アトリエトーク2020

毎年OB・OGに集まっていただいて開催する「アトリエトーク」。憧れの美大生活や、どんな受験期を過ごしていたか!?などなど、晴れて大学生になった先輩たちのトークをお届けします!

基礎科ではどんな勉強してましたか?

ー(基礎科講師・司会) 今日集まっていただいたゲストの皆さんは、現役の美大生の方、そして美大を卒業して作家として活躍している方たちです。そしてこの教室にいるのは、現在基礎科に通う高1~2生の皆さん。基礎科ではデッサンの練習を日々しているわけなんですが、ゲストの皆さんは基礎科時代でどんな勉強をしてましたか?またデッサンは今役にたってるのでしょうか?もしちゃんと将来に繋がっているとしたら、日々の練習も頑張れると思うんですよね。どうですか?

Oさん
Oさん:多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻

私は高1生の時からハマ美に通っていました。はじめは週1日だけ、その後日数を増やして行った感じです。今は課題で家具を作っているんですけど、鉛筆デッサンはしないものの、どんな形にしたいか、どんな形になっているか、よく見るということを求められます。

ー 描く技術の部分ではなく、観察する力が必要ってこと?

Oさん
はいそうです。観察力、大事です! 
Yさん
Yさん:多摩美術大学グラフィックデザイン学科

私はハマ美の中学生科(美術クラブ)に通っていました。そして高校に上がり、そのまま基礎科に入りました。グラフィックは結構課題でデッサンをしたり、キャンバスとアクリル絵の具を使った描写、水彩などを学ぶ基礎造形という授業があります。なので、基礎科で培ったデッサン力がかなり役立っていますね。そうです。観察力、大事です! 
Sさん
Sさん:女子美術大学絵画学科日本画専攻

私は作品を描く前に下図(したず)というのを鉛筆で描きますから、デッサンは直接的に役立っていますね。その下図をトレーシングペーパーで写して本番の画面に転写してという作業を毎回しています。日本画は線による表現が非常に大事で、いい形を描くこと、いい線を引くことは本当に重要になってくるんです。

受験科ってどんなところ?

ーさて、このあと高2生は高3になり、受験科に上がります。受験科ってどんなところですか?どんな課題をやるのでしょうか?

Iさん
Iさん:多摩美術大学油絵学科版画専攻

すごく覚えているのが、受験科の課題の中でモチーフ室から自由にモチーフを選んでいいから、自分の選んだものを描きなさい、という課題。その時私はモチーフを選ぶことすらできなくて。自分で自分の絵に必要なモチーフが何なのかがわからなかったんです。どんな絵にしたいかというイメージがなかったのだと思います。何枚も課題を重ねて、ある程度安定して絵に落とし込むことができるようになっていた頃だったので、技術じゃない部分に潜んでいた自分の弱さが明るみになって、痛烈に覚えています。それで自分の絵になにが必要なのか考えるようになりました。他には、沢渡公園に行って取材をしてきなさいとか。

ー ハマ美の隣の公園ですね?

Iさん
はい。自分は植物をよく描いていました。公園に行ったり、校舎の中を描いたり、そういう取材に関しては芸大の受験のドローイングスケッチにもつながるのでやっておいた方が良いと思います。

ー ドローイングスケッチ?

Iさん
はい、芸大の入試で油画は時々絵を描く前の下絵というかスケッチというか、それをスケッチブックに描かせて提出させるというというのがあるので、取材する力はつけておいた方が良いと思います。ちなみに受験科ではドローイング100枚描かされます。

ー 100枚!

Iさん
そうなんです。ちなみに芸大や多摩美に入学すると1000枚らしいです。

ー え!?みんな覚悟しておきましょう!(笑)  Sさんはどうですか?

