横浜美術学院監修 美術用語辞典

横浜美術学院が独自に編集した美術用語辞典です。美術に関わっていく人に最低限知っておいてもらいたい用語を中心に編集しました。何かの機会に耳にした言葉の意味が分からないときに、活用して下さい。なお、人名に関しては全て削除しました。知らない画家の名前などに出くわした時は、必ず自分で画集を探して確認して下さい。

さ〜そ

彩度

色の三要素のひとつで、鮮やかさを示す度合い。それぞれの色に白、灰色、黒がまざっていけばいくほど、鮮やかさはなくなる。つまり彩度が低くなる。それぞれの色の中で最も彩度の高い色を純色という。

CG

コンピューターグラフィックスの略。コンピューターで画像処理をすることで動画の作成から表示までの一部もしくはすべてを担う技術分野。アニメーションと結びつき、CGアニメといった新しいジャンルも出来ている。

支持体

絵は、絵の具と、キャンバスや板のパネル、画用紙など、絵画を支える材料と、それに絵の具を定着させる接着剤とでできている。絵画を支える材料のことを支持体、または基底材という。支持体には、上記の他ガラスや石、金属板など様々なものが使えるが、絵の具のメディウムの選択によっては、絵の具が剥離したりする。

シェイプトキャンバス

意図的に変形された画布の総称。キャンバスは何種類かのプロポーションがあるが基本的には矩形であると考えられていた。意図的に変形させた画面を指す言葉で、1960年代から盛んとなり、中に描かれたイメージだけではなく物質としての絵画を強調する。

ジェッソ

水溶性の白亜下地の材料。今では、さまざまな絵の具メーカーがアクリル絵の具の下地材としてアクリルを媒材にして売り出していて、時には描画材として使われることもある。古くは、板絵の絵の具層や金箔仕上げの下地として使われたもので、焼石膏を使い媒材は「にかわ」であった。多くの場合、薄く何層も塗り重ね、完全に乾燥してから表面に磨きをかけ、鏡面のように平滑にして使用した。

シュールレアリズム

超現実主義と訳されている。政治・思想・文学・美術などさまざまな分野に大きな影響を与えた。第一時世界対戦を経験したヨーロッパで、新たな時代への不安や危機意識を持った芸術家が、無意識の狂気や厳格を心理学者のフロイトの理論を借りて確認しようとした。フロッタージュコラージュデカルコマニーなどの偶然性の作用を積極的に利用した。ミロ、ダリ、エルンスト、キリコなどが代表的画家。

色相

色の三要素のひとつで、俗に赤とか青とか緑とかと呼ぶ色の分類を指す。専門的には、色彩は光のスペクトル組成の差によって区別される感覚だが、単色光の波長に相当するもののことをいう。一定の法則によって色相の違いをサークル状に図示したものを、12色相環などと呼ぶ。

シズル感

英語の擬音語で、肉を焼く時のジュージューいう音のことをシズル(sizzle)と言う。そこから転じて人の感覚を刺激する感じのことを指し、広告やデザインの世界では、瑞々しさというような意味で使われたりする。

色彩構成

平面構成と呼ぶこともあり、さまざまな色彩を組み合わせて、形とバランスを取り合い、空間的にひとつのまとまりのある画面を作ることを目的とする、美術予備校のデザイン科のトレーニング課題。

シルクスクリーン

孔版の一種。木かアルミの枠に布を張って版を作りさまざまな方法で布目をふさいでインクの透過しない部分を作り、図像を写す。以前は絹がもっぱら使われたが、最近は化学繊維を使用することが多くなっている。

ステンシル

孔版の一種。型紙を切り抜き、その穴の部分から絵の具などを紙につける技法。着物のプリント柄などはこの応用である。

スパッタリング

本来は工学技術用語で、加速した粒子をはじき出してそれを堆積させて被膜を作る方法。スプレーなどによる塗装を連想すればよい。それに近い絵画の技法では、エアブラシで描く方法があるが、それ以前から素朴な技法としてあるのがスパッタリングである。画面を床もしくはテーブルに置き、画面の上から目の細かい金網に乗せた絵の具を歯ブラシなどで擦って落とす。エアブラシなどよりも粒子の粗い絵の具が、吹きつけられたように画面を覆う。

