高1生・高2生の2週目のデッサン講座が始まりました。
今週は静物デッサン週間です。制作時間がたっぷり12時間もある講座ですが、そのぶん受験生でも苦戦してしまうようなモチーフが出題されます。そんな無茶な・・・という気もしますが、重要なのはそんな中でも基本が大切だということ。表面的には難しそうな問題も、基本的な公式に当てはめて答えてみようということです。
問題1【モチーフに描ききれないほどの情報量がある】
出題の一つ目は、描ききれないほどの情報量があるモチーフでした。折りたたみ式BOXと、金属製のチェーン、ヤシの実、ワイン瓶など、描きごたえのあるモチーフの大集合でした。この先のディテール(細部)の描き込みの作業量を想像するとゾッとします。。。でも出題者が求めているのは、できるだけシンプルな解答です。「四角くて大きい箱がある。その周りに円柱3本が立ち、箱の上には球体が1個乗っている。」絵がこのようにスッキリしていた人の勝ちです。いかに情報を整理し、分かりやすく伝えられるかが問われています。
問題2【モチーフはシンプルなのに、絵にすると分かりづらくなる】
出題の二つ目は、一見難しさは感じないのに、描くと難しさに気づくモチーフでした。モチーフの土台となっているのは穴あきブロック3つで、その上にガラスの丸い器が乗っていて、中には綿がつまっています。まず土台のブロックは、どの方向から見ても3つが見渡せません。全貌は見えなくて、必ずどれかが隠れてしまいます。「見えていなくても、裏側もちゃんとある」ということを伝えるのに、工夫が要るのです。
また透明なガラス容器と綿は、素直に見た目どおりに描いていくと、ふわふわと曖昧な描写になりがちで、実際に掴めるような物質感が表現できません。誤解を恐れずに言えば、「嘘をついてでも分かりやすい絵にする」というくらいのしたたかさがあって、初めて人に伝わりやすいデッサンが描けるのだと思います。
12時間制作するというのは大変なことですが、大変な分だけ、みんなに絵を描く体力が少しずつ付いてきたように思います。
夏休みが明けた後の成長が楽しみです。