石を持つ手の構成デッサン:制作プロセス

美大受験の定番課題「手のデッサン

こんにちは!基礎科です。

美大受験の定番課題である、手の構成デッサン。今回も講師作品の制作プロセスを撮ったので、ご紹介したいと思います。
課題は「石を持つ手を描きなさい。」です!
過程を追いながら、要点を確認してみましょう。

①見せ場が映える構図を考える。

紙に対してバランスよく入れる、というのが構図の基本ですが、「寄り」「引き」「角度」などの観点も重要です。
「寄る」ことで細部が見えてきますし、逆に「引く」/「角度を変える」ことで、見えてくるプロポーションや状況があります。その絵の主役はなんなのか、何を見せたいのかで、同一のポーズでも構図はガラリと変わります。
「構図決め」は「絵の主題を決めること」と同義であるということですね!
今回は、比較的寄りの構図です。手のひらサイズの石を指先で摘んでいる部分がよく見えるように考えられています。

②陰影を描くことで、水平垂直を表す。

構成デッサンは静物デッサンと違って、必ずしも絵の中に「床」がありません。床があれば見る人が舞台を認識しやすくなり、状況(絵の内容)が伝わりやすいのですが、手のデッサンでは床が登場しないことがほとんどです。
なので、モチーフの中に水平面と垂直面を感じさせるためにも、光の設定が非常に大切になります。光の設定がアバウトだと、画面の上下が分かりづらい絵になってしまうこともあるので要注意!
この絵では、手の甲に光を残し(水平)、親指に影がしっかり乗ることでストンと落ちている(垂直)ように描いています。

③空間を描く。

石を支える親指と伸びた人差し指が門のようになって、石を中心に中指、薬指…と、視線を奥に誘うような構造になっています。その構造によって、指先にできる「空間」。それを特に注視して描いているのが分かるでしょうか。
デッサンは、登場するモチーフを描くだけではなく、そのモチーフがある「空間」を描いてこそ「リアルだ」と感じさせることができます。空気の形もモチーフの一つだと思って描いてみましょう!

④完成!

緊張感が感じられる作品になりましたね!指先からこぼれ落ちそうな表現が、石の重さを表しているようにみえます。
モチーフは課題により様々ですが、手と関わったとき「ならではの表情」を描くことで、よりモチーフの特徴を引き立てることが可能です。
絵を見る人は、それが実際はどんなモチーフだったか知りません。その人に「こんなだったよ」ということが分かりやすく伝わるように描きたいですね。

参考にしていただけると幸いです!