現役美大生に聴く「先輩はどうしていましたか?」
毎年、ハマ美OBOGの先輩方にお越しいただいて、みんなが気になる受験期の悩み事や、憧れの大学生活についての質問にお答えいただくトークイベント”アトリエトーク”。
今年は、多摩美術大学グラフィックデザイン学科、生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻、統合デザイン学科、演劇舞踊デザイン学科劇場美術デザインコースの4名の先輩たちに集まっていただきました。

今日参加していただいたOB・OGの皆さん

 N君
 多摩美術大学
 グラフィックデザイン学科
 一般選抜

 Kさん
 多摩美術大学
 統合デザイン学科
 一般選抜

 Mさん
 多摩美術大学
 生産デザイン学科
 プロダクトデザイン専攻
 学校推薦型選抜

 Nさん
 多摩美術大学
 演劇舞踊デザイン学科
 劇場美術デザインコース
 総合型選抜


受験生から出た気になる疑問・質問はこちら↓

Q1.
ハマ美にはいつから通い始めましたか?


はい。私は高校2年生の夏期講習に来て、 入学は9月で2学期から基礎科に通いはじめました。ちょっと遅いのかなとか心配しながら来たんですけど、少しでも基礎科でデッサンの基礎を固める期間があって、受験科に上がった時に良かったなって改めて思いますね。


私は高校1年生の秋ぐらいだったかなと思います。M先生にお世話になりました。


Nさんと同じくらいで、高2の夏くらいに体験授業に来て、 確か夏期講習はやってなくて2学期の秋から通い始めました。


僕は高2の終わりかな。冬ぐらいに1回体験授業に来て、そこから高3の春の春期講習から通い始めました。

Q2.
楽しかった課題や辛かった課題など、
記憶に残っている課題はありますか?


そうですね。後になって印象に残った課題ですけど、基礎科の時に構成デッサンの課題で落花生と黒い布を描いたんですけど、 実際の試験になんと落花生が出たんですよ!
すでに1回描いているから、落花生って大体こんな感じの形って知ってたのでとっても良かったです。試験時間が3時間しかないし、劇美のデッサンって光と空間を意識した情景を描かないといけないので、その構成を考えるのに時間を使えて良かったです。休まないでハマ美に来ることって大事だなって思いました。

劇美 多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科劇場美術デザインコースの略


受験科に入ってからの課題なんですけど、 実技模試の色彩構成の課題で「アニマル」だったかな。それまで本当に絵の具が苦手で、もう全然うまくいかなくて。でもめっちゃ自分でリファイン(再制作)してやり直して、そこでやっと目が出た作品だったので、それはすごい記憶に残ってます。


ブランディングの課題が記憶に残っています。本当はグループでやるはずだったんですけどコロナ対策で1人でやることになっちゃったんですけど、でもあの課題がすごい楽しくて。 私は野菜のドレッシングの提案をして、そのパッケージを作ったんです。そこから推薦の受験に繋がった課題でした。

※ブランディング課題
デザイン工芸私大コースで5月に行うグループ制作課題


写真模写の課題があって、それは結構描写の訓練になったので覚えてますね。あとは、めっちゃ長い時間かけて描き込む課題とかもためになりました。
指の細部を描く課題っていうのもありましたよね。手のデッサンを描く上ですごい勉強になったなって思います。

Q3.
英語と国語
学科はどれくらいやっていましたか?


具体的な時間はあんまりはっきり覚えてないんですけど、学校に授業が始まる1時間前ぐらいに着くように行って、朝軽く勉強して、で、授業が終わってから予備校に行くまでの時間に残って勉強したり、あとはスマホの単語アプリで通学の時間で単語覚えたり。
あとリスニングの音源を2倍速とか1.5倍速で聞き流すだけでも相当リスニング聞きやすくなるので、 通学時間に音楽聞く、みたいなノリで聞くのがおすすめです。


実技がどれだけ良くても学科がダメだと落ちちゃうんで。それをしっかり踏まえて、自分は朝、昼、晩で時間を作ってやっていました。まず朝起きて、単語100個やって、あとハマ美の授業のテキストを赤シートとかで隠しながらやって、昼は授業の合間やハマ美に行くまでの道中とかで、で家に帰ってきて夜、現代文の問題を毎日1問とか解いてましたね。


