玉ねぎの粘土立体作品

こんにちは、美術クラブです。

今回は秋に行った粘土立体の授業について、ご紹介したいと思います。美術クラブの毎年の粘土立体は「模刻」です。模刻とは、本物そっくりに作ってみようということです。

今年のモチーフは玉ねぎになりました。生徒のみなさんには、モチーフとなる玉ねぎ選びからやっていただきました。美人な玉ねぎ、ちょっと味のある玉ねぎなどいろいろなものがあるので、いろんな角度から見てみたりして、気に入った玉ねぎをチョイスしてもらいました。

制作工程は以下のような感じで、全5回の大型課題になりました。

それでは、完成した作品をご紹介しましょう。
全部で7点あります。
講評や解説のコメントをつけておりますので、読んでみてください。

あえて裏面を見せる

これは中1生の作品です。玉ねぎのおしり、ひげ根の部分を細かく作り込んだ作品になりました。ひげ根は立体的に造形した部分もあれば、アクリル絵の具での着彩時に筆で描き足したところもあります。作者の制作を見ていると、5段階の工程の中で着彩の仕事がとても充実していた印象でした。薄皮の表現もうまくいきましたね!

粘土の細かな細工が魅力

中1生の作品です。薄皮のペラリとめくれた表現が印象的な作品です。粘土の造形段階での細かな細工を頑張っていました。細かな細工は神経を使うし結構難しいのですが、指で作れないところはヘラで作ることになります。粘土べらは色々な形のものがありますので、それを使い分ける事が上手くできたのだと思います。

大胆な造形に成功

中3生の作品です。大きく開いた皮が印象的な作品です。玉ねぎを観察・スケッチする段階から皮の形状や薄さに興味を持っていたのでしょう。造形の段階で思い切って皮だけのところを作りました。立体は薄いともろく崩れやすくなります。そういう意味でかなり挑戦だったのではないかと思います。成功してよかったですね。

陰影が生まれてぐっとリアルに

中2生の作品です。コテンと傾いた姿が玉ねぎらしい作品に仕上がっています。薄皮が微妙にめくれたところを作ることで、陰影が生まれ、ただ丸いだけの形状ではなく、複雑なリズムが生まれたと思います。着彩にも工夫があります。皮の表面の繊維の模様を緻密に描いていますね。かなりリアルです。

色彩の複雑さ

中1生の作品です。色味が印象的な作品になりました。玉ねぎはよく観察してみると、茶色一色ではなくて色々な色彩がグラデーションしています。中身の食べられる部分は緑みもありますし、黄色く感じる部分もあります。土汚れがついているとこなどはこげ茶や黒です。そういった色彩に興味を持っていたことが伝わる作品ですね。

陶器でできているような

中1生の作品です。コロンとした丸みが何とも愛らしい作品になりました。仕上がりが紙粘土でできているというよりも、陶器でできているような、焼き物のような質感を感じます。表面の彩色の具合も、釉薬をかけて窯で焼いた時のあの感じ。何とも作品として素敵な雰囲気を醸し出しています。こういう作品にはハッとさせられます。

バランス感覚

中2生の作品です。全体にバランスの良い作品です。造形の仕事も的確でわかりやすいですし、着彩の仕事も玉ねぎの特徴をよく捉えた描写があります。粘土立体の制作時に大切なのは、遠くで見ること。絵と同じです。手元で作ることがほとんどの立体造形ですが、実は作品から離れて遠くから自分の作品を眺める時間を持つと、特徴が掴めるものです。

ざっくりとした風合い

中1生の作品です。ざっくりとした風合いの手触りを感じる作品になりました。また着彩の具合も印象的です。少し水っぽい絵の具で塗ることで、粘土のぼこぼこの隙間に絵の具が溜まったり、べたっと塗った後に布巾で拭い取ったりすることで、独特な風合いが出てきます。画材の経験値が上がると、もっと色々なことができるようになり、楽しいと思います。

いかがでしたか?
講評会では、色々なタイプの作品が並んで大変面白かったです。今回は違うクラスの人の作品も紹介していますから、参考になさってください。それにしても、粘土をやると実感するんですが、「もっと観察力をつけなきゃ!」とか、「もっとデッサンが上手くなりたい!」と思うものなんです。今後はまたデッサンをやっていきますので、次回の粘土制作までに鍛えていきましょう。

みなさん、制作お疲れ様でした〜!

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