ハロウィンモチーフのある静物デッサン:制作プロセス

季節のイベントに関するモチーフで描く!

こんにちは!基礎科です。
今回は基礎科講師による、静物デッサンの制作プロセスをご紹介します。
モチーフは、頭蓋骨(石膏)・帽子・おもちゃかぼちゃ、飴。
テーマはハロウィンです。笑

早速、描き出しから見てみましょう!

①奥行きを表す配置

今回はモチーフの配置から。帽子をかぶった頭蓋骨が中心に来るように組んでいます。
かぼちゃと飴を、それぞれ前後に分散するように配置。このように画面のなかに同一モチーフがある場合は、位置を遠ざけることで遠近感が付けやすく、奥行きの表現に効果的です。

②モチーフの規則性やパースを紐解く

今回のモチーフは、小物も含め有機物(自然物)が多めで、パースの指標となる分かりやすい形体(立方体や直方体、円柱など)がありません。が、実は隠れたパースが存在します。

ざっくり描いてみるとこんな感じです。↓

一見規則性のない形のなかにも、これだけパースが潜んでいました。もちろん有機物なんかは個体差や歪みがあるものなので、厳密に「パースをきっちり合わせないとおかしい!!」とは言えませんが、モチーフを観察するときに「どんなルールのある形なのか」を紐解くようにしておくと、描写の説得力につながります。

③「色彩」は、鉛筆のタッチで増える

色彩が豊かになってきましたね!
「色彩」と言われると、白から黒までの「トーン」のことを想像すると思いますが、実はそれだけではありません。
試しに、ふたつのかぼちゃの実の部分を並べて見てみましょう。↓

ふたつのかぼちゃにトーンの差はさほどありませんが、それぞれの色から異なる印象を受けますよね。擦ることでタッチをあえて鈍くした左に対し、右はざらっとしたタッチから「鮮やかさ」を感じます。その違いが、左を遠く、右を近くに感じさせる一因にもなっています。

トーンを「明度」とすると、タッチは「彩度」。色彩豊かな作品にするには、このふたつの要素が必要なわけですね!

④質感描写は、触感描写

質感描写は絵のなかに手を伸ばして、モチーフに触れる想像をすることが大切です。
探りはじめると分かる、それぞれの物が持つ複雑さ。簡単に理解しようとせず、欲張って多くの情報を受け取って、描きましょう。
そのうち、鉛筆の質感がそのモチーフの質感に変化してきます。
なんだかんだ、ここが一番時間がかかります。
とことんやり切って、完成です!

皆さんも一枚一枚を悔いのないように、やり切ってくださいね。やり切るの、大切です。