手の構成デッサン/構成のポイント
課題:構成デッサン
「〜を食べている手または両手を想定してデッサンしなさい。」

※条件
■手は片手でも両手でもよい。
■手以外のモチーフを用いてもよい。

サイズ・・・B3

紙・・・M画用紙orTMKポスター紙orそれに似た紙
描画材・・・鉛筆

画面・・・全面
位置・・・自由

構成のポイント

手の構成デッサンは、東京芸術大学のデザイン科や多摩美術大学のグラフィックデザイン学科、統合デザイン学科、生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻などの入試でよく出題されます。
東京芸術大学は木炭紙大サイズ(650mm×500mm)の大きくゆったりした画面なので、手の入れ方がそう難しいわけではありませんが、私立の美大はB3サイズが一般的で、しかもその中に両手をバランスよく、小さくならいないように、尚且つ、自然な動きで納めるにはかなりの構成力が必要です。ましてや”手”自体、かなり複雑な形をしているのでそもそも難しい出題ですね。入試で手の構成デッサンを課す専攻はそれだけ”デッサン力がある人が欲しい”ということです。
手をいかにうまく描くかについてはあらためて別の機会に説明しますので、今回は構成に絞ってお話しします。

構成で抑えておきたいポイント

構成考える上で気をつけると良いポイントをいくつかあげてみます。様々な出題や付帯条件などがあったりしますが、以下のポイントを考慮して構成を考えてみるといいでしょう。

1.大きさ

1
2
3

まず第一に画面に入る大きさがポイントです。優先順位として”手は大きく入れる”と考えて良いでしょう。上の3つの作品はすべて同じデッサンですが、大・中・小に加工しました。どの作品が強いインパクトを感じますか?
"1"の作品ですよね。瓶の中から蜂蜜をスプーンですくう動作が表現できているかというと、"2"の作品の方が手と瓶の位置関係が自然な印象です。でもやや小さい・・・。"3"の作品はモチーフ以外の背景:余白が多過ぎますね。
大きく入れたいけど、うまく動作が表現できない・・・・・。この辺りのバランス感覚、按配が難しいところです。つまり小さくならず、かつ手の自然なフォルムや動作を表現するための構成を考えられる力が「構成力」ということになります。
描いたモチーフとそれ以外の背景との面積を見比べてみたり、ちょっとづつ手の角度を変えてみるなどの工夫を試してみると良いと思います。

2.自分視点

手の自然な動作や臨場感を魅力的に伝える構成を考える際に、絵の画角を決める視点を意識してみましょう。大きく分けて「自分視点」と「第三者視点」です。こちらには自分視点の作品を例に挙げました。その言葉の通り、自分の視点で自分が見た手のフォルムや動作を描いています。

3.第三者視点

第三者視点とは、自分以外の誰かの手や動作を眺めるような視点です。自分視点の手の動きや形に比べると、様々な視点で構成を設定できるので多様性があります。自分の手ではないので、実際にデッサンを描く際は自分の手を鏡に写すなどしながらの作業になります。細かく観察することや見比べることが困難なので、自分視点に比べるとやや難易度が上がります。
自分視点と第三者視点とでどちらの方が良い、ということはありません。手のフォルムや動作が一番魅力的に見える視点が良い構成ですので、この点を間違わないでおいてください。

4.アイデア

面白いアイデアや発想が色々と思いつく人は問題ありませんが、実際には多くの人が悩むところです。おすすめのトレーニングの一つは、より多くの作品を見ることです。我々は作品の講評時に、構成について様々な角度から瞬時にアドバイスをしますが、決して自分に発想力があるとは思っていません。では何が鍵かというと、たくさんの作品を見てきているので、様々なケースを知っているのです。ですのでたくさんの作品資料の収集をオススメします。
もう一つは、改めて日常の動作に注意を向けてみることです。スマホを使っている時、お弁当を食べている時、コンビニの棚からお菓子を選んだ時、傘をさす時、玄関を出る時、汗を拭く時。
どの瞬間、どの仕草が、今この動作を生き生きと見せるキモなのかを考えてみると良いでしょう。残念ながらすぐに身につくことではありませんが、コツコツと積み重ねていくことが、より良い構成のアイデアを生む下支えになると思います。


「〜を食べている手または両手を想定してデッサンしなさい。」というこの出題は、第9家庭課題のものでした。
ピザを食べている動作を第三者視点で捉えています。熱々のピザを食べている瞬間をどう演出するのか。手を大きく入れることや、ピザの具がのっている面をどれくらいの大きさで見せるのかなどなど、作者の構成への様々な工夫が伺え、基本的な設定はいいと思います。
熱々なピザを手のひらで持つ人はいないでしょうから、もう少し指先で持てると温度を感じさせられたでしょう。またそのことで手のひらとピザの間に隙間が生まれて空間に複雑さが増し、絵としての魅力が高まると思います。画面には入っていませんが食べている口がどこにあるのかを意識するともっと良かったですね。それによってはとろけるチーズがカーブを描いたりして、アツアツのピザを食べている臨場感がさらに高まったかもしれません。

「1.大きさ」「2.自分視点」「3.第三者視点」「4.アイデア」のポイントをチェックし、より良い構成を考える手掛かりにしてください。