今日は木曜と金曜のデッサンコースで実施した、鉛筆による「写真模写」の課題のご紹介です。
下記の写真は今回模写する課題写真の一例です。
今回の授業ではアトリエでいくつかモチーフを組み、ご自身のスマートフォンで撮影していただき、各自で描く写真を準備するということからやっていただきました。スマートフォンのカメラ機能、優れていますからね。 高機能なスマホでなくてもこのぐらい撮影できます(iPhoneSE 使用)。クルミの部分などピントの甘さも感じますが、デッサンするには十分です。
スマホで撮影した写真を資料にし、絵を描くという方も多くなってきました。せっかくなので今回は絵の資料を作る際の撮影についても少しお話ししておきましょう。
デッサンするにあたって写真を撮影する際のポイントをまとめてみました。
- カメラを水平に構える
建物や静物など、構造的にものが垂直に立っていないとおかしいよ!という場合はカメラを水平に構えることを意識しましょう。水平垂直が整うだけで、写真がピシッとして気持ちが良いです。今回の授業では手振れ防止のため三脚を使用し、水平が出ていることを確認しながら撮影しています。(上記写真参照) - 光と陰影を意識する
これは実際に絵を描くときに、非常に効いてくるポイントです。特に再現性のある絵を描く場合、光と陰影の関係は外せません。光と影が描きやすいようにできているか?意識して撮影しましょう。(上記写真参照)野外で風景など撮影する場合は、光と影で風景の印象が大きく変わります。曇天など陰影のできていない写真で描くのは狙いがない限り避けた方が良いでしょう。 - レンズの歪みが気になる時は、対象物から少し離れて撮影する
今回のような静物の場合、大きく撮影したいあまり近づきすぎると、レンズの歪みが強調され、形が湾曲してしてしまいます。一度撮影して、歪みが気になる場合は、対象物から少し離れて撮影し、画像をトリミングして使うことも考えてみましょう。 - 撮影した写真をスマホ上で「編集(補正)」する
撮影した写真はそのまま使わずに、「編集」機能を使って、デッサン に適した明るさに補正します。メリハリがなくぼんやりした印象だったり、逆にコントラストをつけすぎて、明るい部分が白飛びして情報が無くなっていたり、陰の部分が潰れていると描きにくいです。デッサンの出来上がりを想像してその辺りを少し調整してみましょう。撮影時にできていなかった、水平・垂直の関係や歪みなどもある程度は直せますので、挑戦してみてください^^ - 撮影した写真はプリントする
時折、スマホから直接画像を見ながら描いている方をお見かけしますが、絵の資料として使用する場合は、ぜひプリントアウトした画像をご用意ください。スマートフォンの画像は、拡大できるのが便利ですが、小さな画面を見ながらの作業は、全体感を掴むのが難しくなります。描く絵の大きさにもよりますが、A4サイズほどにプリントアウトした写真を使いながら、必要に応じ、スマホの拡大機能を使って細部を確認すると良いでしょう。
今回の撮影はアトリエ内の電気を消して、窓から一方方向の光が柔らかく注ぐ状態を作り撮影しています。室内など、光源が複数あると影が複数できてしまったり、明暗が曖昧な写真になります。「光源を一つに絞る」は重要なポイントです。バランスの良い光で撮影できたら作品は半分以上できたも同然です。このこだわりが作品の出来上がりを左右すると思って挑戦してみてください。
次回は実践編です。
写真模写で鍛えるデッサン力 その2<鉛筆をコントロールする力編>
デッサンの勉強として「写真模写」はトレーニングの初期段階でよく行われています。なぜ初期段階で行われるのかというと、いくつかの理由はありますが、まずは鉛筆の調子やタッチを習得するのにとても良い勉強になるからです。