3学期実技模試優秀作品

優秀作品の講評

こんにちは!基礎科です。

基礎科の昨年度の最終課題は、実技模試でした。
実技模試では、全基礎科生が一律に同じ課題に取り組み、完成作品には順位がつきます。
結果はどうだったのでしょうか?
今回は、講評会で選抜された優秀作品を、講師のコメントとともにご紹介します!

1位

講師:
得票がもっとも多い作品です。前回の実技模試の作品(この方は前回も一位でした。すごい!)は、インパクト!という感じでしたが、今回は広々した空間が清々しい、静かな印象の作品です。どのモチーフも丁寧に描かれ全体的にレベルが高く、特に縄の描写が効いています。画面右手に色の濃いものや情報の多いものが固まっているから、気をつけないと左手が寂しくなるところですが、縄や台自体の描写を通して開放的な魅力が作れたよね。採点時、講師のなかでも「今回は、“台”だよなあ、台にちゃんとのっているかだよな」と、台についての言及が多かったです。台の空間的な広がりをいえた人の勝ち。そこがうまくやれましたね。これからの課題はサイズかな。

講師:
縄の起伏がうまいね。1年通して大人っぽい絵を描けるようになったなと思います。不要なものが削ぎ落とされて、必要なところに必要なものを描いている。ポットの構造的な説得力がある。工業製品の水平垂直に対して、芋のごろっと感。黒紙のパースが惜しいところ。

2位

講師:
ポットがいい形になったね。形を常に疑って見れている。この位置からのさつまいもは難しかったと思うけど、しっかり床に着地したね。紙の描写はバタバタしていて、たくさん触られた古い紙、という印象を受ける。1位の人は新品の紙に見えるんだよね。その小さな意識ってすごく大切で。さつまいもや荒縄はたくさん描くことで重さや質量を感じさせるけど、対して新品の紙の無機質さをいかに描くか。それは紙に限らず、床や壁もそう。技術云々というよりイメージの問題なので、いろんな優秀作品を参考にして見てほしい。

講師:
1年生だと聞いて驚きました。モチーフの大きさがたっぷりしていて、大きく扱っている分描き込みも必要になるけど、しっかり描けている。紙の描写はもっと欲しい。「薄い」ことをいうための描写。ポット裏の縄の描写が弱くなってしまったのが残念!

3位

講師:
基礎力のある人だなと思う。見えるところを描ききろうという気概を感じる。窮屈な印象を受けるので、序盤の位置どりをもう少し慎重に。結構見下ろし視点で描いていることで、縄の起伏の表現が難しくなってしまうし、隠れているところも多いから、難しい入れかただったと思う。少し横にずれるだけでも描きやすくなったりするから、構図決めはもっと時間をかけてあげると良い。

講師:
描き詰めていくガッツを感じました。周りの状況まで含めて絵にしていく点も、パース地獄だったと思うけど、果敢に挑戦したね。台と紙の複雑なパースを合わせる難しさがあったと思う。一つの視点をどこまでキープして見れるかな、ということを常々大事にして欲しい。パースが何かおかしい、なにかななにかな、と沼にはまった時は、絵の中で視点を定めて、頭で整理をすることが必要です。それから、ハイライトの表情はもっと突っ込みたい!ものや場所によって生まれる表情の違いを見つけてほしい。

同率3位

講師:
1年生で健闘していますね!仕上がりが清潔で綺麗な印象です。何度も離れて作品を見る時間を作って、部分に描写が偏らず全体の印象を整えるということができているのだと思います。それから、主役がちゃんと引き立っている絵になっていますね。ポットが主役を引き受けがちなところを、縄をガシガシ描きに行けている。描くことで丸みを失っている段階になっているので、ここから引き算が必要になる。上面を取り戻す仕事がほしい。今回は紙が難しかったと思うけど、ぺろりと作品から紙を抜き出しても「A3」というサイズが感じられるようにできるとベスト。

講師:
遠目でも綺麗だし、寄ってもよく描いているのが分かります。 奥の空間が光をふわっと感じられる。それは良いんだけど、欲をいうと奥の方のきわの仕事はもう少しやってやりたい。弱すぎて密度が足りないように見えてはだめで、ここに引き算の難しさがあるよね。今はまだ1年生で、まだまだ時間があるから、基礎科のうちは全部しっかり描いて、それから強さを調節してメリハリを出していくといいよ。「描き切る」ことをしていこう。

同率3位

講師:
芋いいね!食べ物を描くときは、鮮度とか美味しそうか、とか見せたいよね。実際はぐったりしている野菜もあったと思うけど、絵の中で良い感じに見せてくれたね。僕は今回、黒紙を皆さんどう描いたかなと思って見ていたんだけど、この絵は左奥の黒が強すぎに見えました。奥の白い床とのコントラストが効きすぎてしまっています。芋の影を左側にも描いてやるのも床をひと続きに見せれて効果的だし、もっと奥行きを感じさせるために、どこに強さを持ってくればいいのか調節が必要になってくる。

講師:
実は芋むずかしいんだよね。潰れてツチノコっぽくなってしまったり、おじさんの指みたいになっちゃったり。笑 にんじんぽく見えてしまったり…これはちゃんと芋してる。色のすすっぽさがちょっと気になるから、もう少しやりとりをして色を作りたい。モチーフが中心に寄りすぎて見えるから、構図を切ることを検討したり、画面の中の粗密の関係を意識してほしい。

同率3位

講師:
こちらも1年生。ひとつひとつ丁寧に描かれていることが伝わります。やっぱり課題は床の仕事や、構図かな。手前の紙は切らないようにしたいね。自分の作品を懐疑的にみることは大切。影は擦らず軽やかに、床面の色が変わることでどう影に変化をつけていくか、工夫したい。

講師:
今回良い絵が多くあって順位付けが難しかったんだけど、やっぱりその時に判断基準になったのは、床周りです。床が描けているか、きちんと「ある」ように見えるかをかなり見ました。それを踏まえて、この床の見せ方、下切っちゃってる!なのに、この順位なのは、相当上手な実力がある、ということです。ガッツでここまできた、みたいな。笑
だから変な話し、下ちゃんと入ってたら、同率3位じゃなかったかもしれなくて。今回は良い勉強になったと思うから、見せ方の研究をしましょう。難しい位置から描いているから、描きやすい位置を選ぶっていうことも戦略のひとつ。長い縄が長いものだって伝わる位置だったりね。

実技模試と合同講評会は、「自分の作品は、多くの作品と並んだなかでどう見えるのか」という客観的な視点を養う良い機会です。次の1年間、頑張るポイントが明確になったのではないでしょうか?自分の絵からも人の絵からも、たくさん学んでくださいね。

みなさん、お疲れ様でした!!