これは勉強の仕方で私がうまくいったやり方なんですけど、 夜に覚えたことは次の日の朝起きた時に復習をする方が絶対に効率的だと私は思います。
あと、せっかくハマ美に通って頑張って絵を描く力をつけてきているので、実技を生かすためにも学科は本当に大切なので、自分のやってきた努力をさらに持ち上げてあげる感覚で頑張ってほしいなと思います。


受験なので学科自体が重要っていうのももちろんありますけど、デッサンとか色彩とか絵を描く時も含め、なんか頭使う練習ってやっぱりしておいた方がいいと思うんですよね。 
大学に入学してからも英語は必修で、卒業までに単位を取らなきゃいけないっていうのがまだまだついてきますし。
推薦選抜受ける予定の人も、もし落ちた時にちゃんと一般に向かえるように、今のうちにちゃんと学科やっといた方がいいなって思います。


長文をやる時間がなかなか取れないっていう質問がありました。良いアドバイスとかあれば教えてください。


それは私も当時悩んだんですけど、今はスマホのアプリで勉強がたくさんできます。なので、そういう長文に適したアプリを使って電車の中でやるのをおすすめします。
あとは英語の長文を読んで自分の頭の中で訳するっていうのがいいです。頭の中で英文を読みながら、 もう別に語順とかはぐちゃぐちゃでも、自分が意味がわかるように読んで、和訳と照らし合わせて、意味が違ったところだけちょっと印つけておくとか、もうそんなんでも全然やらないよりはマシだと思うので、 とにかく移動時間を効率的に使うっていうのが鍵かなと思います。

OB/OGのアトリエトーク

Q4.
休みの日は何をしていましたか?


ハマ美が休みの日は学科に重心を置いてて、家の近くの地区センターみたいなところに自習できる場所があったので、 朝そこに食料を持って閉じこもって勉強してました。夕方ぐらいまで勉強しました。


絵に関することあんまりしてなくて、小説読んだりとか、漫画読んだり、映画見たり、あとたまにBSとかで放送されてる演劇を見たり、録画したやつを眺めてたりしてました。新しいイメージをインプットしておかないと、 ずっと予備校でアウトプットの作業ばっかりしてると、絶対どっかで空っぽになって描けないみたいな日が来ちゃうので、インプットの作業を重点的にやってたと思います。


イメージがないと絵は描けませんからね!


’ggg’銀座グラフィックデザインギャラリーってとこがあって、定期的にいろんなプロのグラフィックとかを展示してるんで、そことか、もちろん美術館とかもめっちゃおすすめです。ぜひ息抜きがてらに行ってみてください。


頭を休めるっていう話の後にあれなんですけど(笑)、 僕は長文読解とかリファインとか、家だからこそできることをやってました。色彩の作品をリファインしてて、そこで最終的に入試で合格した作品に直結する表現のものができたんで、もちろん息抜きはもちろんしつつ、空いた時間でそういう自主的な制作とかやった方が、もちろん周りと差をつけられると思うし、自分の実力もすごいつくと思うんで、 早く自分のスタイル見つけたいとかいう人はすごいおすすめです。


ハマ美での課題以外に自宅でやってたことはありますか?


手のプロポーションを取るのにめっちゃ時間が掛かってたんで、片手のクロッキーを10分から20分ぐらいの時間で毎日1枚描いて、10枚20枚ぐらいたまったのを先生に見せるっていう感じで練習してました。
プロポーションがすぐ取れるようになると形どりの時間が短縮されるから、その分他のことに手が回せるんで、全体のクオリティも上がっていくんです。 はじめのうちは片手で、徐々に練習積んできたら両手って感じで、めっちゃおすすめです。


一緒に通ってた仲いい友達が割とうまくてずっと悔しい思いをしてたので、自分ができないなら人の倍描いてやろうっていう精神で、家に帰ってからリファインしたり、コロナで予備校に来れなかった時は自宅で静物デッサンしてコロナが開けてからハマ美に持ってきて見てもらったりしてました。
1番すごかった時は、体育祭の前日にハマ美の授業で描いたけどぜんぜん納得いかなくて、新しい紙を持って帰って朝の6時まで描いて、1時間寝て体育祭に参加した時がありました。


すごい!
デザイナー体質ですね(笑)

OB/OGのアトリエトーク

Q5.
受験校はどうやって決めましたか?


