サザエを持つ手のデッサン:制作プロセス

こんにちは!基礎科です。
今回は、講師によるデッサンの制作プロセスをご紹介します。
課題は「サザエを持つ手」。
画面サイズはB3です。
手のデッサンは、多くの大学・専攻で出題されるポピュラーな課題の1つです。
どういうことに気をつけながら描いているのか、早速見てみましょう!

①「たっぷりざっくり、形を捉える」

こんなにざっくりで良いの?という感じですね。笑
描き始めはディテールにとらわれず、大きな形をざくざく捉えていきます。プロポーションを意識し、鉛筆を重ねていきましょう。
よく見ると、濃く塗っている部分と、紙の明るさを残している部分がありますね。

②「光の演出」

さらに描き進めると、その差がはっきりしてきました。作者が意識的に「光」を描いていることが分かりますね。このように絵を印象的に見せるための工夫を、「演出」と言います。

Point!

この図のように、エスキースの段階で、どのような演出を施すかを計画しておきましょう!

絵を描く上で、この「演出」はとても重要です。どんな絵にしたいのかが、この「演出」にかかっていると言っても過言ではありません。光に限らず、例えば構図も「演出」の1つ。構図1つでその絵の表現することが変わってきます。作者はそのことを意識的に選択する必要があります。難しいようで、すごく面白い部分です。

③「質感の持つ、臨場感」

さてかなり鮮明になってきました!ここで作者は、物の「質感」にこだわっています。

Point!

質感というと、ゴツゴツとか、ツルツルとか、分かりやすくオノマトペで表現できますが、実際はもう少し繊細です。例えば私たちは、目の前にあるものを見るだけで、それがどのような重さで、どのような硬さで、どのような触感なのかをかなりの精度で判断することができます。目の前のワイングラスを、野球のボールを拾うようには持ち上げませんよね。やはり慎重に手にするはずです。薄くて、つるっと滑ってしまいそうだと、視覚だけで判断しているわけです。
絵でも、そういう臨場感を盛り込みたい!

④完成!

手の質感の精度が増して、自然な皮膚感に仕上がりました!サザエの、表層のざらりとした感じも伝わります。触れられそうなリアリティがありますね。

「こんな絵にしたい」という構想が詳細なほど、やるべきことが増えます。その1つ1つの積み重ねが、納得のいく絵を描くために必要なプロセスです。たくさんのことを抱えて、絵を描きましょう!