手単体のデッサン:制作プロセス

手のデッサンの描き方を4STEPでご紹介!

こんにちは、基礎科です!

今回は久しぶりに、手のデッサンの制作プロセスをご紹介します。
手のデッサンは、多くの美大・専攻で出題される定番課題のひとつです。
どのような点に気をつけているのか・工夫があるのかを確認しながら、順を追って見てみましょう。

①メインを定め、構図を考える。

まずは構図です。どんな絵に仕上げるのか、プランが必要です。
例えば今回のこの絵は、横画面で、少し上に詰めた構図にしています。こうすることで、人差し指と親指周りの空間が画面の中心になり、絵の主役であることが伝わります。何を作品の顔とするか、具体的にイメージするようにしましょう。

②動きを捉える。

今回の絵では、手をほぼ真正面から描いているため、奥行きが少なく難易度が高めです。ちょっとした指のしぐさも拾って、前後関係を描いていきましょう。特に人差し指・中指・薬指は太さや長さも似ていて、描写が単調になりがち。皮膚のよりかたや、関節の向き、別角度からの見え方も観察して、自然な動きをとらえたいですね。構造をポリゴンに置き換えると、わかりやすいです。

③触感を描く。

静物デッサンなどでもよく言うのですが、制作の手を一旦止めて、絵の中のものに触れる感覚を想像してみましょう。「触感」は、厚みや重さ、張りなど、様々な要素を兼ね備えている、大切な感覚です。例えばこの手と握手をしたら、皮膚のキメや筋肉、骨を感じそうですね。温度もありそう。とか、そんなこともリアリティにつながります。

④描写のメリハリ。演出を考える。

人差し指をみると、③では線で描かれていた関節のシワに細かな光と陰が描かれ、立体感が出てきました。
ここで工夫を感じるのが、全てを描きすぎてはいないということ。例えば今挙げた人差し指は、明らかに絵の中で「鑑賞者の目を引きたいところ」として描かれているのに対し、隣の中指はかなり描写を抑え、ほとんどシルエットで見せています。
もちろん、手前(人差し指)と奥(中指)という空間の演出とも言えますが、同時に主役とそれを引き立てるための脇役という演出もされているわけです。
このような演出が、絵の見やすさにつながり、作品の意図を読み解くヒントにもなります。

いかがでしたか?
デザイン志望の人は、特に多く経験するであろう手のデッサン。制作のヒントになれば幸いです!