手の鉛筆デッサン画像

手の構成デッサン:プロセス

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今回は、多摩美術大学のデザイン科(グラフィックデザイン学科、プロダクトデザイン専攻、統合デザイン)の出題を想定した手の構成デッサンの制作プロセスをご紹介します。2つの作品のうち、今回は左側の作品の描き出しから5時間(試験時間)の完成までの制作過程です。

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描き出し〜15分

描き出しの最重要チェック項目は「構図」です。5時間しっかり描き詰めたとしても、構図が悪ければ大幅な減点になります。描き進めてしまうと構図を直しづらくなってしまいますし、それまで描いた時間が無駄になります。5時間で高い完成度を目指すとなると、描き出しの早い段階で構図をチェックすることが最も合理的な進め方になります。
ですので、画面全体をフルに使えているか、手が小さくないかなどに留意しながら、大きく当たりをとっていきましょう。
この時点で構図や手の大きさに問題があれば、すぐに修正していきます。

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15分〜45分

構図や手の大きさをチェックしながら、徐々に具体的に表していきます。ここで重要なことは、形の「構造」を確認することです。特に手は、輪郭的なシルエットを捉えていくだけでなく、手の骨格を意識して、関節の位置関係を確かめるなどしながら、構造的な形の解釈を増やして、自然な手の動きが表現できるように心掛けましょう。
この作者は指の関節の位置関係を頼りに形を捉えて行っていますね。このように進めると、早めに形の狂いを発見できますね。
また、この「形」の問題は、このタイミングだけでなく、最後の最後まで見直して修正していくことが必要ですので、常に意識しながら描き進めていきましょう。
また、30分ほどの時間で大きな手の形どりができるように、日々クロッキー力を鍛えるトレーニングを行いましょう。

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45分〜1時間

手の形の正確さに留意しがら、鉛筆の調子を乗せ始めます。
ポイントは二つ。一つは、立体感の表現のために、光の階調(明暗)を意識して調子を乗せることです。立体感を表現する上で、光の明暗を利用することはとても有効で効果的です。光の方向を設定し、大まかな明暗の調子をつけていきます。白い画用紙に黒い鉛筆で描くので、鉛筆で加筆する部分が暗さにあたり、残された画用紙の部分が光が当たっている場所となります。
もう一つは固有色の表現のためです。固有色とは、そのもの自体が持っている固有の色味のことです。この作品で言うと、手と箱の色味の違いを表現するために調子を付けていますね。

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1時間〜2時間

これまでの仕事をベースにしながら、さらに加筆していきます。時間が経つにつれ、より観察の深度が深まるように丁寧な観察を心がけましょう。光が当たる明るい部分と当たらない暗さの部分の境目の稜線を優先的に観察し加筆する ことが効果的です。より明快な立体感の表現を目指します。

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2時間〜3時間

中盤です。ほぼ絵の大きな作りはできていますね。手の白さを明度の低い箱の色が引き立てていて、階調の綺麗なデッサンです。
一方で、光の明暗を頼りに暗さの部分に鉛筆の調子を乗せてきていますので、光を受けている明るい側は画用紙の白さがそのまま残っています。描き進めるセオリーはあっていますが、白いままだと充実感のあるデッサンになりませんので、少しづつ明るい側にも手を入れていきましょう。とはいえ、日が当たっている明るい世界ですので、コントラストがあるような見えがかりはありませんから、そこは触覚的な形の解釈を増やして形を捉えていくと良いでしょう。触覚的な形の解釈とは、触ったらどんな風に凸凹しているのか、形の起伏を捉えていく見方です。上の手の第三関節などに触覚的な形の解釈が見られますね。

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3時間〜4時間30分

終盤へ向けてさらに加筆していきます。もっと細かく、もっと丁寧に観察を深めていきましょう。中盤から終盤にかけての仕事でクォリティに差が出ます。結構この時間帯は鬼門です。疲れてきてもいるので、目が荒くなりがちで、なんとなく同じことの繰り返しで、ただ黒くなっていくことが良くあります。高い完成度のデッサンのイメージをもう一度しっかり作って取り組みましょう。

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4時間30分〜5時間:完成

最後は詰めの作業です。5時間の試験時間であれば30分はフィニッシュワークのための時間を取っておけると良いでしょう。調子のムラを整えたり、アウトラインの精度を高めたり、ポイントになる部分の観察をより高めたりしながら、完成度を高めましょう。この仕事をするかしないかは、かなりの差となって現れますので、フィニッシュワークの時間が取れるように計画立てして進めていきましょう。

人によっても色々な描き進め方がありますので、時間経過は大きな目安として捉えてください。ただ、描き出しから1時間の作業内容と最後のフィニッシュワークは個人差に関わらず必須内容です。また、描き出しの1時間ぐらいの時間の中で、手の形を捉えられる力を付けなくてはなりませんので、1日1枚、30分のクロッキーを継続的に行うなどして身につけてましょう。