1学期実技模試優秀作品

優秀作品の講評

こんにちは!基礎科です。

1学期の最後に、学期末恒例の実技模試を行いました。
実技模試では、全基礎科生が一律に同じ課題に取り組み、完成作品には順位がつきます。
順位は大講評会で発表され、優秀作品は全員の前で講評がされます。

今回は講評会で選抜された優秀作品を、講師のコメントとともにご紹介します!

1位作品

講師:1位おめでとうございます。前回の実技模試も良い成績だったけど、引き続き描写力の上達が素晴らしいですね。正直リボンの扱いは他の上位作品に比べると少し固いんだけど、描写の力で1位を勝ち取ったね。親指から手のひらへの繋がりとかみると、すごく上手いなと思う。リボンが針金のように硬く見えてしまっているから、試しに結んでみたり、端の糸を解いてみたり、モチーフの特性をもっと観察してみてほしい。


講師:手の綺麗な姿を描こうとしているのが分かる。わざと外に見切れさせて、外側を巻き込んで大きい空間を相手にしていることで、他の作品と比べても広々とした印象を受ける。リボンが硬く見えるのは、多分キレが良すぎたんだと思う。直線的すぎたり、模様の見え方がブレないことが原因かもしれない。やりたい演出と、実際のモチーフとのすり合わせが必要。できれば実際のモチーフから形を引き出していけると良い。課題はあるけど、ここまで描いた作品は落とせない。

同率1位作品

講師:こちらも1位作品。おめでとうございます。綺麗な一枚ですね。両手を入れている積極性も、与えられたモチーフの扱い方も上手い。そもそもリボンは結んで使うものだから、そこから発想を得てうまく絵に落とし込んだなと思う。構図に関しては重心が下によっているのが惜しい。せっかくリボンが垂れているから、縦画面にして、下の空間を活かす方に動かしても良いと思う。描写量の緩急をつけて、最も表現したいところをこれ以上無いくらいまで描く、ということをしたら、もっとよくなる。


講師:両手を描きつつ、完成させている積極性がすごい。柔らかい光が綺麗で、基礎力を感じる。構図が小さく感じてしまうのは、両手の難しいところでもあるよね。小さい印象になっていないか、自分の実際の手と比べたりしてみるといいよ(同等だと小さい印象になる)。稜線の細かな形の変化をもっと追えると良いな、とか課題もあるけど、全体的に自然で、現時点でこんなポーズが描けるのは本当に強み。

2位作品

講師:この作品もリボンの扱いがとても自然で、それがこの順位の理由だと思います。絵を作ることにおいて演出は必要だけど、過剰にする必要はなくて。ただ持っているだけでも十分演出ってできるな、と思わせる作品。リボンのたわみをよく観察している。手のひらの付け根の形に関しては、もっと描きたい。手に限らずだけど、モチーフの「構造として必要なところ」は欠かさず描くこと。それから、ゴリゴリ描ける人だからこそ、明るい面の描写ができるようになってほしい。重さだけじゃなくて軽さも描けるようになると、重さがより際立つようになる。

講師:でかい、インパクトがある良い作品。色が強く、目を引くよね。皮膚感の「柔らかい」という表現をよくやってるなと思う。一般的に、完成度が上がるほど「硬そうに見える」ってなりがちなんだけど、この作品は握っている手のひらの肉感・皮膚感の柔らかさをちゃんと感じることができる。リボンもナチュラルで、モチーフのリボンをよく観察したな、と思う。課題をあげると、ちょっとうねうねしてる。(笑)使い古した布に見えてしまうから、フレッシュさを失わないようにしたい。

同率2位作品

講師:指とリボンを積極的に絡ませていて、それがかっこいい。上位3点と違って、この手は正面よりの視点でみているけど、それにもかかわらず手の厚みや手首の丸み、手前から奥にかけての手の物量感が表現できている。課題をあげると、手の色味が少しくすんでいる点。擦りすぎているかもしれないから、部分的にカラッと仕上げる場所がほしい。でも全体的にうまくまとめているなと思う。今後はどこまで細部を描き詰めれるか、かな。講師からのアドバイスをすぐに実践できるフットワークの軽さを持っている人だから、この調子でどんどんうまくなっていけるはず。

講師:以前より手を平坦じゃなく描けている。最近授業でした細密描写が生きてるね。この設定を活かすために、どこが見せ場なのかをもっと演出していいと思う。リボンのリズムが全体的に似ているのも一因になっていると思うけど、描写の強弱をつけることや、リボンの前後で太さの違いを見せることなど、ここから色々な工夫ができる。

3位作品

講師:丁寧に端から端まで、やれることを全部やったんだろうなという気持ちよさがある。そうそうこういう感じに描きたいよね!という点が多くあって、構図の選び方ひとつみても、人の絵から学んだり研究しているのが伝わる。さらに上位を狙うために、「やれることを全部やる」というところから一つ突き出てほしい。例えると今は「足し算」の仕事をしている状態。それが結果的に、モチーフを硬くしてしまっている。今後は演出を選ぶ「引き算」の仕事ができるかどうか。描写に緩急が出ると、モチーフに動きが出てくる。今後はそういう演出について研究したい。

講師:1枚の絵としての充実感、描写力はすごく良い。僕も少し硬く終わってしまったのが惜しいと思っていて、自然さを感じさせるところまで持っていけたらもっと上位は狙えたと思う。上位に入る人は大体みんな描写力はベースに備わっている人ばかりで、じゃあその中でどう差がついていくのか考えると、動作の自然さだったり。リボンの扱いもちょっとした塩梅で印象が変わるから、初めのプランニングが重要。

実技模試は、多くの作品のなかで自分の絵がどう見えるのかを知れるチャンスです。
それぞれが今後の課題を見つけたんじゃないでしょうか。
うまくいった人もいかなかった人も、次につながる作品になったことを願います。
講習会でも引き続き、頑張りましょう!