「学科と実技の合計で合否が判定されるのはわかったけど、配点はどれくらいなの?」という疑問を持つ方は少なくありません。

結論から言うと、
大学や学科/専攻、試験方式によって大きく異なります。
すべての美大で、学科と実技の割合が同じになっているわけではありません。
ここでは私立美大の割と多い代表的な一般選抜の「一般方式」と「共通テスト方式」の配点例をみてみましょう。

ちょっと待って!
「一般方式」と「共通テスト方式」ってなんですか?
私立美術大学の入試で「学科力」をどの試験で判定するかの違いなんです。
一般方式は、各大学独自のペーパテストで、
共通テスト方式は、共通テストの結果を採用します。
また、ほとんどの学科/専攻で併願ができます。
国公立は共通テストで学科力を判定するので、
”一般方式””共通テスト方式”という仕組みはありません。

一般選抜/一般方式

各大学が用意する独自の学科試験と、絵を描く実技試験合計で、合否を判定する方式です。

一般選抜入試の配点解説図

※多摩美や武蔵美の多くの学科/専攻が採用している配点の一例です。
実際の配点や試験内容は、大学・学科・年度によって異なります。

一般方式のポイント

  1. 学科試験200点+実技試験300点、合計500点満点で判定する。
  2. 実技試験は2科目を採用している学科/専攻が多く、各150点満点合計300点満点
    1科目のみの学科/専攻も少数あり、その場合は1科目で300点のケースが多い。
  3. 学科試験は、英語国語2科目が多い。英語はリスニングが無く、国語は現代文のみの学科/専攻が多い、また、多摩美術大学は国語の問題中に小論文を課している。
学科と実技の配点が2:3で、
実技重視の傾向があるのが特徴です。

一般選抜/共通テスト方式

共通テストを学科試験として利用し、実技試験の合計で合否を判定する方式です。
多摩美術大学と武蔵野美術大学では、一般方式の実技試験の点数(300点)を、200点満点に換算して判定します。

一般選抜入試の配点解説図

※多摩美や武蔵美の多くの学科/専攻が採用している配点の一例です。
実際の配点や試験内容は、大学・学科・年度によって異なります。

共通テスト方式のポイント

  1. 多摩美/武蔵美は、学科試験200点+実技試験200点、合計400点満点で判定する。
  2. 国語(近代以降の文章)、地理歴史、公民、外国語(英語)、数学、理科、情報から2教科2科目を選択するケースが多い。
  3. 募集人員が一般方式より少ない傾向があり、競争率が高くなる傾向がある。
  4. 実技試験を課さず共通テストだけで受験できる方式を用意している大学/学科/専攻もある。
  5. 英語は基本リーディングのみだがリスニングを採用している大学もある。
  6. 共通スト方式は大学/学科/専攻によって、かなり違いがある。
多摩美/武蔵美の共通テスト方式は、
学科と実技の配点バランスが、1:1になります。また、共通テストだけで合否判定をする方式もあったりと、一般選抜より学科重視の傾向があるのが特徴です。

二つの学科試験で可能性が2倍!でも実技試験は1回のみ

一般方式、共通テスト方式ともに、受験するにはそれぞれ出願が必要です。
一般方式だけを受験する、または共通テスト方式だけ、また、一般方式・共通テスト方式両方とも受験する、という3パターンあります。ハマ美では8割ぐらいの生徒が、両方とも出願して受験しています。2回、学科テストを受けるチャンスがあるということですね。

「一般方式」と「共通テスト方式」で2回学科テストのチャンスがあるんですね!
実技試験も2回チャンスがあるんですか?
少々ややこしいのですが、実技試験は1回きりです。
下の図を見てください。
一般選抜入試の配点解説図

※多摩美や武蔵美の多くの学科/専攻が採用している配点の一例です。
実際の配点や試験内容は、大学・学科・年度によって異なります。

一般選抜の「一般方式」と「共通テスト方式」の違いは、学科力の判定を、各大学独自の学科試験を利用するか共通テストを利用するかの違いです。ですので「実技試験」は一回のみです。

そっか、
実技試験は1回だけなんですね!

共通テストの英語のリスニング

英語のリスニングを、リーディングと合わせて英語の評価とするのか、しないのか、大学・専攻によって違いがあります。
主要大学の2026年度の募集要項を見てみると、リーディングのみとしているのは、武蔵野美術大学と東京造形大学。リスニングも含むとしているのは、多摩美術大学と女子美術大学、東京藝術大学でした。女子美術大学は、リーディングとリスニングで合計200点。もう一つの選択科目と加え合計300点が学科の配点になっています。
多摩美術大学も独特な配点方法を採用していて、

