デッサン力の素:水平・垂直・斜め

B!

こんにちは。
基礎科講師の村です。

今回は、1学期のデッサンコースの課題を通して、絵を描くときの基本となる考え方「垂直・水平・斜め」についてご紹介します。記事の最後には、優秀作品も一部ご紹介しようと思います。作品には解説コメントも付いていますので、読んでみてください。

まずは課題を確認しましょう。

週2〜1日クラス課題

出題:セットされたモチーフを描きなさい。
モチーフ:れんが・鉄パイプ・発泡スチロール球体

モチーフはこんな感じです。
モチーフの第一印象としては、とてもシンプル。球体、円筒、直方体と、異なる形態が3種類あります。素材も、発泡スチロール・金属・石と3種類です。

制作に入る前には、どちらかというと「物の中をどう描くか」というポイントに意識が集中するのではないかと思います。(金属パイプのは表面はギラッと光らせないと!レンガは茶色く見えるように濃い色をのせないと!など)

でも、少し視点を変えて注目して欲しいのが「水平・垂直・斜め」です。これはそれぞれのモチーフの形状が示す方向性に違いがあるということです。例えば床は水平に広がっています。それに対してレンガと球体は垂直に上に向かって伸びています。鉄パイプは斜めです。

つまりこのモチーフは「水平・垂直・斜め」の三つの方向性の違いがはっきりとあり、これを3D的に明快に描くことが今回の大きな課題なのです。

モチーフを見たときにこれに気付けるだけでも、分かりやすいデッサンになるかそうでないかは変わります。面の方向性、伸びる方向、それが物によってどう違うのかを見ていくと、物が何であるかだけではなく、その「置かれ方」を捉えることも大事だということが分かります。

「今回は水平面の広がりが気持ちがいいな」
「このモチーフは垂直に縦に伸びていく形が多いな」
「斜めになる面ばかりで安定している平らな所がないな」

など、モチーフの方向のイメージが大づかみにでも掴めると、絵にもそのイメージは反映されるものです。

こうして考えてみると、モチーフの内容を見るという段階で、すでに大きな差が生まれるように思います。一個一個を個別に見るか、複数のモチーフで一つの構築物ができているように見るか。表面的な情報に振り回されずに、しっかりと大本(おおもと)を掴むことが必要なんですね。

では、優秀作品を例に、具体的に見ていきましょう。

堂々として迫力のあるサイズ感で描いている作品です。床からモチーフが上に向かって垂直に立ち上がる様子がしっかり描けています。このように垂直を感じさせてくれるのは、床の描写が積極的にされているからです。床におちる影などを積極的に使い、寝ている面の方向を明快に伝えてくれているので、見やすいデッサンになっているんですね。鉄パイプはすっと手を伸ばせば持てそうで、とてもリアルです。


モチーフを横から眺めるアングルで描いています。鉄パイプがのびのびと描かれていて、気持ちがいいですね。ただ、この斜めに立て掛かっている様子がうまく見えているのは水平面と垂直面が支えてくれているからなんですね。鉄パイプがレンガに落とす影などを適切な箇所に描かなければ、このような隙間の表現は難しかったと思います。

「水平・垂直・斜め」という考え方、ぜひ他の課題にも応用してみてくださいね〜👍

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