フラスコのある静物を木炭で描く:制作プロセス

木炭デッサンの描き進め方

こんにちは、基礎科です。

美大受験で出題されるデッサンには、鉛筆デッサンと木炭デッサンのふたつがあります。

木炭デッサンは、木炭(木を炭化させた棒状の描画材)を使って描くデッサンで、鉛筆デッサンとはアプローチが異なります。

今回は、講師による木炭デッサンのプロセスをご紹介します!

モチーフは、色水いりのフラスコ・カゴ・御影石です。

順を追って見てみましょう。

①序盤は、形をまだ決めない

木炭デッサン制作プロセス1

制作の初期段階。木炭を寝かせ、紙の白を大きく残しながら、モチーフの位置関係や大まかな量感を探っていきます。この段階では、モチーフの形をはっきり描こうとしていません。

この時点では、フラスコがまだフラスコらしく見えなくても問題ありません。大事なのは、「何がどこに置かれているか」「どのあたりに重さがありそうか」といった、空間全体の印象をつかむことです。

まずは、画面全体に木炭を「置く」感覚を大切にします。

②深い色彩を仮おきする

木炭デッサン制作プロセス2

画面の印象がつかめたら、次に、一番暗くなりそうなところへやや強いトーンを入れていきます。今回のモチーフの場合は、フラスコの底部ですね。

いきなり完成させにいっているわけではなく、絵全体の構造や、周りのモチーフとの関係を見るために、黒を入れています。

この段階で一点だけを描き込みすぎてしまうと、全体のバランスが見えなくなってしまうので、注意が必要です。

形を決めすぎないよう、面の関係を意識しながら、画面全体を見て慎重に黒を配置します。

③消しながら描く

木炭デッサン制作プロセス3

画面全体にトーンが置かれてくると、描く作業と同時に「消す作業」が増えていきます。

パンや練りゴムを使って、ガラスのハイライトやエッジを整理し、面のつながりを明確にしていきます。

木炭デッサンは、線で輪郭を起こすのではなく、面を整えながら構造や関係性を探っていきます。

フラスコ越しに見える色水の厚みや歪み、重み、卓上との接地面など、見えてくる現象を一つずつ整地していくことで、形が徐々に立ち上がっていきます。

④主役を立てる

木炭デッサン制作プロセス4

仕上げの段階では、描き込みをしつつ、画面全体の強弱を整理します。

最も見せたいフラスコを主役とし、カゴや御影石は少し抑え目に扱っています。

背景を描き込みすぎないことで、モチーフが自然と前に引き立ちます。

「完成度を上げる」とは、情報を増やすことばかりではなく、作品の主題や演出を整理することでもあります。

まとめ

今回の制作プロセスでは、鉛筆デッサンとは違う、木炭デッサンならではのアプローチが印象的でしたね!

最初から形がはっきり見えていたわけではなく、形が決まってくる前の「不明瞭な段階」を丁寧に扱うことが、完成時の印象の美しさにつながっていることが伝わってきます。

焦らずにトーンを積み上げ、消し、整える。

その積み重ねが最終的な説得力につながっています。