デッサン力の素:見る力

「眼」を鍛える

デッサンのトレーニングといえば、描き方を学んだり、テクニックを習得したり、主に「手」を鍛えるイメージがあると思いますが、実はそれと同じくらい、あるいはそれ以上に大事なことがあります。
それは、「眼」を鍛えることです。

モチーフを見る、自分の絵を見る、他人の絵を見る

日頃アトリエでは、静物デッサンのモチーフを見たり、今描いている自分の絵を見たり、隣りで描く友人の絵を見たり、いろいろなものを「眼」で捉え、いろいろなことを感じ取り、様々な判断をしています。
そして、その上でおのおの「手」を動かして絵を描いているわけですね。
同じモノを見ていても、人によって感じ方や捉え方はぜんぜん違います。それが手に伝わって現れてくるので、絵もそれぞれ違ったものが出来上がるということなんですね。
絵の面白さ、魅力の一つです。

「絵から距離をとって見てみよう」
「絵の一部を隠して見てみよう」
「絵を逆さにして見てみよう」
「モチーフを真上から俯瞰して見てみよう」
「モチーフの一部がもし無かったとしたら、と思って見てみよう」
「モチーフの色がもし全部真っ白だったら、と思って見てみよう」
「他の人の絵と比べて見てみよう」

1枚の絵を制作するときに、色々な「見る」を試して欲しいので、基礎科では一人ひとりにこまめに先生が声がけをしています。
そんな「見る」があったのか〜!と、思った人はぜひ実践してみてください!
実はデッサンが上手い人ほど、色々な方法を使ってよく見ているんです。

授業アトリエ風景
授業アトリエ風景
授業アトリエ風景

見る→描く→見る

自分の絵を見ることは、料理でいうところの「味見」です。
モチーフをしっかりよく「見て」、それを絵に描き、今度は描いた自分の絵がどうなっているのかを「見る」。違った2種類の「見る」が絵を描くプロセスには必ずあります。
いまどんな味になったのかを確かめながら描き進めていくわけです。味見の回数が少ない料理と、たくさん味見をして作った料理と、どっち美味しくが安心して食べられるかな?

見る。描く。見る。これを習慣づけていきましょう。