①【リーディング】50点満点に換算+【リスニング】50点満点に換算
②【リーディング】100点満点のうち、高い方の得点を評価します。

2026年度 多摩美術大学 美術学部入学試験 一般選抜学生募集要項より

となっています。リスニングをどの様に評価に組み込むのか、それぞれ特徴があらわれていますね。

「一般方式」「共通テスト方式」:まとめ

さて、おさらいです。
私立美術大学の一般選抜は、実技試験と学科試験の合計点で合否が判定される試験です。
「一般方式」と「共通テスト方式」があって、両方出願すれば学科の試験を受けるチャンスが2回あります。一般方式の科目は英語国語が一般的、それに対して共通テスト方式は選択制を取っているところが多い。でも実技試験は1回で、デッサンと専攻別実技の2科目が一般的。多摩美や武蔵美ではその実技試験の点数が一般方式と共通テスト方式で別々に換算されます・・・。
さあ、駆け足で一般選抜の配点と試験内容についてお話ししてきましたが、1番のポイントは・・・、

学科が苦手だから美大は無理」「実技だけできれば大丈夫
と極端に考えてしまわないことです。
自分が目指す学科では、学科と実技のどちらが、どの程度重視されるのかを知り、
それに合わせて準備を進めることが、合格への近道になります。

絵の対策も、学科の対策も、両方ともしっかり取り組む!
ということが何より重要です!

9. いつから準備を始めればいいの?

美術大学の入試について知っていくと、
「いつ頃から準備を始めればいいのだろう?」という疑問が自然と出てきます。
周りに美大受験をする人が少ないと、なおさら不安に感じるかもしれません。

まず知っておいてほしいのは、
美大受験は、早く始めた人だけが有利になるものではないということです。
大切なのは、スタートの時期よりも、どの段階で何を積み重ねていくかです。

高校1・2年生のうちにやっておきたいこと

この時期は、受験を強く意識するというよりも、
デッサンの基礎を身につける時期と考えるとよいでしょう。
鉛筆の使い方、よく観察すること、形や光と影を捉えることなど、
後から必ず土台になる力を、少しずつ積み重ねていきます。

また、
「美術大学にはどんな学科があるのか」
「自分はどんな分野に興味があるのか」
を知ることも、この時期にとても大切です。

高校3年生で意識すること

高校3年生になると、志望校や学科を具体的に考えながら、
入試を意識した実技対策が中心になっていきます。
試験時間を意識した制作や、過去の入試課題をもとにした練習など、
実戦に近い形での準備が必要になります。

学科試験についても、
実技とのバランスを見ながら、無理のない計画を立てていくことが大切です。

大切なのは「自分の今」に合った準備

「もう遅いかもしれない」と感じる人もいるかもしれませんが、
美大受験において、一律の正解のスタート時期はありません。
今の自分に必要なことを知り、できるところから始めることが、何よりも大切です。

10. よくある質問Q&A

ここでは、美術大学の入試について、
初めて調べる方からよく寄せられる質問をまとめました。
「自分だけが不安に思っているわけじゃない」と感じながら、読んでみてください。

絵が得意じゃなくても、美大を目指せますか?
はい、目指すことはできます。
美大入試では、「もともと絵がうまいかどうか」よりも、
どれだけ観察し、考えながら描いているかが重視されます。
基礎を正しい順序で学び、積み重ねていくことで、力は確実に伸びていきます。
中学や高校から美術を本格的にやっていないと不利ですか?
必ずしも不利になるわけではありません。
実際に、高校に入ってからデッサンを始め、美大に進学する人も多くいます。
大切なのは、経験の長さではなく、
入試で求められる力を理解し、準備できているかどうかです。
普通科高校からでも受験できますか?
もちろん可能です。
美術大学を受験する多くの生徒は普通科高校に通っています。
学校の授業とは別に、実技対策の時間をどのように確保するかがポイントになります。
才能やセンスがないと合格できませんか?
美大入試は、「才能」や「感覚」だけで合否が決まる試験ではありません。
これまでお伝えしてきたように、
観察力、理解力、課題への取り組み方といった
美術を学ぶための基礎的な力が、評価の対象になります。
これらは、後から身につけていくことができる力です。
まだ進路がはっきり決まっていなくても大丈夫ですか?
問題ありません。
早い段階では、「少し興味がある」「絵を描くのが好き」
といった気持ちから始める人も多くいます。
デッサンを学びながら、自分がどの分野に向いているのかを考えていくこともできます。
まず何から始めればいいですか?
まずは、
美術大学の入試にどんな試験があるのかを知ること
そして、鉛筆デッサンなどの基礎に触れてみることがおすすめです。
体験講習や短期講習などを利用して、
「実際に描いてみる」ことが、次の一歩につながります。

まとめ|美大入試は「仕組み」を知ることから始まる

この記事を通して、
美術大学の入試が「特別すぎるもの」ではなく、
正しい情報と準備によって、誰でも目指せる進路であることが伝わっていればとても嬉しいです。
まずは、志望校の入試方式と配点を知り、
それに合わせて実技と学科の準備を進めていきましょう。

イラスト

美大入試説明会

横浜美術学院では、3月14日と15日に美大入試説明会を行っています。
美大入試について各コースの担当講師が丁寧に解説します。

美大入試に少しでも興味がある方はぜひ参加してみて下さい!

詳しくはこちらをクリック↓