デッサンの記憶力の鍛え方
こんにちは、基礎科です!
このブログをご覧になっている方の中には、日頃からデッサンに取り組んでいる方も多いと思います。そこで質問です。みなさん、モチーフについてどれだけ覚えていますか?
最近描いたデッサンを思い出してみてください。そのモチーフの形や特徴、配置など、どれだけ詳細に頭の中に残っているでしょうか。
今回は「デッサンの記憶力」について考えてみましょう。
今日のデッサン、記憶で再現できる?
私がまだ学生で、ハマビの基礎科に通っていた頃、ある先生にこんな課題を出されました。
「今日の静物デッサンを、家に帰って記憶だけで描いてみよう。」
最初は「無茶を言うなぁ」と思いました。実際、言われた通りに試してみると、全然描けなくて。翌日そのことを先生に伝えると、こんな言葉が返ってきました。
「描けなかった部分は、ちゃんと観察していない部分だよ。」
どうやら、私はモチーフを「見ているつもり」だっただけで、実際には表面的に目で追っているだけだったようです。脳を通さず、ただ手が動いていた部分は記憶にも残らない。それからは、「記憶するつもりで観察する」ことを意識するようになりました。
記憶するコツは、かみ砕いて捉えること
とはいえ、「全部記憶しよう!」と意気込んでも、映像記憶には限界がありますよね。人によって記憶力の得手不得手はありますが、一般的には時間が経つほど記憶がおぼろげになっていくものです。
ただ、この練習を続けていると、少しずつ記憶の仕方が変わってきました。最初はモチーフを写真のように丸ごと記憶しようとしていたのが、次第に形の構造やモチーフ同士の関係性など、「自分なりに咀嚼した形」で覚えるようになったのです。
この変化によって、「見ないと描けない」という状態から解放されました。観察は大切ですが、モチーフの本質を掴むと、一つひとつを凝視する時間が減り、その分、絵に向き合う時間が増え、結果としてデッサンが上手くいくことが増えていきました。
観察は、本質を見抜くこと
デッサンはただの「写す作業」ではありません。モチーフを観察し、構造を理解し、それを利用しながら表現をする。それらを繰り返すことで、見る力と描く力が共に鍛えられていきます。
ぜひ一度、今日描いたデッサンを家に帰って記憶だけで再現してみてください。きっと自分の観察力や記憶力に、新しい気づきが得られるだろうと思います◎