多摩美に行きたいっていう気持ちはずっと強かったんですけど、正直あんまり多摩美について知らないまま目指してたっていう感じでした。
オープンキャンパスで初めて統合デザイン学科を見て、楽しそうだなって思って。 
本当はグラフィックが第1候補だったんですけど、グラフと一緒に統合デザイン学科を受けることに決めました。
他に併願してたのは東京造形大学のグラフィックデザイン専攻領域と女子美のビジュアルデザインを受けました。


自分は今グラフにいるんですけど、多摩美だと情報デザイン学科の情報デザインコースと統合デザイン学科を受験して、武蔵美は視覚伝達デザイン学科、あと東京造形大学のグラフィックデザイン専攻領域を受けました。
選んだ基準は一貫して、自分の好きなことができるかどうかっていうことを1番大事にしていました。 あとは、オーキャンとか芸祭とか実際に学校に行ってみて、その学科の雰囲気とか、大学の雰囲気を掴むっていうのはすごい大事だと思います。


高2の時に多摩美のオープンキャンパスに行ってプロダクトデザインを見たんですけど、なんかすごい仲の良さというか、そういうのが滲み出てる感じと、あとは中田教授とお話して心を掴まれた感じですね。
なので、是非オーキャンに行くことをおすすめします。


私は本当に舞台の仕事がしたかったので、併願校は日本工学院っていう専門学校と、あと日本大学芸術学部の舞台演劇のところを考えていました。

Q6.
実際に入ってみて大学生活はどう?


いい意味でギャップがありました。高校より先生との距離が遠いのかなとか、 関わらないのかなって思っていたけど、結構自由でアットホームで、なんか家族みたいな感じです。週のほぼ半分がプランのチェックで、ずっと先生と喋ってる感じだったりします。授業以外の時間でも、深夜とかに連絡アプリで教授がずっと相談乗ってくれたりするので、その環境にすごいギャップを感じました。


製図課題が多くてびっくりしました。本当にびっくりするほど多いです(笑)。あと一応デザイン系の学科ではあるんですけど、結構ファイン系に考え方が近い先生が多いですね。 
芸術とはなんぞやとか総合芸術とはなんぞや、みたいな授業が結構多いです。


統合デザイン学科は本当にいろんなジャンルのデザインをやるんですけど、基本的にプロダクトの課題が1番大変なので、なんとなくプロダクトに比重があるなって思ったのがギャップです。でもそれぞれの分野でご活躍されている先生方がいらっしゃるので、3年生になったらいろんなプロジェクトや授業が始まるので、そこで深く掘っていけるのかなって今は楽しみにしてます。


大学って若干なんか固いイメージというか、なんかみんなきっちりしてるのかなと思うかもしれないけど、全然そんなことなくて、超ラフですね。グラフは200人ぐらいいるので、いろんな人と関われるっていう刺激があります。Macもアドビっていう編集ソフトも、卒業するまでずっとタダで使えてもう本当に便利です。
3年とかになると先生と一緒に飲みに行ったりして、ワイワイフランクに話とかもできるんで楽しいですね。


美大は徹夜するの?って質問がありました笑


はい(笑)。基本的に個人差あるんですけど、 グラフは2年生になると1番忙しいって言われているんですけど、複数の課題が同時並行で出てくるので、それもあって自分は結構講評の前は徹夜してました。


私は2年生の今の方が徹夜してないかなって思います。1年生の時は結構徹夜したので、自分の制作のやり方っていうか、これまでの制作スタイルを変えました。プレゼン前に1週間、準備期間を設けるようにして、制作はその前に終わらせることで、徹夜をしないっていう方法は見出しました。
2徹すると結構足の疲れが2日分たまってすっごい痛いので、しない方がいいです。

Q7.
SNSがやめられない・・・
どうしていましたか?


