静物デッサンの描き方の見本

これからデッサンを勉強する人から、さらに向上を目指す人まで、鉛筆デッサンの制作プロセスや描き方のポイントを提示しながら、スキルアップをお手伝いするデッサンハウツーブログ。
今回は「卓上デッサン」についてです。
東京造形大学入試や女子美術大学、桑沢デザイン研究所などの入試でよく出題される卓上デッサン。
普通に”静物デッサン”はよく耳にしますが、そもそも卓上デッサンってなんでしょう?

卓上デッサンとは?

卓上デッサンとは、複数のモチーフが各人に手渡され、それらを自分で机上(台上)に配置、構成してデッサンする形式を言います。

「配布した素材を、条件に従いそれぞれの素材の存在をわかりやすく配置し、解答用紙に鉛筆でデッサンしなさい。」
素材
1.チーズのおもちゃ。
2.片手鍋。
3.透明ボトル。
4.ランチョンマット。

東京造形大学HPより

こちらは2020年の東京造形大学の入試で出題されたものです。

「モチーフを下記の条件内で机上に配置して鉛筆で画用紙ボードにデッサンしなさい 。ただし、箱の表面にワインボトル専用パッケージとしてグラフィックデザインを想定して描くこと」
※条件1.ワインボトルの栓は開けないこと

女子美術大学HPより

こちらも2020年の女子美術大学のヴィジュアルデザイン専攻の入試で出題されたものです。

ちょとした言い回しの違いはありますが、どちらも自分で配置して描きなさいという課題です。
一つひとつのモチーフの描写に求められることは、卓上デッサンだからといって何か特別なものが要求されるわけではありません。形を正確に捉えられているか、質感の表現ができているか、固有色の描き変えがしっかりとできているかなどを注視しながら描きましょう。
では”卓上”ならではのコツはなんでしょう?

卓上デッサンのコツは?

ポイント1:構図

静物デッサンの描き方の見本1
一番のポイントはズバリ「構図」です。ほとんどの人は、まず配布されたモチーフを台上に組んで、それから構図を決めていくと思いますが、これは間違いです。卓上デッサンでは、モチーフを組む前に想定で画面内にモチーフを配置していきます。つまり先にモチーフを組んで構図を決めるのではなく、絵の中にベストな配置を想定してあたりを取って構図を決めていくのです。そのときに気をつけることは、構図をなるべく大きくとれるように意識して画面の端からあたりをつけていきます。
上下左右に空きすぎている辺がないことを確認し、ある程度物の配置が確定したら、モチーフの方を絵に合わせて配置します。さらに、形をとっていき、不自然な形の重なりになってしまったり、接点が見えずらいなどがあれば、 モチーフを動かして調整します。こうしていくと、「構図が悪い」ということは起こりません。3時間の課題では、ここまでを30分ぐらい行い、全てのモチーフを画面内に登場させましょう。

ポイント2:空間構成

静物デッサンの描き方の見本2
次に難しいのは物の配置ではないでしょうか。物の配置は、近景、中景、遠景を意識して空間を構成しましょう。台上の接点は画面の下辺に近いほど自分に近い(手前)にあることになります。この点がジグザグ(Z形) になるように配置するのが良いです。なんとなく等距離に配置してしまったり、一箇所にまとまってしまわないように気をつけます。 また画面が横位置の場合、瓶など背の高いモチーフを中景より後ろに配置してしまうと全体のスケール感が小さくなってしまうので、近景に配置した方が効果的です。

ポイント3:光の設定

静物デッサンの描き方の見本3
試験では座った席が「描きやすく、空間や形を見せやすい光」であるとは限りません。必ず絵の中で設定し、空間が見せやすい光を演出する必要があります。ポイントは、「上からの光(トップライト)を一番強く」「逆光にはしない」です。これを基本とした上で、構成によって少し右手前から当てるか、左手前から当てるかを決定します。

卓上デッサンのまとめ

受験校や専攻によってモチーフの傾向や密度に多少の差がありますが、卓上デッサンが出題される場合は、二次元上(紙の上)に三次元空間(現実空間) をしっかりと再現できるかどうかが、求められていることの全てです。ここまでにあげたポイントは、あくまでも「それ」(現実空間の再現)をできるだけやりやすくするためのポイントにすぎません。
ですから、これらのポイントを押さえた上で、しっかりと描き切ることができなければものの質感や、色などを伝えることができないし、完成度がなければいくら形が合っていても、巧みに構成されていても評価は得られないでしょう。卓上デッサン課題に限ったことではないですが、とにかく、最後はしっかり描き切って終わる! ことを忘れないようにしましょう。