アクリルガッシュ塗り方のコツ:もう失敗しない!

アクリルガッシュの塗りのコツ

デザイン科の色彩構成の試験に必ずと言っていいほど使用される「アクリルガッシュ」。油絵具のようなテクスチャーやマチエルの表現を得意とするアクリル絵具に対して、アクリルガッシュは、塗りムラなく均質な色面の表現に適した不透明水彩絵具です。綺麗に塗れると作品のクオリティがワンランク上がります!
でも、綺麗に塗るためにはちょっとしたコツがいるのも事実。今回は「溝引き」「烏口」といった必須テクニックも合わせてご紹介します。

平塗りのコツ

道具を揃えよう

平筆・面相筆

平筆とはこのように平らな筆のことを言います。アクリルガッシュにはこのような天然の毛を使った筆が良いでしょう。たまにナイロン毛の平筆を使っている人を見かけますが、基本的に”アクリル絵具”用の筆で、筆の腰が強くてムラができやすく、”アクリルガッシュ”でムラなく平塗りするのにはあまり向きません。
塗る面積に応じて太さを変えて使用するので、複数本用紙するといいでしょう。

アクリルガッシュ塗り方のコツ「鶴口洗浄ビン」の画像

鶴口洗浄瓶

水差しスポイト。鶴口洗浄瓶と言うらしいです。これは絵具を溶く時に水を加えるための道具です。筆を洗うための筆洗バケツにも水が入っていると思いますが、絵具を溶くためにそこから水を採ったりはしません。この鶴口洗浄瓶を使った微妙な水分調整が、綺麗な平塗りに繋がります。

アクリルガッシュ塗り方のコツ「皿」の画像

パレット(皿)

陶器製のお皿や紙パレットなどでも可能ですが、写真のような皿型 のパレット(プラスチック製 )が一番おすすめです。なんたって絵具を混ぜやすい!しっかりと絵具を混ぜなければムラができてしまいます。スタッキング(積み重ね)できるし、プラスチックだから割れたりしないのもおすすめポイントです。

今回紹介する道具と同じものがないと色彩構成はできない、という訳ではありませんが、綺麗な作品に仕上げる上で道具は大切ですので、しっかり準備しましょう。

絵の具と水の分量

さて道具が揃ったらいよいよ絵の具です。綺麗な平塗りには適切な水の量で絵の具を溶かないといけません。ちなみにターナーのアクリルガッシュの裏には・・・

絵具の半量程の水で薄め、よく混ぜてお使いください。
by ターナー

とちゃんと書いてあるんです!是非ご確認ください。半量ほどの”ほど”が味噌です。ほどがわかるまで練習あるのみ。体得しよう!
また、絵の具がちょっと薄くてムラができちゃった時は、絵の具を足してモリモリ厚塗りしないようにしましょう。慌てずにそのまま塗りすすめて、しっかり乾かした後もう一度塗り重ねてみてください(ニ度塗りと言います)。塗りムラができることを恐れて厚塗りして絵の具がボコボコしてしまうと、もう直りませんので気をつけて!

塗り進め方(面相筆&平筆)

色鉛筆で塗り絵をしたことはありますか?綺麗に塗るにはまず縁取りをしますね。アクリルガッシュの塗り方も基本は同じです。ただし、面相筆と平筆の2種類の筆を使分けて塗っていきます。

アクリルガッシュの塗り方の画像

まずは面相筆を使って、色面を縁取っていきます。

アクリルガッシュの塗り方の画像

次は平筆を使って縁取られた内側を塗っていきます。

平筆は、塗る色面の大きさに合わせて適当な大きさの筆を使うことがポイントです。太さの違うものを複数本用意しておきましょう。

烏口のコツ

カラスのくちばしのような形をしているので”カラスグチ”と呼ばれています。主に製図やトレースなど均一な太さの線を引くための道具です。色彩構成の制作でも多用しますね。使い方は、2枚の金属板の間に溶いた絵具を注入して使います。この2枚の金属板を、矢印のネジで開いたり閉じたりして線の太さを調整します。

烏口の画像
ネジで隙間を調整
烏口の画像
隙間に絵の具を入れる

平塗りで溶いた水の量より、気持ち多めにすると線が引きやすいです、ホンの気持ち!
使った後は、金属板の中の面を綺麗にしておきましょう。乾いた絵具が付着していると、うまく絵具が落ちてこなくなってしまいますよ。

溝引きのコツ

定規の溝をガイドとして、線を綺麗に引くテクニックが溝引きです。ですからこのように溝がある定規を使用します。
ガラス棒という溝引き専用の道具があると便利です。鉛筆や筆でも代用できますが、スベりが滑らかになるのでおすすめです。ちなみに、定規の溝を綺麗にしておくことも重要です。汚れていたり何かが付着していたりすると綺麗に線が引けません。

溝引きのコツの画像

線を引くポイントは、お箸を持つように筆とガラス棒(図は筆を使用)を持ち、両者の間が動かぬようしっかり固定します。後は溝にガラス棒を当てスライドさせて線を引きます。最初のうちは、線幅が均一じゃなかったり、ふにゃふにゃな線になったりするでしょう。そんな時は、手を動かすというより、肩あるいは体全体を横移動させるつもりでやると綺麗な線が引けるかもしれません。是非試してみてください。

動画でもチェック!

「アクリルガッシュ:平塗り・烏口・溝引きのコツ」