布を持つ手のデッサン

こんにちは!基礎科です。
今回は授業から生徒の優秀作品を紹介しつつ、手のデッサンの制作ポイントを見てみたいと思います。
課題内容は「グレーの布を持つ手を描きなさい。」
制作時間は5時間です。

生徒の優秀作品

週2日クラスの生徒の作品です。モチーフのグレー布を、てるてる坊主のように指でまとめています。丁寧に描かれた指先が綺麗ですね!「握る」という手のアクションに対して、広がる布のリアクションがしっかり描かれ、自然で魅力的な構図になっています。

「手が語る布」と「布が語る手」

複数のモチーフを組み合わせる課題では、モチーフ同士が与え合う影響に着目してみましょう。

例えば、青い布の上にガラスコップが置かれていれば、コップには青が、台にはガラスに反射した光が落ちます。そういう互いの影響を描くことで、それぞれのモチーフはより「らしく」、その「場」が自然に表現されるんです。

今回の場合では、手の力で布の形が変化し、布の影が手に落ちています。これにより、ただの「手」と「布」ではなく、「柔らかな布を持つ手」としての説得力が生まれています。

これは構成デッサンに限った話ではなく、静物や風景、人物を描く時にもいえることなので、常に頭に置いておきましょう。

この絵の改善点を挙げると、布上部の描写でしょうか。陰が黒く塗られているだけになってしまい、まだ布の形になりきれていないように見えます。

名画から学ぶ

これはレオナルド・ダ・ヴィンチの衣服のデッサンです。
左からの光源に対してしっかり明暗をつけ、形の変化を追っています。どの部分も触れそうな説得力がありますよね。

デッサンは「彫る」

「デッサンを描く」のは、実際は紙の上に描画材を載せていくプラスの作業なわけですが、意識としては彫刻家の「彫る」作業に近いです。

紙の向こう側にある形を、鉛筆で触るように描き起こしていく。視覚だけに頼らず、触覚的な観察が必要なのはこのためです。

彫刻家になった気持ちで、紙の上に立体を構築してみてくださいね◎

夏期講習も迫ってきましたね。
暑い日が続いているので、くれぐれも体調に気をつけつつ…
楽しく制作に取り組んでくださいね!