想定デッサン「衣食住」

こんにちは、講師の吉川です!
すっかり寒くなりましたね。

美術クラブはぞくぞく新入生を迎え、鋭利制作中です。^^

今回は想定デッサンをご紹介します!
テーマは、「衣食住」。
衣・食・住の中から好きなテーマを一つ選び、自由に発想して
美しい絵を描いていきます。

目の前にモチーフ(描く対象)が用意される静物デッサンと違い、
想定デッサンは、自ら題材を選び、どう表現するかを模索していきます。

イメージを膨らませやすいように、例年テーマを設定していますが、
非常に自由度が高いのが、想定デッサンの特徴です◎
何を描こう?どう描こう?
自分が興味のある題材と向き合う時間になればと思います!

では早速、何点か作品を見てみましょう✨

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中学3年生の作品です!クローズアップして、蚊の「食」を描いています。
ミクロな世界にぐっと近づき、観る人をドキっとさせる構図です。
「何を描くか」はもとより、「どう描くか」への工夫がうかがえます。
特にいいなと思うのは、蚊の細い脚が、そっと指先に触れている点です。
身体の密度をしっかり描いているのに、なんだか蚊の軽さも伝わってくるようです。
指先のシワが、ただの線ではなく立体感あるシワに描けたら、なお良し◎
しかし、緊張感のあるとても良い作品です!

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中学2年生の作品です。前述したように、想定デッサンは目の前にモチーフが用意されていません。
そのため、資料を集めるなど、自ら行動することが必要です。
(あいまいな記憶を頼りに描こうとしても、なかなか形にならないんですよね。)
このデッサンは作者が家で実際の状況と作り、写真を撮り、しっかりとしたイメージを持って描き進めることができた一枚です。
まな板の質感や切った果物の薄さの表現が、非常に魅力的ですね◎
包丁の金属感と、果物のつぶつぶしたみずみずしさはもう一歩見たい!ところですが、
工夫されたアングルと取材がいきた、大人っぽいデッサンです。よく描きあげました!

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中学1年生の作品です。回転寿司が美味しそうなデッサンです^^
いくらがつやつやしていたり、シャリがつぶつぶしていたり、随所にこだわりを感じます。
この絵のなによりの魅力は、主役の寿司だけでなく、背景をしっかり絵に参加させているところです。
ポスターの文字が絵のリズムを豊かにし、面白く演出していますね!
ここから、ザラッとしたグレーのグラデーションがもっと物になってくるといいですね。
具体的にいうと、台の側面、椅子はどんな材質だったんでしょう?
そこまでイメージできると、より見応えのある画面になりそうです◎

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中学3年生の作品です。制服に腕を通す一瞬をとらえています。
これも用意された資料を元に、着実に描写を進めることが出来ました。
シワの一つ一つが、ただなぞるように描くだけでなく、ちゃんと中にある「腕」や「胴体」が
伝わるよう描写されています。
構図も顔をあえてばっさり切り、制服に焦点を当てています。
思い切った構図は勇気がいりますが、絵の強い弱いに関わるとても大事なポイントです。
背景の扱いはまだ課題が残りますが、力作です!

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中学2年生の作品です。絵を描いている手元を、自身の視点から描いています。
この作品は、疎密の関係をうまく利用しています。
「手があくまで主役だけど、画材の賑わいも描きたい。」それを両立させるために、
手の周辺はすっきりした扱いにして、画面の外側に画材を配置しています。
こうして密度を分散することで、見やすい構成にしているんですね◎
手の甲と紙のラインが重なってしまったり、少し惜しいところはありますが、
手の描写もさるとこながら、チューブ絵の具が少し潰れていたり、溢れていたり、乱雑に置かれている状況が
「本人にとってのリアリティ」を面白く演出している良作です。

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中学3年生の作品。ラーメンです!笑
この絵は構成がとてもシンプルですが、ラーメンをただ描くだけでなく、湯気をしっかり見せていくことで、
臨場感を感じさせます。「温度」や「湿度」は、目に見えるものではありませんが、
ものを通して感じさせることができます。
他にも、「重さ」や「匂い」など、視覚以外を感じさせることができると
人によりリアルに伝わります。これからも意識してみましょう◎
スープや背景は、まだ塗ったままの鉛筆の質で止まってしまっているので、
もっともっと具体的な質を持たせていきたいですね!

まだまだ紹介したりないのですが、今回はここまで…

Atelier atmosphere

Atelier atmosphere
Atelier atmosphere
Atelier atmosphere
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Atelier atmosphere
Atelier atmosphere
Atelier atmosphere
Atelier atmosphere
Atelier atmosphere
Atelier atmosphere

美術クラブではいつも、提示された課題に答える形で制作をしてもらっていますが、
本来の作品制作は、作者の興味や関心が不可欠です。
一枚の絵のなかで、なにを描きたかったか。
それが伝わる作品になったでしょうか?
想定デッサン以外の課題でも、意識していきたいですね。

さて、この次の課題は名画の模写です!
一枚一枚を大切に、学んでいきましょう〜!

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