講師作品テニスボールと薪

静物デッサンの描き進め方

こんにちは!基礎科です。

突然ですが、上手いデッサンってどんなデッサンだと思いますか?ただ正確な形が取れていれば良いのなら、写真でも構わないわけです。写真とは違う、絵の持つリアルや魅力ってなんでしょうか。

絵を始めたばかりの人で、モチーフを一生懸命に見ている人がいます。観察しないと描けないわけですから、当然ですよね。上手い人もやっぱり、よくモチーフを観察します。でもそれ以上に、「絵を見ること」をしています。現実を写し取るだけではない、絵のなかの様々な工夫が、絵をリアルに見せたり、魅力的に感じさせたりするからです。

今日は基礎科の講師が描いたデッサンの経過を見ながら、どんなことに気をつけて描き進めているのか、一緒に考えてみましょう!

描き出し:構図

講師作品1

描き出しです。今回のモチーフは薪とテニスボールですね。まずは柔らかい鉛筆で、大きく当たりをつけています。あとで修正がしやすいように、筆圧は弱めで描いていますね。

この段階で作者が最も大切にしているのが構図です。構図は紙に対してのモチーフの配置のことです。偏りや無駄な余白が無いよう、バランスよく収まるように注意しています。この時に影も忘れずに描いておきましょう!影も描いた上で、バランスを確認します。

中盤1:固有色・質感の表現

講師作品2

全体にトーンが乗ってきました。固有色の表現も出てきて、質感表現にも取り掛かっています。テニスボールは表面が毛羽立っているので、その触感を探っているようです。薪も凹凸を丁寧に拾いながら、鉛筆を重ねています。このように、全体をじわじわ同時に描き進めていくのがおすすめです。あっちは完成しているけど、こっちは全く手付かず、という状況は避けましょう。集中して描いていると、作品に目が近くなってしまって全体を冷静に見えなくなったりします。作品から一定の距離をとって、客観的な視点を意識したいですね!

中盤2:遠近感の表現

講師作品3

鉛筆の先を使った、キレのある描写が増えてきました。ここで注目したいのは遠近感です。

「ボールが一番手前にあり、その後ろに薪が斜めに置かれている」という状況がストンと伝わると思います。薪を見ると、右にピントが合うように描かれて、左にいくほど抜けていくように描写が柔らかくなっていきますね。描写の差によって、前後を表現しているんです。これは絵だけを見たら分かりやすいですが、実物を見ながら差をつけるのは、実は意外と難しいです。人の目は見たものにピントが合うように出来ていますから、観察しているとどこもかしこも「しっかり」見えてしまうんですね。絵の中で見え方を比較して、コントロールする必要があります。

とはいえ、いつまでも奥の描写をぼんやりさせておくわけにもいかないので、奥も描写しながらまた手前と比較して、を繰り返して、完成度を高めていきますよ!

終盤

講師作品4

完成です!細かな描写が入り、質感が伝わります。テニスボールのロゴも描き足されましたね。

今回このロゴは、とても重要な役割を担っています。フォントが歪むことでボールの丸さを表現しているのはもちろん、際に向けて徐々に見辛く、ボールの裏側まで繋がっていくように描かれています。こうすることで、見えない「裏側」があることを表現しています。

冒頭で「今回のモチーフは薪とテニスボール」と言いましたが、もう少し正しく言うと、「今回のモチーフは薪とテニスボールがある空間」です。モチーフを描くだけでなく、その場がいかに自然にあるかのように描けるかが、ポイントです。

いかがだったでしょうか?今回触れた内容に限らず、作者は絵の中で様々な工夫をしています。

普段の授業や夏期講習会でも、講師のデモンストレーションなど、プロセスを見れる機会があります。どんな工夫がされているのか意識して探してみてくださいね◎