Sさん
Sさん:多摩美術大学統合デザイン学科

私は高3まで部活をやっていて、引退がちょっと遅かったんです。でもハマ美にも通って実技も並行してやりたくて、週5ではありませんでしたが、引退までは少ない日数で通っていました。部活をやって、ハマ美に通って、あと、通えなかった日に他のみんながやっていた課題も先生にお願いして出してもらって家でやっていました。とっても忙しくしていました。 

ー Sさんはハンドボールをやってたんだよね。部活の引退までは、少ない日数で通う部活対応コースというのを利用する人もいるよ。そして引退後は、デザイン工芸コースに合流するという形だね。

Oさん
私は、受験科に上がってすぐブランディングというグループ制作があったんですけど、今思うとそれが良い経験だったなと。基礎科の頃は正直あまり周りと話したりしなかったんですけど、ブランディングがきっかけで、受験科では色んな友達ができて。その課題を通してできた友達は、今でも一緒に遊んだりする大事な仲間になっています。あと印象的なのは、溝引き特訓の課題です。B3サイズの画面に延々と溝引きで真っ直ぐな線を描いていくんですけど、先生からOKをもらえないとやり直しで。地獄の特訓でした。 

ー デザイン志望の人は今から覚悟しておこう!(笑)

Yさん
私は中学生の頃から通い始めて、基礎科に上がってからも週2、週3と徐々に通う回数を増やして、正直体力には自信がありました。でも、3年生になって通う回数が週5回(当時)になったら、ヘトヘトになってしまって。こんなにも大変なんだと思って苦労しました。絵を描く体力というか、座り続ける体力もそうですけど。体力はつけておいた方が良いと思います。
Sさん
私はひたすら石膏デッサンを描いていましたね。日本画は高い描写力が求められるので。多摩美対策では人物を描くんですけど、それが私はすっごく楽しくて。はじめは全然描けなくて上手くいかなかったんですけど、なぜか楽しくて。もっとやってみたい、やれるようになりたいと思ってずっと描き続けてきました。それが作家として活動する現在までずっと続いていて、今も一貫して人をメインに描いています。大学では、動物を描くとか植物を描くとかいう課題も出るんですけど、それもこじつけて人物を描いてました。人の背中に羽を生やして、「はいこれは動物です」みたいな。(笑)

ー 当時の課題が地続きに今の制作につながっていたりするんですね。

「私の一枚」をご紹介!

ー 今回は「私の一枚」と題して、何か作品を一枚見せてくださいとゲストの皆さんにお願いして、画像を用意してもらっています。それを一枚ずつ見せていこうと思いますので、自分のだと思ったら説明をお願いいたします。まずはこちら!

Oさん
これは私のです。ダクトの色彩って、モチーフを決め込んで対策していったりするんですけど、私はなかなか決まらなくて、長いこと模索している時期があって。そんな中で描いたこの作品が良いきっかけになり、前に進むことができました。今見ると荒っぽくて、塗りも下手で、気になるところが多いんですけど、試験で描いた絵もこれに近い構図で描いています。

これは武蔵美の工芸工業デザインの対策として描いた作品なんですけど、結局は多摩美のプロダクトの試験で描くことになりました。

ー この作品、いいですよね!続いてはこちらの作品です。

Iさん
これは私の作品で、版画です。左右反転するので、それを見越して絵を描いていきます。平らな石に描いていく版画で、平版といいます。以前、うちの飼い猫が死んでしまって。大事な猫だったので何か葬うような作品を作りたかったんです。草木に蝶が留まっているというような情景を以前何かの本で読んだことがあって、それを描いてみました。受験の頃も植物をたくさん描いていたので、自分にとってすごくしっくりくる表現ができたと思っています。

ー 幻想的というか、綺麗な作品ですね。自分の私生活に起こった出来事が絵になることはありますか?

Iさん
大いにありますね。飼い主にとって、飼い猫が死ぬことはすごく大きな出来事ですし。そういった出来事も作品に昇華していけると良いと思っています。
多摩美術大学グラフィックデザイン学科 推薦入試:クリエイティビティ テスト合格再現作品
Yさん
これは私の入試再現作品です。多摩美のグラフィックの推薦の試験は3つあって、一般入試と同じ、デッサンと色彩構成、それとこのクリエイティビティテストなんです。面接試験がない代わりに、自分が好きなデザインについてまとめるという内容で、私はこの対策に悩んでいました。ずっと将来何がやりたいのか決まらなくて。そしたら先生が「好きなことを描けばいいんじゃない?」って言ってくれて、あ、それでいいんだって。そしたら魚だなって。

ー 魚!?好きなものといえば魚?(笑)

Yさん
はい、魚が好きで。魚といえば缶詰だろうということで、缶のパッケージデザインについて描きました。試験当日、問題用紙をぺらっとめくった時「あなたの大好きなものについて描きなさい」という課題で。これを見た瞬間に、もうこれは受かったなと(笑)。この内容ですぐスタートを切って、文章もバリバリ書きました。

ー 本当よかったね! 続いてこちら!これは誰ですか?

