デッサンにおける、「視点」の話
こんにちは!基礎科です。
こちらの静物デッサン。授業で出題し、講師がデモストで描いた作品です。
梱包用の段ボールを積み重ねた高さのあるモチーフですが、苦戦した人も多かったんじゃないでしょうか。
この課題、どういう点が難しいかというと、、そう、パースですよね!!なかなかのパース地獄なんです。
生徒からもよく寄せられる、こちらの相談。
「パースにいつも苦戦します。どうしたらいいですか?」
今回は、デッサンを描くうえで欠かせない、「パース」の話をしたいと思います!
パースのルール
パースは、絵画を描く際に「奥行きを表現する」ために用いる技法のことで、平面の紙のなかに空間を構築していくデッサンでは欠かせない要素です。
以前デザイン科の先生がまとめたこちらの記事が図解入りでわかりやすいので詳細は割愛しますが、簡単にいうと(水平線に向けて)ものは徐々に小さくなっていき、やがて見えなくなることを、ルールに基づいて描く方法です。
この静物デッサンでは、段ボール部分に↓の図のような二点の消失点に向かっていく「二点透視図法」を使っています。
近くのものは大きく見え、遠くのものは小さく見える。
言ってしまえばとてもシンプルな話なんですが、自然に見せることが意外と難しい。デッサンの指導では「もっとパースをかけよう」「逆パースになってるよ」「オーバーパースになってるよ」という言葉がよく聞かれます。逆パースは奥にいくほど大きくなってしまっていることですが、これはパースの理屈を理解すればクリアできる問題なので良いとして、問題は「オーバーパース」や「パースが足らない」といった、「パースをかけてはいるけど、不自然」なパターン。どうしたら自然なパースが描けるのでしょうか。
アイレベルを意識しよう!
パースを描く際に利用する水平線。この水平線は何かというと、モチーフを見ている人の視点の高さである「アイレベル」を表しています。
このアイレベルが、実はとても大切です。
アイレベルより上は見上げになり、下は見下ろしになる。絵の中のアイレベルをしっかり設定することで、どういう視点からモチーフを見ているのかが明確になります。
パースが不自然になる人は、このアイレベルがごっちゃになってしまっていることが多いです。
アイレベルの設定が曖昧なまま描き進めてしまうと、、
りんごだけ、床が坂道になっているのがわかるでしょうか。一枚の絵のなかに複数の視点が存在してしまい、不自然な絵になってしまいました。
「パース」は「parspective/パースペクティブ」の略称ですが、パースペクティブは直訳すると、「(物事の)見方」や「視点」という意味を持ちます。
部分ごとにパースの良し悪しを判断するだけではなく、作品全体が「一つの視点から見た図になっているか」が自然な空間表現につながります。
アイレベルを常に確認して、パースを使いこなしましょう!