下地からこだわる!「サザエの静物着彩」

今年度から土曜日のクラスを一緒に担当していく事になりました村田です。
よろしくお願いします!

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水張りのレクチャー

それでは一学期最後の絵の具課題です。渡されたモチーフを卓上に自由に配置して絵の具で描いていきます。今年度初めての絵の具課題だったので、道具の説明や画用紙をパネルに貼り付ける「水張り」のレクチャーからスタートしました。絵を描く前の準備が大事なのはデッサンも絵の具も変わりません。

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今回のモチーフ

モチーフはサザエ、透明なビニールホース、折り紙の3つです。これらを卓上で組み合わせて本番どのような構図で描いていくかをクロッキー帳にエスキースします。途中でサザエの向きや角度、ホースの位置や折り紙への加工など自分の描きたい構図や構成を考えるのがエスキースの時間です。アーティストはこの時間がとても大事な部分ではありますが、中学生のみんなはまず絵の具の素材に触れる時間が とても大事なので、ここで時間を使い過ぎずに構図が決まれば思い切って本番に入っていきましょう。

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下地の作業の様子

ここから絵の具を使って画面に下地をのせていきます。最初ためらうかもしれませんが自分の好きな色、使ってみたい色を選び大きな刷毛を使って白い画用紙に思い切りのせてみましょう、とても楽しい時間です。モデリングペーストという中学生のみんなは聞き慣れない画材もペインティングナイフ等使ってのせます。なんだか絵を描いているって感じが出てきますね!

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下地の上から描き込んでいく

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最終的にどんな絵にしたいか、イメージを膨らませながら進む

ここからモチーフも絵の具で描いていきますが、デッサンとは違って色を使うのでモチーフの色に引っ張られがちです。それでは物が持つ量感や質感が弱くなってしまいます。
デッサンも絵の具課題も別物と考えるのでは無く、このモチーフを鉛筆で立体感を出す時に私はどんな所を気にして描いていたかな?どこを一番描いてみたかったかな?白黒写真で撮ったらどんな風に写るかな?とデッサンも絵の具も描く気持ちは同じように考えられると良いかもしれません。私も絵の具とデッサン、考え方は一緒なんて始めた当時さっぱり分かりませんでした。最初から上手くはいかないので色々な視点から物を考える事、失敗を恐れずに思い切り描いていく事、自分がどんな絵を描きたいのかを見つける事が大事だと思います。

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最後の追い込み。面相筆を使って細かいところも描写する。

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皆段々と仕上げの段階に入ってきました。

絵の具課題自体初めてな生徒がたくさんいた中で完成した絵は、それぞれ大変充実した作品になったと思います。
それでは数点お見せしながら話していこうと思います。

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大変完成度が高い作品です。モチーフそれぞれの質感も感じられてサザエの完成度はもちろん、折り紙に折り目をつけて立ち上げた部分もシャープに決まっていて緊張感が出ています。ホースもツヤツヤして透けている所も良く見て描けています。背景の表情も単に塗るのではなく色の重なった綺麗さも残しつつ床面としての張りも出ています。

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サザエに数々の色味を取り入れてサザエが持つ独特の固有色を表現しています。影側の色を黒と白でグレーを作るのではなく青や緑、黄色など作者がモチーフから感じる色を合わせて描いているので、背景との関係も良くそれぞれ物の描写も上手いですね。

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4週間課題で1週分描く時間が足りない作品ではありますが、それぞれの特徴を良く捉えられた作品です。細部までしっかり描く部分、量で見せる部分が絵の中で上手くバランスが取れています。まだサザエの角のリズムがおかしかったりホースの描写など描きたい所は多々ありますがワイエスの未完成作品を彷彿させる様な1枚です。

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平日クラスの作品講評会の様子

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土曜日クラスの作品講評会の様子

他にもたくさん素敵な作品が出来上がりました!
美術クラブのみんな一学期お疲れ様でした。

 

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