Sさん
これは私の入直(入試直前講座)での作品です。いろいろ試行錯誤した結果、このような作品に至りました。私は鉛筆の使い方がちょっとモサモサしているタイプだったんですね。基礎科の時とかも鉛筆のタッチがモサモサしていて。すっきりとした作品がようやく描けた!というタイミングがこの作品の時だったと思います。ちょうど良い塩梅の時に入試を迎える事ができました。(笑)

ー 入試レベルがわかる、良い作品ですね!続いてこちら!

Sさん
これは私の現在の作品です。こんな風に人物を描いています。いつもモデルの人の写真を撮ってから絵に起こしていきます。世の中にはコスプレ撮影所というのがたくさんあるんですけど、これは四角い巨大な水槽があるスタジオで、友達に水槽の中に入ってもらって撮影しました。

ー 写真を撮ってから絵にするんだね。

Sさん
そうなんです、ただ水面に波紋とかがないので、ちょっと不思議な感じにもなってるんですけど。

気になる学科対策は?

基礎科生
学科の勉強はどうしてましたか?

(基礎科生からの質問)

ー 質問ありがとう!どうですか?学科、みなさん受けてましたか?

(ゲスト全員挙手!おお!)

Yさん
私は多摩美の推薦を受けたので、結果学科試験は受けなかったわけなんですが、ハマ美の学科授業は受けていました。多摩美の問題はちょっと美大らしく感覚的というか、癖があって、試験の特徴をちゃんと教えてくれる授業だったのでそこがとてもよかったです。英語では記述の問題などもあり、自分なりに考えて書かせる問題がありました。国語では小論文の対策をちゃんとしてくれて、例えば「あなたにとってのヒーローは?」というような???となってしまうような問題などが出るんですけど、そういう問題にも対応できる武器をくれたように思います。

進路の決断はいつ?どうやって?

ー ふむふむ。みなさん、自分の進路が見えたのはいつぐらいですか?どうやって決めたんですか?

Oさん
私は何となく漠然とデザインがやりたいとだけ思っていて、グラフィックデザインに進もうかなと思っていました。オープンキャンパスにいった時には、デザイン棟の上にグラフィックデザインがあるんですけど、それを見て回って、段々下の階に降りて行って、最後に見た1階のフロアがプロダクトだったんですね。プロダクトって、車のデザインとかするんだろうなと思っていた私は、作品を見て衝撃で。こんな世界があるんだと思って。それでプロダクトへ行こう!と決めました。
Sさん
何となく周りにグラフィックデザイン志望の人が多くて、私は統合デザインが気になっていたけど、なかなか言い出せなくて。ようやく先生に言い出せた時、先生が「じゃあ今から統合デザイン対策やろう!」と言ってくれたんですね。自分はこれがやりたいのだとはっきり言えるものがなかったので、グラフィックやプロダクト、いろいろな分野を学んでいる今、統合デザインにしてよかったと思っています。自分に合ってるものがわからない、入学して色々やってみてから決めたいという人には統合デザインはおすすめです。
Iさん
私はデザインでも、油画でも、日本画でも迷っていました。でも先生から「お前は油画だ」と言われて「ああ、そうなんだ」と思って、油画に行きました(笑)。それから、大学の設備を見て、版画はすごく専門的な機材が使わせてもらえる事を知って、最終的に版画にしました。
Sさん
私はいまは日本画をやっていますが、実は高3の春期講習会はデザインを受講していました。でも、先生から「Sさんは日本画じゃない?」と言われて日本画に(笑)。

ー 進路選びって意外とそんなところもあるよね(笑)。誰かに背中押してもらったりね。基礎科生の皆さん、ぜひ今回のエピソードを参考にしていってください。
お疲れ様でした~!