
胸像クラスの石膏像の描き方
こんにちは、基礎科です!
今回は、講師による石膏デッサンの制作プロセスをご紹介します。
モチーフは、ドナテッロ作「ガッタメラータ」の胸像。
本来は馬に乗った大きな騎馬像ですが、胸像になっても力強い印象があります。大きな量感と重厚な構造をどう描き出すかがポイントです。
それでは、さっそく制作の流れを見てみましょう。
①極力丁寧に、形をとる

石膏デッサンでは、最初の形どりがとても重要です。
特に今回のようにボリュームの大きい胸像は、後からの修正が一部分では済まず、全体に影響する大工事になりがちです。そのため最初の段階で、できる限り正確に形を起こすようにしましょう。
まずはポーズ(頭部の角度や身体のひねり)、シルエットを丁寧に観察し、紙の中で最適な位置と大きさに収めます。
ガッタメラータは肩幅も張っており、頭部も大きく量感豊かなので、小さくまとまらないよう注意が必要です。「実際に目の前にある大きさ」を再現する意識で描き始めましょう。
②大きな影は大胆に、大きな塊を描く

形が整ってきたら、次は影を大胆に乗せていきます。
石膏像は細部がとても豊富で、つい細かい描写に入りたくなりますが、序盤に必要なのは「大きな塊としての見え方」です。
今回の制作では、向かって右の手前側にしっかりと濃い影を置くところから進めています。手前の影を先に決めることで、胸像特有の量感やスケール感が画面上に立ち上がりやすくなります。これは、「大きな塊」を優先して捉えるための工夫です。
ドナテッロも、彫刻を作るときにまず大きな塊の形を切り出し、後から細部を彫り起こしていったはずです。デッサンでも同じ考え方で進めていきましょう◎
③影面をしっとりさせて、鉛筆の質幅を増やす

影を置いたら、ガーゼで影の中をなじませ、トーンの質を整えていきます。
カサカサした鉛筆だけでは作れないしっとりした湿度が加わり、影の深みが増してきます。すると、胸像全体の重さ・密度がより明確に感じられるようになります。
影面が落ち着いてきたタイミングで、いよいよ細かな形を掘り起こす段階に進みます。ここからは、柔らかい鉛筆だけでなく硬めの鉛筆も混ぜて使うことで、質感に幅を持たせられます。
④カリカリと、細部を描き切る

最後に、鉛筆の先を使ってカリカリと細部を描き込んでいきます。
石膏特有の素材の冷たさ、硬さが伝わりますね。さりげない欠けや傷の描写が効いています。
細かな描写が加わることで、ガッタメラータの持つ緊張感、力強さが一気に説得力を持ちましたね!
まとめ
石膏デッサンは、志望専攻によってはあまり描く機会のない人もいますが、「形を正確に描く力」「光と影のコントロール」「質感の描写」など、あらゆる絵の基礎が詰まっています。
今回のガッタメラータは難しいモチーフですが、その分得られる学びも大きいはずです。ぜひ、挑戦してみてくださいね!











