空間の描き方
こんにちは!基礎科です。
絵を学ぶ人は、少なからず「空間」という言葉を見聞きしていると思います。
美術予備校でも馴染みぶかいワードですが、抽象的で分かりづらい印象を持っている人もいるんじゃないでしょうか?
デッサンにおける「空間表現」について、考えてみましょう。
空間表現とは?
「空間」を辞書で調べると、「何もなく空いている場所」「物体の存在しない、空いているところ」などといった言い回しで説明されています。
デッサンで使われる「空間表現」の“空間”も、同様の意味合いで使われます。
しかし、「何もない場所を表現する」とは…非常に難しそうです。
ここで一度、「何もない場所には何が在るのか」を考えてみましょう。トンチのようですが、答えは単純で、何もない場所には「空気」があります。
空間表現は、「空気があることを表現する」と言い換えることができるわけです。
空気の描き方
具体例を見てみましょう。基礎科の授業で講師がデモストした静物デッサンです。
モチーフの周りに空気があるのがわかるでしょうか?手前から奥の方まで、風がすうっと通り抜けるように感じます。
実はこのデッサン、「風の通り道」になるように、ひっそり「トンネル」が描かれているんです。
どういうことなのか、制作途中の作者の頭のなかを図解してみると、こんなかんじ。
モチーフを壁に見立てて、トンネルでなくとも、門や箱などなんでもいいんですが、とにかく空気の形を具体的にイメージするわけです。その空気の入れ物を描くように周辺のモチーフを描くことで、空気自体を表現することができるんですね。
目には見えない、さまざまな要素
特に静物デッサンでは、モチーフの形を観察するのに躍起になってしまいがちですが、実際は、空気をはじめ光、匂いや温度、湿度など、さまざまな要素がそこに参加しています。
そして、そういう一見目には見えない要素が、実はリアリティを作るんです。
モチーフの形をよくよく観察することも大切ですが、そればかりに集中しすぎると、モチーフ以外は見えなくなってきてしまうことがよくあります。
そういう時はブレイクを入れて、全体を俯瞰で見ることも、時々必要です。