ラボルトの鉛筆デッサン|石膏の描き方のコツは?プロセス紹介

こんにちは!基礎科です。バテバテしてしまう暑さが続いていますね。

基礎科の夏期講習は最終週を迎えようとしています。みなさんアトリエは涼しいとはいえ、しっかり水分を取ってくださいね。最後まで頑張りましょう!

石膏デッサンのプロセスを見てみよう

さて今回は、基礎科講師によるデッサンプロセス第二弾です。
ラボルトの石膏デッサン。(パルテノン首像ともいいますね。あのパルテノン神殿の彫刻です。)志望専攻によっては、石膏デッサンに全く関わらない人もいますが、実は難しい分、デッサンのノウハウが詰まったモチーフでもあるのです。
今回も制作過程を見ながら、作者がどんなことに気をつけているか探ってみましょう!

描き出し:構図を決める

描き出しです。
静物デッサンの時と同じく、やはりまず大事にすべきは構図です。
石膏デッサンの場合は特に大きさに気を使います。今回は綺麗に収まりましたが、形が不明確にならない程度なら画面外に切れてしまっても構いません。
顔面パーツのパースを描いていますね。有機的なモチーフはなんとなくで形を描きがちですが、このように潜んでいるルールを発見できるといいですね。

中盤①:光の設定

影の演出により、光が射しました。
石膏デッサンの難しいところは、「真っ白」であること!
特に光源の多い屋内では、どこもかしこも白さが強く見えてしまうんですね。形の変わり目である「稜線」を見極めて、光の設定に則ってちゃんと影を乗せていくことで、ゴロンとした形態感が出てきます。
また、反射光がしっかり入っていることで、空間表現だけでなく、「白」の綺麗さも感じることができますね。

稜線とは?

稜線(りょうせん)とは、面の向きが変わる境界線、というような意味があります。凹凸の頂点が色々なところにありますが、それらを繋いでいくと一つの線になります。それが稜線です。形や面の方向性が決定的に変わるタイミングを探したり、把握して描くことはデッサンの重要な仕事になります。

反射光とは?

反射光とは、「物体に当たって跳ね返る光」のことです。ラボルトの後頭部や、下向きの面は、一見最も暗くなるエリアのように思いますが、真っ黒に塗りすぎてしまうと物体の裏側への回り込みが表現できなくなってしまいます。ですので、少しだけ環境の光を取り込んでごろっと丸い感じを出していくのです。 

中盤②:塊感を出す

情報が増えてきました。
ここでぐっと我慢したいのは、目鼻口ばかり優先して描いてしまうこと。人の顔であるという前に、「白い石の塊」であることを意識しましょう。
髪の毛の描写は複雑でなかなか大変ですが、まずは大きな形を見つけてみましょう。
この像を制作した彫刻家も、大きな形をざっくりと造り、のちにディティールを彫っていったはずです。

完成:石の質感を出す

完成です!
ラボルト特有のゴツゴツとした石感が出てきましたね。手触りが伝わってくるような細かい凹凸や、キメの荒い感じを出すことで、石の感じが出てきます。石像ならではの表情を描写すると、リアルさがじわじわ出てきますね。

まとめ:モチーフを知ることの大切さ

石膏像に限らないんですが、モチーフのことを知ろうとする姿勢って大切だなと思います。
なんとなく描かれたものって、やはりなんとなくの説得力で終わってしまう。
今回の場合だったら、この彫刻の背景であったりとか。いつ頃作られて、今どこにあるのか。石膏像はオリジナル彫刻を型取りしたものですから、オリジナルを知ると、不明瞭だった形の謎が解けたりもします。笑
ただ「描く作業」にしてしまうのではなくて、対象を知ること、意識してみてくださいね。

マルス像を描く|立体感と構造を捉える石膏デッサンの描き方

別の石膏像の描きすすめ方も見てみましょう!今回紹介したラボルトと同じ首像の青年マルスです。

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