
こんにちは、基礎科です!
今回は、「野球ボールを持つ手を描きなさい」という授業課題に取り組んだ、講師作品の制作プロセスをご紹介します。
シンプルながら、構図や描写の工夫が問われる課題です。
各段階ごとに、制作のポイントを見ていきましょう!
Contents
問題:「野球ボールを持つ手を描きなさい」
①手のデッサンは「手首」が要(かなめ)

この課題は、手とモチーフを組み合わせたシンプルな構成課題です。
静物課題に比べて自由度が高く、持ち方の設定やアングル、演出までを自分で決めていく必要があります。
そのなかで注目してほしいのが、「手首の表現」。顔のデッサンでいう“首”と同じ役割で、ここの動きが出るかどうかで、印象が大きく変わります。
顔は、首が固まるとマネキンのように無表情になりますが、手もまた、手首に動きが出ることで、豊かな表情が生まれます。
さらに、手の先には人体があります。
画面外の体のポーズまで自然に想像できるよう、全体のつながりを意識して描くことが大切です。
②モチーフとの関係性を描く

モチーフが手渡される課題では、「手とモチーフの関係性」をどう描くかがポイントになります。
たとえば、「重い/軽い」「硬い/柔らかい」といった、モチーフの性質に着目してみましょう。その違いが、手の表情や持ち方にどう影響するのかを考えると、表現のヒントになります。
今回の講師作品では、「指先で軽くつまみ上げた瞬間」が描かれています。
どの指のどこがボールと接していて、どれくらいの力で持っているのか?
そんな細部にまでしっかり意識が届いているかどうかが、作品のリアリティを左右します。
③指から指への”空間”を感じさせる

明暗がつき始め、形もかなり見えてきた段階です。
ここで意識したいのは、空間を潰さずに描き進めること。
どこもかしこも均一に描き込むと、画面が平坦に見えてしまいます。
この絵では、「手前の親指」と「人差し指」、「奥の中指・薬指・小指」この3点間に、どれだけ空気感を含ませられるかが鍵になります。
手のひらの中に「ぽかん」とした空間があるように見せられると、自然で立体的な表現になります。
空間を潰さないよう、丁寧に慎重に進めましょう。
④質感表現は「ここから」が勝負!

講師いわく、特にこの絵でこだわっているのは、質感の描写だそうです。
・皮膚の微細な凹凸やハリ
・縫い糸が食い込んだ、レザーの質感
こうした細部のディテールに徹底的に取り組まれています。
完成だと思ったその先に、もう一歩踏み込めるかどうか。
描き込みの最後の一段階が、作品の密度を決定づけます。
まとめ:シンプルな課題こそ奥が深い!
「手+モチーフ」という一見シンプルな課題ですが、
構図、状況設定、関係性、空間、質感…あらゆる要素において、丁寧な意識が問われます。
細部まで妥協せず、絵に語らせるような観察と描写を目指していきましょう!