有色紙デッサン:制作プロセス

こんにちは、基礎科です!
基礎科は1学期を終え、夏期講習まで束の間のお休み中です。
皆さん1学期お疲れさまでした◎
さて今回は、有色紙デッサンの制作プロセスをご紹介します!

有色紙デッサンとは

普段は白い紙に描くデッサンですが、有色紙(カラー紙)に描いていきます。
「白い画用紙にデッサンを描く」とは、言うなれば、「光の中に影(鉛筆)を置いていく」ということ。
では有色紙の場合はどうでしょうか?

今回使用した緑の紙。まず、これを白黒に置き換えてみましょう。

グレーになりました!中間色ともいいます。
最も明るい色は「白」、最も暗い色は「黒」です。そしてその間にグラデーションのようにたくさんの色があり、それらは「中間色」と言われます。無彩色(モノクロ)に限った話ではなく、今回のような有彩色にも同じことがいえます。

このように有色紙デッサンは、中間色をベースに描いていくのが特徴です。
中間色のベースに、光と影の両面から物の形を描いていく。
つまり黒だけでなく、白も描画色として用います。

黒と白でどう描くのか?
さっそく講師の静物デッサンを見てみましょう!

描き出し

書き出しです。今回は白コンテと黒のチャコペンを使用しています。まずは物のバランスを見ながら、暗さがくる場をチャコペン、日向/明るい固有色の場を白コンテで、当たりをとっていきます。

光と影の仕事

光と影が少し見えてきました。ここで おすすめは、まず絵の中で「1番明るい場所」と「1番暗い場所」を決めることです。この絵では、熊手の金属にずっしりした黒を、1番手前の持ち手にツヤのある光をおいています。こうしておくと、その間を繋げるように中間色を作りやすくなります。
その中間色も、白と黒を混色して作るのではなく、紙の色を利用しましょう。物の中に紙の色を残すことで、背景のトーンと乖離しすぎることなく描き進めることができます。この絵でも、白いロープの影側や赤りんごの明部に、紙の色が残っていますね。

床の描写

床の描写も進み、全体像がはっきりしてきました!
暗がりの中で、光が印象的ですね。明部をあえて限定する表現は、普段のデッサンにも活かせそうです。
そして有色紙デッサンを試す際ぜひ実感してもらいたいのが、「均一なトーンの美しさ」です。
カラー紙のように均一な色面を描くのは簡単ではありませんが、それだけでも完成度が高く張りのある絵になります。例えば影のトーンを、すごく丁寧に置いてみるとか。ぜひ普段のデッサンに取り入れて欲しいです。

完成

完成です!

こういった課題は、一見通常のデッサンと大きく異なるように感じますが、普段の制作にも活かせるヒントがたくさん潜んでいます。
この後の夏期講習でも、デッサンコース以外に絵の具ができる専攻別実技コースを受講する人も多いと思いますが、多くの学びがあることを期待します!

次回のブログでは、学期末に行った実技模試の結果をお送りする予定です。お楽しみに!