
優秀作品の講評
こんにちは!基礎科です。
1学期の最後に、学期末恒例の実技模試を行いました。
実技模試では、全基礎科生が一律に同じ課題に取り組み、完成作品には順位がつきます。
順位は最終日に発表され、上位の優秀作品は、講師による全体講評を行いました。
今回は選抜された優秀作品4点を、講師のコメントとともにご紹介します!
1位(高2生)

講師:すごくいいですね。描き途中の段階でも、「あ、この絵はこうなるんだな」と完成形が見える進め方ができていて、とても良かったです。構図がスッキリしていて、奥の熊手が空間にしっかり参加していることで、奥行きも感じられます。
難を挙げるなら、やや小柄な印象がある点。画面全体に対してやや控えめで、迫力に欠ける印象につながることがあるので注意。バランスのよさで1位になったぶん、今後は「威勢のよさ」でも負けない絵を目指してほしいです。
講師:丁寧に、よく描き切ったなと思います。ロープや薪の細かいところまで、しっかり観察して手が入ってるのが伝わってきます。熊手の人工物っぽさもちゃんと出ていて、素材の対比もうまくいってました。
パッと見たときの「印象の強さ」は、受験においては重要です。もちろん大きく描けばいいという話ではないけど、「どうやったら印象に残るか」を意識して構成していけると、もっと強い作品になると思います。
2位(高2生)

講師:この1学期で本当に力をつけたね。構図の切り取り方がすごくよくて、普段から参考作品をよく見て、自分の中に取り込もうとしてるのがわかります。ロープとかすごく上手くいったね。薪は途中で模様のようになってしまったけれど、最後にしっかり立体感を取り戻せたのが良かったです。
今後の課題としては、制作中に「よくわからないな」という気持ちがそのまま絵に出てしまうこと。わからないものに出会った時でも、手前・奥・厚みをどう捉えるかを常に意識して、絵を停滞させない工夫ができるとさらに良くなる。
講師:構図がいいね!採点中、「うまいけど構図が...」という作品が多い中で、しっかり画面を成立させていました。もちろん構図だけではなく、手前のリンゴの瑞々しさなど、見せ場がしっかりあるのも高評価です。
一方で、床の描写はまだ伸ばせる部分。モチーフの足元だけでなく、床面全体が感じられるようになると空間がより豊かになります。また、描き込みの密度もあと10%増やせるとさらに良くなる。たとえばロープの細かな線、熊手のロゴなど、細部の描写にもっと貪欲になってほしい。
3位(高2生)

講師:背景を含めた空間づくりに挑戦していて、制作への姿勢が伝わってきました。完成に向けてしっかり描き切る力があるのも、この作品からよくわかります。ただ、なぜ3位なのかと考えると、もう1つ2つ「光る要素」が欲しかった。
例えば、手前の熊手の金属感や、持ち手の木材らしさなど、素材感の描き分けでもう一歩突っ込めたかもしれません。また、背景を入れた分、モチーフにかけられる時間は減るけれど、その分も含めて手を動かして補っていけると良いです。実力的にはもっと上位も狙えると思います!
講師:光の構造を意識できているのがいいですね。奥が影になり、熊手に向かって光が強くあたることで、主役の熊手が印象的に見えています。「ここにこういう光が当たっていてほしい」という意図をもって描けるのは大切なことです。
これは全員に言えることですが、「いい光を探す」という視点を日頃から持っていてほしいですね。モチーフをどう見せたいか、どう演出したいかを意識して観察と選択をする習慣が、作品に深みを出します。
同率3位(高2生)

講師:作者の持ち味がよく出た一枚。ハーフトーンの美しさが印象的で、特に薪の皮の表情にその力が活きています。この静物の構図の難しさを踏まえると、かなり慎重に見極めて選んだんだなと感じました。
上位作品と比べたときに、質感の描き分けが次の課題かな。例えばリンゴの艶をもっとはっきり描けば瑞々しさが増すし、熊手の足が少し蜘蛛の足のように見える点も、規則性を意識して再構成できると良いですね。
講師:構図で悩んでいたけれど、その分よく考えて選ばれた構図になったと思います。スケッチ力があるので、そこにもっと自信を持っていい。形の「ハリ」に関しては、やや弱く見える部分があるかも。
1位2位の作品と比較すると、「どうやってこのモチーフをかっこよく見せようか」という意識が、まだ少し控えめに見えます。形や質感を「やりすぎるくらい」追求してみることも、今後挑戦してほしい。
まとめ
今回は上位に選ばれなかった人も、優秀作品との比較を通して、自分の課題や強みが見えてきたのではないかと思います。
「よかったところ」「うまくいかなかったところ」それぞれを次の作品につなげて、またひとつずつ力をつけていきましょう!