そんな豚骨ラーメン食べながら痩せたいみたいなこと言わないでって思ったんですけど(笑)、特殊な例だとは思うんですが、私、高校の時はXもインスタも入れてなくて、スマホに。だからLine以外のSNSを特に触る機会がなかったんですけど、 それでも高校生活は楽しかったんで、アンインストールしても大丈夫ですよっていうことだけ言っときますね。でも息抜きは大事だと思います。ただ必要以上に時間を消費してしまうので、かなり危機感を持った方がいいかなって思います。


私の場合は、インスタはログアウトして消してました。Tiktokも消しました。 
基本的に勉強のアプリ、Line、あとは勉強のために使うYouTubeとかPinterestとか、本当に勉強系に絞ってました。
私、本当にスマホ大好き人間なので、何も用がなくてもスマホ開いちゃうので、スマホはスクリーンタイムとかかけて、YouTubeは15分ぐらい経ったら勝手にシャットアウトするように設定にしてました。で、それ以外のSNSとか娯楽系のアプリは、1回全部思い切って消しました。
なんとか生きていきます。大丈夫です。


私もLine以外のSNSは今でも全然やってないんですけど、やっぱりそれでいいなって思ってます。 
あとは、今だとYouTubeとかで動画見すぎてしまうことがあるので、 いつも携帯のタイマーで時間を測って見る時間を決めています。

最後に受験生にメッセージを
お願いします


インプットとアウトプットのことを私は念頭に置いてもらいたいなって思っています。やっぱりずっとこういう予備校で出し続ける作業をしてると、空っぽになって何にもできなくなっちゃうんですよ。私はそれが1回あったので本当に身に染みています。 美術作品に限らず小説とか映像作品とかでもいいし、自分の興味がある分野のものを見てインプットを増やして欲しいです。特に推薦でポートフォリオが必要な人は、自分が今までどんなものを見てきたのか、何を考えてるのかっていう事が凄く問われるし、それを最大限にアピールしないと伝わらないので、重点的に考えながら意識して生活を送ってもらえればいいなと思います。
頑張ってください。


多分受験の準備をする中で、周りの子と比べちゃって悔しい思いをすることもたくさんあると思います。大学入ってからも私は特段優秀な生徒ではないのでそういう経験をたくさんしてきたんですけど、悔しい思いをした人ほど成長できると思っています。うまくいかなかった作品があったからダメなんじゃなくて、うまくいかなかった中にも次の作品に絶対繋がってくることがあるので、 うまくいかなかったことを無駄だとは思わずに、自分のやってきたことを最後まで信じ続けてほしいなと思います。


自分が受かるかなとか、このまま進んでいっていいのかなとか、多分ちょっとそんな不安を感じている人もいるかもしれないんですけど、やっぱり1回好きになったことだから、自分から諦めずに頑張ってほしいなって思います。
今は辛いことがあるかもしれないけど、この先大学に受かったら絶対後悔しないくらい楽しい時間や充実した時間が過ごせます。ほんとに約束するので頑張って来てください。応援してます。


「 今だけ死ぬ気で頑張ってみませんか。」っていう言葉が受験生の時、僕にはすごい響いてて。今多分受験が1番大事なことで、なんて言うんでしょう、受験が世界の全てじゃないんですけど、でもそれぐらい本当に受験のことで頭が一杯になっていると思うんです。ただちょっと長い目で見てみると、あの期間って意外とあっという間だったなって後から思うんです。 本当に今は大変だと思うんですけど、今だけ本当に死ぬ気で出し切って、 諦めずに頑張ってほしいなと思います。
今日帰ってからでも、クロッキーとかリファインだったり、エスキースやるだけでも本当に変わるので、ぜひ諦めずに頑張ってほしいなって思います。

みなさん、今日は制作が忙しいのにありがとうございました。
好きで始めてはみたけれど、楽しいことばかりではなく、時には苦しいこともありますよね。でもそうやって培った力が、間違い無くそれぞれの大切な財産になっていることがわかりました。
さあ、これから受験するみなさんは、先輩たちのアドバイスを生かして試験までもう一踏ん張り、頑張っていきましょう!