こんにちは。
基礎科講師の村です。

新しい仲間も徐々に加わり、基礎デッサンの練習も少しづつ高いレベルへと進みつつあります。最近では、何週かに渡って静物デッサンが続いていますが、モチーフには実に様々なものがあります。今回のテーマは「比率」です。

「比率」は絵を描くときにも、字を書くときにも、必ずと言っていいほど必要になる考え方です。建築を建てる時も、裁縫をする時も必要かもしれません。簡単にいうと縦×横の長さの違い、高さ×太さの関係のことです。物は比率により見え方や印象がガラリと変わってしまうもの。美術の基本であるデッサンを今まさに学んでいる高1〜2生たちは、毎回の授業で「比率を合わせる」ということが求められます。比率が合うほど本物らしく描けるからです。しかしこれがなかなか難しく、根強い問題。。。

では、生徒作品を具体的に見ていきながら、「比率」について考えてみましょう。

高2生の作品
高2生の作品です。一升瓶の姿を正確に描こうとしているのがわかります。今の高校生はおそらく、一升瓶を持ったことがない人の方が多いでしょう。家に一升瓶なんかありません、という人がほとんどでしょう。みんなにとってはどこかで見たことのある瓶。それをしっかりと観察して、描いた形を確かめる作業は意外と苦労する点です。特に難しいのは比率を合わせる作業。例えば瓶の高さに対して、太さはどれくらいあれば正確か。瓶の高さを10だとしたら、瓶が細くなり始めるポイントは5の地点なのか、6の地点なのか。それを見定めるだけでも大変なのです。

高2生の作品
同じく高2生の作品。カラッと乾いた空気感が気持ちいい作品です。紙袋にも比率があります。縦×横×奥行きが大体○:△:□というように、数字ではっきりとは出せなくても、掴もうとすることが大事な練習です。紙袋というのは決まった大きさはありません。世の中には様々な用途で、様々な形の紙袋が使われています。今回のモチーフに登場した紙袋は、特に定番の大きさというのではありません。誰も元々知らなかった大きさの袋です。だから描くときにサッと測る。クロッキー帳にサッとスケッチしてみる。そういうちょっとしたことの積み重ねが比率を合わせる為には大切です。

高1生の作品
こちらは高1生の作品です。やかんは、日本で長い間使われている道具です。「THEやかん」と言えるほど定番の形ですね。この形が今まで生き残っているのは、使うときに便利で、しかも形が美しいからでしょう。ふっくらしていますが、決して風船に空気を吹き込んで膨らませたような丸みではなく、むしろキュッと締まった形をしているように思います。その丸みを捉えるのはとても大変で、一発でピタリと形が合うことはないかもしれません。ですから根気強く直していくことが必要です。描いては直し、直しては確かめる。その回数が形の精度を高めるのです。

 

かくいう私も、受験生の頃はとにかく比率が合わなくて苦労しました。一生懸命に描いているのに、どうしてモチーフに似ないのだろう、正確に描けないのだろうと悩みました。ある時先生に比率の話をしてもらった時、「それだ!」と思いました。何か違う感じ。それは比率が微妙に違うことで感じていた違和感だったのです。もしかしたら同じように苦労している人がいたら、「比率が違うんじゃないか?」と疑ってみてください。