「ステンレスボウルのある静物デッサン」制作プロセス

こんにちは!基礎科です。

今回は授業の課題から、講師による制作プロセスを紹介します!
モチーフは、ステンレスボウル・荒縄・玉ねぎがごろごろ。

まずは描き出しです!

①構造を描く。

デッサンを描くうえで常々「大切だな」と思うのが、「構造への理解」です。
例えば、ステンレスボウルは金属板を加工して(端を折り曲げ強度を増す)できた形であることや、玉ねぎは葉が積みかさなりできていることなど。形には必ず理由があります。見たものをただ写すだけでなく、理解を一歩深めて描くようにしましょう。
絵を見ると、軸を描いているのが分かりますね。床ときっちり垂直になるボウル(工業製品)の軸に対し、玉ねぎの軸は斜めになるのが特徴的です。

②線ではなく、面で見る。

形を具体的にしていきます。このタイミングで影もしっかり描きましょう。
リアルに描くためには、モチーフを「面」で捉える必要があります。大げさにいうと、ポリゴンのようなイメージですね。輪郭線に頼らず「面」で形をおこしていくと、平面から立体的な表現にかわるのが分かると思います。

③長物は空間表現に役立つ。

長物(今回でいう荒縄)が静物セットに登場することはよくありますが、なかなか役に立つモチーフです。今回の荒縄も、手前から奥へ空間にまたがるように置かれていて、一本の中にも「近景・中景・遠景」と描写の変化をつけることで、空間の広がりを描くことができます。ただ、向きが変化するごとに縄の回り込み方が変わるため、よく観察する必要があります。

④こだわりをやり切る。

終盤は完成度を高めるための作業です。今回のモチーフの目玉はなんといってもステンレスボウル。金属特有の写り込みをとことん描きこみます。「なにが写り込んでいるのか」を理解して描くといいです。例えば周辺にある玉ねぎ2つとロープも写り込んでいますよね。こうした関わりを描くことで、モチーフ同士の距離感や「同じ場にある」ということを表現することができます。
今回の絵は、ボウル内側も詳細に描かれていますね。部屋の様子が逆さまに写り込み、絵の外側のことも窺い知れる仕掛けになっています。作者のこだわりを感じますね!

いかがでしたか?
参考になれば幸いです!