3D

人間の目の立体視の仕組みは非常に複雑で、立体画像に対する試みは20世紀初めからかなり精力的になされた。3DCGなどの発達によって、ますます精巧な立体視が可能になってきており、ホログラフなども飽くなき立体視追求のひとつの成果である。

シンメトリー

左右対称のこと。非常に安定感があるが、逆に単調にもなりやすい。工業製品は、その基本構造の平面図形がシンメトリーの場合が非常に多い。それは、大量に同じものを作り出すのにもっともコストがかからない方法だからで、後から付け足したパーツを取り除いてみたとき、対称の軸がどこにあるかを理解すると構造を把握しやすい。インドでは、シンメトリーはもっとも完璧な形と考えられた時代があり、有名なタージ・マハールの宮殿などシンメトリーに建てられた宮殿が数多く現存している。インドで、正の数と負の数の正の数と負の数の間にゼロを発見されことと関係あるのかどうかはわからないが。

石膏像

美術学校や予備校の教材で、主にギリシャ彫刻やルネッサンスの彫刻などが原型として用いられているが、西洋美術の価値基準となっている黄金比率を学ぶための教材である。かつては、大抵の美術大学の入学試験に出題されたが、最近は東京藝術大学など、ごく限られた大学の一部の専攻でしか出題されない。高い対象再現性を身につけるには良い教材だが、限られた時間で完成度の高いデッサンにしようとすると、独特の方法論が必要になり、その取得が目的化しやすい欠点がある。

スケッチ

実制作の前に、どのような作品にするかをイメージするために描く下描きのような作業や、軽く筆を走らせるような描画を指す。多くの場合、ポイントになる事柄を選んだ描画によるメモ、といったニュアンスを含んでいる。以前は、あくまで作品制作のための準備作業のひとつだとか、それにかける時間が比較的短いなどの理由で、あまり重要視されなかったこともあるが、最近は、作者の関心事や制作の意図などを強く反映しているものとして、重視する見方も増えてきている。場合によっては、美大の入試の課題のひとつとして出題に組み込み、提出させるということもある。

スクラッチ

引っかくという英語の動詞から転じて、表面を引っかいて描く技法を指すようになった。あらかじめ下の層に絵の具を塗っておいて乾かし、それを覆うように上層に別な絵の具を塗って、針などの鋭利なもので引っかくと下の絵の具が線状に現れてくる。描き足すのではなく引っかくことで初めて可能な、シャープな表情の線を引くことができるのが特徴。

ステンドグラス

ステンドグラス(stained glass)は、エ字形の断面を持つ鉛のリムを用いて着色ガラスの小片を結合し、絵や模様を表現したもの。ガラスに金属酸化物を混入することで着色している。13世紀前半に制作されたパリのノートルダム大聖堂の「バラ窓」と呼ばれるステンドグラスはとくに有名である。

ストラッポ

フレスコ画は、壁に直に描かれているので移動させることができない。そこで、移動させる必要が生じたときは、壁から絵をはがして他の下地に張り替えなくてはならない。その技法をストラッポという。絵の表面に接着剤を着け壁から引き剥がしたのち、他の下地に張り替え接着剤を絵から溶かし取る。

静物

still lifeの訳。静止したもの、自分で動くことのできないもの、つまり死んだものという意味だが、通常は絵画や写真のモチーフとして、人物や風景などと区別するために使われる。あらかじめ様々なものをセットしてそれを写生した作品の総称。

染料

絵の具の発色剤として、顔料と同じように使われている。有機物から抽出した有機染料と、科学的に合成して作った無機染料とがあり、いずれにしても顔料に比べると粒子が非常に細かいため基底材に深く染み込む性質がある。

素描

ドローイングの項を参照。