静物デッサンの描き方
こんにちは、基礎科です!
今回は久しぶりに、静物デッサンの制作プロセスをご紹介します。
モチーフは、薪の入ったガラス器、シェイカー、白布、赤い紙テープ、野菜・果物です。
①全体のトーン設定
今回のデッサンは、全体に中間色(グレー)を塗ってからスタートです!
まっさらな白い紙は、いわば光いっぱいの状態です。鉛筆デッサンは、そこに影(鉛筆の黒)を描くことで、物が見えてくるわけですが、今回のように中間色から描き始めた場合は、影と光の両側面から描写していきます。暗がりからのスタートなので、光がより印象的に描ける、などの利点があります。
②印象を描く
グレーが増え、モチーフの像がうっすら見えてきました。
目の前のものをただ写そうとするだけでは、形の正確さばかりが気になってしまいますが、この絵では、その場の「印象」を大切に描き進めています。
モチーフをまじまじ観察することももちろん必要です。でもたまに、目を細めて視界をぼかすようにしてみる。モチーフの情報量を最小限にそぎ落として、「ぼんやり」観察することで、パッと見の第一印象を持ち続けるイメージです。
③光を描く
真っ白な紙に描く場合、紙の白を残すことで光を表現しますが、今回は全体にトーンがすでに置かれているので、練り消しで直接描く(抜く)ことで光を表現していきます。上向き面の白布には特に発色の良い白を置いて、りんごやシェイカーにはツヤっとした光を。また、タマネギや紙テープを見てみると、モチーフの後ろの光を描くことで、同時にモチーフ自身を形作っているのがわかります。
④完成
詳細が描かれ、視界がはっきりしました!
今回「場」の話を少ししましたが、こうして完成した作品を見ると、紙テープが空間の奥へ誘うように描かれ、両脇にある金属とガラスがその様子を間接的に写していて、まさに「場」が主役の絵であることがわかります。
まとめ
いかがでしたか?
今回の空間重視の演出はもちろん答え方のひとつで、絵には様々な語り方があります。そして「いろんな絵を知っている」ことが、演出の視野を広げてくれます。画集はもちろん、美術館やギャラリーに足を伸ばして、多くの選択肢を持ってくださいね!