こんにちは!講師の依田です。
美術クラブ2019年最初の課題は木炭デッサンでした◎
今の時代にこんなに古い描画材?と驚かれる方もいるかと思いますが、現代でも絵画系の美大入試に用いられるなどとても奥が深く、絵の具や彫刻にも通ずる表現の幅が、木炭ならではの魅力として未だに高い支持を得ています。今後美術を深めようと考えているみなさんには是非経験してもらいたいと、カリキュラムに毎年一度は組み込んでいます。
単純に描きこむだけでは形にならない木炭デッサン。擦りこむ、叩き込む、拭い取るなどアプローチも工夫が必要です。それだけに複雑な質感の表現も可能になります。今回のモチーフ、みなさんがどのように表現してくれたか作品を見ていきましょう。
敢えてモチーフを大きくトリミングした構図を取っています。狙いがはっきりしている分、描くモチーフに妥協は許されません。画面の端まで神経が行き渡った作品となっています。一つ一つの仕事の丁寧さ、質感の探求もさることながら、色味のメリハリ、メインとなるピッチャーの周辺の描写を抑え気味にするなど、絵作りに対する意識の高さを感じさせてくれる1枚です。
迫力のある構図で、モチーフそれぞれの重さが感じられる質感の表現が魅力です。ざらっとしたミルク缶(中央)とガラスでできた浮き玉の質感の対比も見せ所ですね。ロープなどの細かい描写も手を抜いておらず、観察したことを丁寧に落とし込めています。トラロープの黒が空間をうまく引き締めているのも◎
敢えて強い片側光線の設定をとっている作品です。画面全体に気を配り、何度もしつこく木炭を載せることで深い暗さを演出しています。暗さの中から明るさで描写していく作り方は、木炭という画材が得意とする表現方法です。描画材の特性をうまく利用しつつ、自身のかっこいいと感じる絵作りが成功しています。
美術クラブ入学間もない生徒の作品です。実は木炭デッサンは初心者の方ほど経験しておいてほしい課題でもあります。鉛筆より簡単に画面全体に手が回るので、全体感が掴みやすいのです。今回の作品は、デッサンとして必要な全体感に加え、見せ場となる浮き玉の描写がうまく効いています。よく観察した上でのそのものらしさが表現できていますね◎この調子で制作に関わっていってくれればと思います。
紹介しきれなかった作品も、全体的に迫力を感じるものが多かったです!
普段の鉛筆デッサンと違い、背景も含めて手を入れていくことでいつも以上に絵画としての強さが出ていたと思います。
次回からは自由制作に入ります。今回得た経験もうまく踏まえられるでしょう
か?
またみなさんの作品を楽しみにしています◎